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マイクロソフトやアマゾンが音声認識チップの新興メーカーSyntiantに出資
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Microsoft(マイクロソフト)のベンチャーキャピタルであるM12が南カリフォルニアのアーバインに本拠を置く音声認識のチップメーカーであるSyntiantの資金調達ラウンドをリードした。参加した投資家には著名なベンチャーキャピタルが多数含まれている。Syntiantは音声認識の半導体の新興メーカーだ。

SyntiantのCEOであるKurt Busch(カート・ブッシュ)氏は「我々は機械学習を利用した専用プロセッサーを作っている。最初に出荷したのはバッテリー駆動で常時動作するデバイス向けの音声認識チップだ」と述べた。

ブッシュ氏によれば、こうしたチップのデザインには従来とは異なるアプローチが必要だという。伝統的なコンピューティングはロジック処理を中心とするが。深層学習ではメモリアクセスが重要となる。また伝統的なチップのデザインはメモリへの並列的アクセスにあまり向いていない。

またブッシュ氏によれば、Syntiantの新しいチップは従来の製品に比べて二桁以上効率性が高い。これは深層学習学習に特化したデータフローアーキテクチャを採用しているためだという。

この効率性の高さがマイクロソフトのM12を含む多数の有力ベンチャーファンドの関心を引くことになった。今回のラウンド参加したベンチャーキャピタルにはAmazonのAlexa Fund、Applied MaterialsのApplied Ventures、Intel Capital、Motorola Solutions Venture Capital、Robert Bosch Venture Capitalなどが含まれる。

今回の投資家には米国のテクノロジー産業を代表するチップメーカーやソフトウェアの開発企業が含まれている。これらの大企業が力を結集して南カリフォルニアの新興チップメーカーを支援することになったわけだ。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

AmazonのAlexa FundのディレクターであるPaul Bernard(ポール・バーナード)氏は次のように述べている。

Syntiantは音声テクノロジーを利用してイノベーションを推進していこうとする企業の努力に理想的にマッチする。同社のテクノロジーはAlexa、特にバッテリー駆動のデバイスでのAlexaのアプリケーションをさらに進化させるために膨大な可能性を秘めている。Amazonは音声認識テクノロジーのデバイスと環境を整備するために今後Syntiantとの提携を強化していく。

Syntiantがリリースした最初の製品は1.4×1.8ミリのマイクロチップで消費電力は140マイクロワットだ。このチップはアプリケーションによってはボタン電池1個で1年以上作動するという。

一方、Applied MaterialsのApplied VenturesのプリンシパルであるMichael Stewart(マイケル・スチュワート)氏は次のように述べている。

Syntiantのニューラルネットワークを利用したメモリー処理はApplied Materialsの中心的テクノロジーに極めて適合する。これはメモリー製品において根本的な飛躍をもたらし、デバイスのパフォーマンスを高め、新素材を利用したチップの可能性を広げる。またニューラル意思決定プロセスを利用したチップは非常に低消費電力であり、この種のチップのマーケットを大きく拡大する可能性がある。音声とビデオに対するニーズが大きく高まっている現在、同社の製品はソリューションは非常に有望だ。

現在Syntiantの製品をプロダクトに組み込もうとしている顧客は80社ある。十数社はすでに具体的なデザイン段階にありスマートフォン、スマートスピーカーのリモートコントロール、補聴器、スマートモニターなどのデバイスに音声認識チップを統合する計画だ。Syntiantは音声認識チップの最初のバージョンを既に100万個出荷している。

Syntiantのブッシュ氏は「今年中に会社の規模を10倍にする計画だ」と述べた。

Syntiantのチップセットはデバイスの起動、各種の命令の認識に対応している。ブッシュ氏によれば同社のチップセットはユーザーが自分の声に合わせて認識精度を改良したり独自のコマンドを設定したりすることができるという。

SyntiantはAtlantic Bridge、 Miramar aAlpha Edisonといった欧米のベンチャーキャピタルの支援を受けて2017年10月に資金調達ラウンドを成功させている。ブッシュ氏によれば同社は現在までに総額で6500万ドル(約68億7000万円)の資金を調達している。

Microsoft M12の投資を機に同社のSamir Kumar(サミル・クマル)氏がSyntiantの取締役に就任した。クマル氏は「Syntiantのアーキテクチャは現代のコンピューテーションを特徴づける並列処理と深層学習ネットワークによく適合しており、人工知能やIoT の分野でブレークスルーをもたらす可能性があると考えている」と述べている。

画像:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

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