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触覚を再現するハプティクス技術はコロナ時代における希望となるか
AI.

著者紹介:

Devon Powers(デヴォン・パワーズ)氏はテンプル大学の広告学の准教授。著書に『On Trend: The Business of Forecasting the Future』がある。

David Parisi(デービッド・パリジ)氏はチャールストン大学の准教授。著書に『Archaeologies of Touch: Interfacing with Haptics from Electricity to Computing』がある。

ブルックリンに住むJeremy Cohen(ジェレミー・コーエン)はこの3月に、近所に住むTori Cignarella(トーリ・シニャレラ)というすてきな女の子とお近づきになりたいと綿密な作戦を練って実行したことで、インターネットでちょっとした有名人になった。

隣のビルの屋上にある通気口の横にいるトーリさんを初めて見かけたジェレミーは、ドローン、Venmo(ベンモ)、メッセージ、FaceTimeなど、ソーシャルディスタンスを守ったあらゆる手段を駆使してトーリさんと連絡を取り合った。そして、2回目のデートで彼の作戦は頂点をきわめる。巨大なビニール袋を買って風船のように膨らませ、自分がその中に入って、トーリを接触なしの散歩に誘ったのだ。ジェレミーはインスタグラムに、「ソーシャルディスタンスを守って人と物理的な距離を取る必要があるからといって、気持ちまで距離を置いてよそよそしくする必要はないんだ」と書いている。

ジェレミーの奇抜で手作り感満載のアプローチは、数日間、人気のあるクリックベイトになり、面白がってクリックする人が続出した。同時に、このエピソードは、新型コロナウイルス感染症の時代に急増している接触中心型の起業家精神に対するいくらか手厳しいメタファーでもある。新型コロナウイルスのせいで、デートから銀行の顧客対応、学校から小売り店舗に至るまで、日常生活の中で接触と近接をどう位置付けるべきか、誰もがいや応なしに考えさせられる状況になっている。企業は、いつ発令されるかわからない休業命令、部分的な営業再開、リモートワーク、感染の急拡大や消費者行動の変化などに悩まされ、その場の判断でさまざまな対応策を試さざるを得ない状況だ。

このような混乱の中、一般に定着してきた対応策もある。一方で、より広範な解決策はあきらめて手っ取り早い解決策を採用し、急いで通常の状態に戻ろうとする企業もあれば、パンデミックを口実にして技術的シフト(歓迎されないもの、実用的でないもの、またはその両方)を加速しようとする企業もある。あるいは、ガイドラインの一部にのみ従う、あるいはガイドラインをまったく無視して、ある程度「通常の対応」(つまり、ソーシャルディスタンスも規制もなし)をすると約束し、客を呼び戻そうとする店舗もある。

さて、ハプティクス技術(触覚技術)について説明しよう。接触技術への投資は新型コロナウイルスの拡大前から上向きだった。仮想現実によって触覚インターフェイスを備えた手袋や全身スーツへの新たな関心が高まり、ウェアラブルデバイスやスマートウォッチなどのモバイル機器の触覚技術によってこの分野に新しいリソースが注入された。ハプティクス業界の健全性と成長度を1つの数字で表すのは難しいが、ある推計では、世界のハプティクス市場は2020年現在で129億ドル(約1兆3663億円)、2027年までに409億ドル(約4兆3322億円)まで成長すると予測されている。

1993年に創業し、ゲーム、自動車、医療、モバイル、工業など、広範囲の接触アプリケーションに積極的に取り組んでいるImmersion Corporation(イマージョンコーポレーション)などの定評のある老舗企業に加えて、Sony(ソニー)、Apple(アップル)、Microsoft(マイクロソフト)、Disney(ディズニー)、Facebook(フェイスブック)の各社も専任チームを設置して新しいハプティクス製品の開発に取り組んでいる。また、多数のスタートアップも現在、新しいハードウェアやソフトウェアを使ったソリューションを市場に投入している。例えば、英国のブリストルに本社を置くUltraleap(ウルトラリープ、旧称Ultrahaptics)は、空中ハプティクス技術を開発する企業で、8500万ドル(約90億円)の資金を調達している。VRやリモート操作に使用する外骨格力フィードバックグローブを製造するHaptX(ハプトエックス)は、1900万ドル(約20億円)を調達した。また、手首に装着するBuzzというデバイスを使い皮膚を通して音をルーティングする技術に特化したNeosensory(ネオセンサリー)は1600万ドル(約17億円)を調達している。最近はマルチメディアコンテンツにハプティクスを簡単に埋め込めるようにすることを目指して業界全体で取り組みが始まっており、この分野の成長は今後さらに加速していくだろう。

こうしたトレンドにもかかわらず、接触技術関連のビジネスは明確に定義された1つの方向に向かっているわけではない。企業によって対応もさまざまであるため、消費者側でも混乱、落胆、不安、抵抗感などの気持ちが交錯している。とはいえ、新型コロナウイルス感染症は、単に不満を募らせる原因になっているというより、未来の社会は接触型と非接触型のどちらの方向に向かうのかという長年の議論に光を当てる格好になっている。接触技術をめぐる緊張感はすでに高まっているが、早急な変化や一時しのぎの解決策、短期的思考は問題を悪化させるだけだ。

今求められているのは、長期的な視野である。消費者であり、市民であり、人間である我々が、どのような状況で接触を求め必要としているのかという点について、真剣かつ体系的に考える必要がある。そのような思考に到達するには、単に良さそうに見えるテクノロジーだけでなく、未来においてつながりと安全に関する真のニーズに応えてくれるテクノロジーへの投資を増やす必要がある。

マスクの次はプレキシガラス

世界のどこにおいても今回のパンデミックで最も目につくシンボルはマスクだろう。しかし、コロナ禍における新しい日常には別のもっとクリアなシンボルがある。プレキシガラスだ。

プレキシガラスは、ウイルスから身を守れるように生活環境を作り直す方法を切り開いた素材だ。米国では、3月にプロキシガラスの需要が急激に伸びた。最初は、病院や、食料品店などの必需品販売店で大量に使われるようになった。それに比べると自動車など従来の分野の需要はずっと少ないが、それを補ってあまりあるほど、レストラン、小売り業、オフィス、空港、学校での需要が急激に伸びた。体験修行を行うお寺、ストリップクラブマッサージパーラーフィットネスクラブなどでも、仕切りとして使用されている。

プレキシガラスが接触に及ぼす目に見えない影響は、プレキシガラス自体がウイルス対策の素材として果たす役割と同じく、非常に大きい。プレキシガラスというと無菌状態やウイルスからの保護を思い浮かべるかもしれないが、実際には、汚れやすく、ウイルスも簡単に回り込める。何より、人の間に文字通り壁を作ってしまう。

使い捨てビニール、換気システム、手の除菌用ローション、紫外線などと同様、プレキシガラスの事例は、少なくとも初期段階では、ありふれた防御策が機能することをよく示している。食料品店では、客とレジ係の間に飛沫防止用のアクリル板を設置したほうが、非接触型ショッピングや(ネットで注文し店の専用駐車場で受け取る)カーブサイド・ピックアップなどの抜本的な対応策を講じるよりはるかに簡単だ。プレキシガラスなどの防御策は低コストで、ある程度の効果はあるし、客の側も行動を大きく変えずに済む。それに、コロナ後の生活様式が以前の行動に非常に近い形に戻った場合でも、簡単に元に戻せる。

プレキシガラスのように透明な樹脂素材を使った対策は、明らかに環境に悪いだけでなく、接触するという行為と人との関係や、触れ合うことで生まれるお互いの関係を損なう可能性もある。例えばブラジルでは、一部の介護施設で「ハグ・トンネル」を設置して、入居者が家族とビニールのフェンス越しに抱き合うことができるようにしている。「いつになったらもう一度愛する人をハグできるの」という胸が痛むような質問を最近よく耳にすることを考えると、ハグトンネルによって再会が可能になったというのは、感動的ではある。だが、本人が目の前にいては、じかに抱きしめ合いたいという気持ちが強くなるだけだろう。

ソーシャルディスタンスを守るためにエレベーターの床に描かれた円や、店の通路の案内標識についても同じことが言える。こうした対策は、最大限に理性を発揮し規則に従順であることを人に求めるものであるため、親密さという人間らしい気持ちとは相いれない。すばらしい新未来というより、嫌々ながら現状を受け入れているという感じが強い。こうした対策は重要だが一時的なものだというメッセージを正しく伝えないと、必ず失敗することになるだろう。

タッチテクノロジーは救世主となるか

肌の接触に対する飢えを満たす方法として、未来学者はハプティクスによるソリューションを勧めている。ハプティクスとは、接触によって生じる身体的感覚をシミュレーションによって再現するデジタル技術だ。ハプティクス技術の応用は多岐にわたる。簡単な通知ブザーの類いから、振動、電気、力などによるフィードバックを組み合わせて本当にモノに触れているかのような感覚を再現するものまで幅広い。しかし、仮想現実の人気再燃により最先端技術が短期間で進歩したものの、ハプティクス技術を搭載したデバイスで一般消費者向けに実用化されているものはほとんどない(例外として、15年以上に及ぶ開発期間を経て今年初めに発売されたCuteCircuit(キュートサーキット)のHug Shirtという製品がある)。

ハプティクスは通常、スマートフォン、ビデオゲームコントローラー、フィットネストラッカー、スマートウォッチといった他のデジタル機器の一部として組み込まれている。ハプティクス専用デバイスというのはまだ希少で、比較的高価だが、人気のメディアや技術関連雑誌では、専用デバイスの普及は目前に迫っていると広く報じられている。効果的なハプティックデバイス、とりわけ「撫でる」といった社交的かつ感情的な触れ合いを伝えるように設計されたものは、Zoom偏重のコミュニケーションに触感を組み込むのに非常に有効だろう。

こうしたアプリケーションは、フェイスブックマイクロソフトディズニーといったリソースの豊富な企業は大いに買っているものの、ホームオフィスやテレビ会議といった環境ですぐに利用されるということはないだろう。離れた場所にいながら握手できるようにするデスク据え置き型システムのような製品は実現できそうに思えるかもしれないが、そうしたデバイスを大量生産するには、触感を正確に合成する高価なモーターが必要になるため、コストがかなり高くなるだろう。かといって安価な部品を使うとハプティクスの精度が落ちる。現時点では、触感の再現精度について明確に定義された品質基準はまだ存在しない。例えば、音声の場合であれば、十分な試行を重ねた上で策定された圧縮標準があるが、そのハプティクス版はまだ策定されていないのである。イマージョンコーポレーションのYeshwant Muthusamy(ヤシュワント・ムシャーミー)氏は最近、ハプティクス技術が普及しないのは、標準の欠落という難しい問題があるからだと指摘している。

ハプティクス技術に特化した研究はすでに30年以上にわたって行われているが、今でも解明が難しい分野である。新型コロナウイルス感染症の影響で、すでに始動していたプロジェクトが加速したという証拠も見当たらない。仮想触覚という発明は相変わらず魅力的だが、精度、人間工学、コストの最適なバランスを実現するのは今後も課題となるだろう。これを解決するには市場での試行錯誤という時間のかかるプロセスを経るしかないと思われる。ハプティクスの潜在的価値は確かに高いが、物理的距離を保つことによる心理的ダメージを修復する特効薬にはならない。

興味深い例外として、手の動きのトラッキングと空中ハプティックホログラム(ボタンの代わりとなる)を組み合わせてタッチスクリーンを置き換える製品があり、期待できそうだ。これはブリストルに本社を置くウルトラリープの製品で、スピーカー群を使って、触れることができる超音波を空中に投影する。この超音波は押すと抵抗を感じられるため、ボタンをクリックするときの感覚を効果的に再現できる。

ウルトラリープは最近、映画広告会社CENと提携して、米国各地の映画館のロビーにある広告用ディスプレイに非接触ハプティクスを搭載する計画を発表した。画面に触れずに操作できるようにすることが目的だ。同社によると、これらのディスプレイを使えば「ウイルスの感染を抑え、コンテンツを安全かつ自然に操作できる」という。

ウルトラリープが実施した最近の調査によると、回答者の80%以上がタッチスクリーンの衛生状態に関して懸念を抱いていることが判明した。この結果から同社は「公共の場にタッチスクリーンを設置する時代の終焉」が近づいているのではと推測している。今回のパンデミックは、テクノロジーの変革をもたらすというよりも、既存のテクノロジーの実装を推し進める機会となった。タッチスクリーンはもはや自然で創造的な対話の場ではなくなり、接触による伝染を回避すべき場所となった。ウルトラリープの未来型ディスプレイにより、我々は、汚染されたガラスではなく空気にタッチするようになるだろう。

タッチの少ない世界

人との接触(タッチ)が危機にひんしているという概念は心理学では繰り返し登場してきたテーマだ。接触が不足すると、神経生理学的にマイナスの影響があることは、数多くの研究によって実証されている。乳児は接触が不足する、つまり人に触れてもらう機会が少ないと、ストレスホルモンであるコルチゾールの濃度が高くなり、発育にさまざまな悪影響が及ぶ。拘置所では、拘束や隔離によって接触が奪われることは、拷問にも等しい罰となる。テクノロジーが日常生活にますます深く入り込み、かつては近接や接触を必要とした対話がテクノロジーに仲介されるようになったため、接触ではなくテクノロジーによるコミュニケーションを行うとどのような結果になるのか、さまざまな臆測が飛び交っている

今回のパンデミックでは、物理的な接触を社会全体で控えるよう突然要求されたため、人との接触が奪われる危機がより増幅されている。コロナウイルスは容赦のない罠を仕掛けてくる。人は離れていると、余計に連帯感を欲しがるようになり、危険なリスクでも平気で犯すようになる。しかし、触れたいという欲求に屈すると、我々は自分自身と自分の愛する人たちを命に関わる危険にさらすことになるだけでなく、また元通り触れ合えるようになるまでにさらに長い時間がかかることになる。

今回のパンデミックは、接触、ハプティクス、そして人間らしさについて、すでに重要な教訓を示してくれている。第一に、環境はあっという間に変わり得るが、本当の意味での社会的および行動的な変化には時間がかかるということだ。多くのアメリカ人たちがパンデミックなど発生していないかのように振る舞っているため、接触が必要なくなる未来がもうすぐ実現すると思っていた人は、そう考えるのをやめてしまうかもしれない。加えて、惰性と規制疲れという問題がある。つまり、パンデミック時代の感染防御策の中には、後々ずっと残るものもあれば、時間の経過とともに消滅または緩和されるものもあるということだ。9.11のことを思い出してほしい。あれから約20年が過ぎた今、愛する人を入国ゲートで出迎えることが再びできるようにはまだなっていないが、ほとんどの空港では液体やジェルの厳しいチェックは行っていない。

同様に、現在のコロナ禍の名残として、除菌用ローションスタンドの容器が空のまま放置されている状況を想像できる。地下鉄の乗客の間にプレキシガラスの仕切りを設置することは受け入れられるだろうが、レストランやスポーツイベントでのそうした仕切りは嫌われるだろう。今後はスライド式の自動ドアや手の動きをトラッキングする機能をよく目にするようになるかもしれないが、普及がうまくいかなければ回転ドアや取っ手や押しボタンに戻るかもしれない。

第二に、これも1つ目と同様に重要な洞察だが、過去と現在は隣り合っているということだ。テクノロジーの開発は行動の変化よりもさらに長い時間を必要とするし、一時的な流行、コスト、技術的な限界などの問題がつきまとう。例えば、今現在も、店舗やレストランをラストワンマイル(物流の最後の区間)のフルフィルメントセンター(通信販売で注文を受けた商品の発送センターのこと)にするとか、ARとVRを活用するとか、接触なしのスペースを再考するなど、多くの対策の実現を求める圧力が存在する。これらのシナリオでは、モノに触れたり操作したりするのに、仮想的なショールームで高精度のデジタル触感テクノロジーを使うことになるだろう。しかし、こうしたシナリオの一部は、ハプティクス分野でもまだ実現されていない機能が今すぐ使えることを前提としている。例えば、携帯電話を使って衣類に触れることは理論的には可能だが、実際には難しいし、携帯電話の機能、サイズ、重量、速度などはトレードオフの関係にあるため、すべてを同時に解決することはできない。

タッチの多い世界

今回のパンデミックで接触が不足して物足りなさを感じることはなかったが、同時に、接触について何か問題が発生したこともなかった。我々が慣れている接触には非人間的な部分もある。例えば、満員の地下鉄の車両での強制的な接触や飛行機の窮屈な座席などだ。#MeTooやBlack Lives Matter などの社会運動によって、望まない接触が衝撃的な結果を招き力の不均衡を拡大させるという事実に注目が集まった。接触が持つ意味とそのメリット・デメリットは人によって異なる。我々はそのことを広い視野で考える必要があり、決して画一的な解決策に飛び付いてはならない。接触は基本的に生物学的な感覚だと思われるかもしれないが、その意味は、文化的な条件と新しいテクノロジーの変遷に応じて繰り返し再考されてきた。新型コロナウイルス感染症は世界中で、接触に関する習慣に対して、少なくとも1世代で経験するものとしては最も急激な大混乱をもたらしている。しかし、必ずやこの混乱に対処できるテクノロジーが開発され、コロナウイルスによってあきらめざるを得なかった接触の一部を(直接触れる形ではなくても)取り戻せるようになるだろう。

しかし、タッチテクノロジーは、「こんなことができるのか!」という好奇心をかき立てるばかりで、生活に根付いた日常的なニーズへの応用についてはおろそかにしがちだ。ハプティックテクノロジーの採用を検討する企業は、宣伝文句や誇大な想像は無視して、どのような状況でタッチが(あるいはタッチレスが)最適なのかについて長期的な計画を立てる必要がある。ハプティクス設計者は、接触や触感に関する複雑なエンジニアリングの問題を解決することだけに焦点を当てるのではなく、日常のコミュニケーション習慣に楽に取り込むことができるようなテクノロジーに注意を向ける必要がある。

今後に向けて有益な練習として、「2030年に別の型のコロナウイルスのパンデミックが発生することがわかっていたらハプティックの設計をどのように変更するだろうか」と自問してみるとよい。人間らしい接触のニーズを部分的にでも満たせる、どのようなタッチテクノロジーが生まれるだろうか。企業はハプティックソリューションに関して、どうすれば事後対応ではなく事前に予測して対応できるだろうか。ハプティクスの分野で仕事をしている人たちは人間のコミュニケーションにタッチを復活させようという崇高な使命感で動いているかもしれないが、この使命には切迫感が欠落していることが多い。新型コロナウイルス感染症によってソーシャルディスタンスを守ることが現実となった今、この物理的な隔たりをハプティクスによって、完全ではないにしてもある程度は埋める必要性がより明白になっており、求められるレベルも高くなっている。

顧客対応において「人間味」と「つながり」を顧客対応に復活させようとしている企業も、同じように感じている。皮肉なことだと感じるかもしれないが、今こそ、この危機を乗り越えるだけでなく、次の危機に備えるべきときだ。回復力、柔軟性、余剰能力を蓄えるのは今しかない。それには、いくつか厳しい質問と向き合う必要がある。高精度の感覚世界を再現するには、たとえコストが高くても、VRが必要だろうか。低コストで低精度のデバイスでも十分だろうか。人々はテクノロジーによって実現されたハグを本物に代わる有意義なものとして受け入れられるだろうか。タッチテクノロジーが生活に取り込まれても、やはり物理的な存在が一番なのだろうか。未来は接触が増える方向と減る方向のどちらに向かうのだろうか。

答えは簡単には見つからないかもしれない。しかし、新型コロナウイルス感染症がこれまでにもたらしてきた苦難、トラウマ、喪失感について考えると、これらの難題にできる限り真剣かつ注意深く取り組む必要があると感じる。我々は、今も、そしてこれからも、接触とテクノロジーが実現できることとできないことについて、計画的、現実的であり、希望を持ち続ける義務がある。

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カテゴリー:ハードウェア

タグ:コラム ハプティクス / 触覚技術

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(翻訳:Dragonfly)

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