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小さな貨物飛行機を遠隔操作で飛ばすReliable Robotics、テスラやSpaceXのエンジニアが創業
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およそ1年前、Cessna 172 Skyhawk(セスナ172スカイホーク)が、北カリフォルニアの小さな空港に密かに着陸したことが、旅客機機の遠隔操縦飛行に初めての歴史を刻んだ。これは米国で初めてのことだった。

商用航空の歴史に残るこの画期的な出来事を行ったスタートアップの名は、SpaceX(スペースX)ならびにTesla(テスラ)出身のエンジニアによって2017年に設立されたReliable Roboticsだ。

同社は、Lightspeed Venture PartnersやEclipse Ventures、Pathbreaker Ventures、Teamworthy Venturesといった投資家から3350万ドル(約35億3000万円)の資金を調達し、現在物流ならびに発送業界の潜在的な顧客に対して売り込みをかけている。

Reliable Roboticsの共同創業者であるRobert Rose(ロバート・ローズ)氏は、パイロット一家の出身だ。彼の2人の祖父は、どちらも第二次世界大戦中に飛び、彼自身もパイロットとしての経歴を積んだことがある。実際、コックピットに戻って操縦桿を握りたいと考えたローズ氏の活動が同社が始まるきっかけとなったのだ。

「(飛行機の)操縦は難しいですね」とローズ氏はいう。「そのためには多くの認知能力必要です」。

だがローズ氏は、Teslaの自動操縦システムや、FalconならびにDragon宇宙船の飛行システムを設計した経験から、その認知能力の多くは自動化できることを知っていた。ローズ氏が、これらの認知タスクを自動化するのを助けているのは、同社の共同創業者でエンジニアリング担当副社長であり、Falcon 9およびDragon宇宙船のコンピューティングプラットフォームを支えたチームの、元リーダーであるJuerg Frefel(ジェルグ・フレフェル)氏だ。

Reliableのシステムは完全に自動化はされていない。常にパイロットが関与している。だがそのパイロットは、コックピットには座らず飛行機を遠隔でモニターし操縦している。

Reliableは、Teslaが独自のフレームワークを設計するのではなく、航空機用の既存のフレームフレームワークを使用して製造に着手したのとほぼ同じやりかたで、既存の飛行機に自動操縦システムを組み込む実験を開始した。

Reliable Roboticsによって改造されたセスナ内部の制御システム

「私たちは最初の飛行試験プログラムを、C172に集中して行いました。我々は、システムのあらゆる側面をシミュレーションを通して徹底的にテストし、パイロットを搭乗せずに航空機を運用する前に厳格な安全性チェックを実施しました。こうしてやっと私たちの成果をお披露目することができるようになったのです」と声明で語るのはローズ氏だ。

会社はセスナ172スカイホークで試験を始めたが、次により大きなセスナ208キャラバンを使い始めた。旅客機として設計されたキャラバンは、FedEx(フェデックス)などの物流会社によって配送用にも利用されている。6月には同社は、特に飛行量の多いルートであるサンノゼのアプローチパスを使い、キャラバンが完全に遠隔着陸できることを実証した。

「これまでに、そのようなことを成し遂げた民間資金によるプログラムはありませんでした」とローズ氏はいう。

リモートパイロットを実現し、飛行の特定の側面を自動化することができれば、様々なストレスに苦しんでいる業界でのコストを削減し、効率を向上させる可能性は大きいだろう。

「自動操縦飛行機は全ての航空ビジネスを変化させることになるでしょう。そして Reliable Roboticsはその新しい市場におけるキープレイヤーとしてのいい位置を占めています」と語るのは、JetBlueを含む複数の民間航空会社の創業者で、Reliable Roboticsへの投資家でもあるDavid Neeleman(デイビッド・ニールマン)氏だ。

同社の自動操縦プラットフォームはあらゆる固定翼航空機に適用できるが、ローズ氏はコンポーネントとしての販売を想定していない。そうする代わりに、Reliable Roboticsは、顧客のためのサービスとして、航空機を改造して運用するとローズ氏は語った。

「当初は、どうしても、これをサービスとして運用する必要があるのです」とローズ氏はいう。「空域システムとしての認証のためです。空域で運用を行いたい場合には、保守計画や手順の認定を受ける必要がありますし…事業全体はFAAの認定を受ける必要があります… 初めてパイロットを乗せずに航空機を運用しようとする場合には、その事業全体が認定される必要があります。少なくとも最初の数年間は、これがサービスとして運用されることになると考えています」。

ローズ氏によれば、Reliableは、FedExが所有する235機ほどのセスナキャラバンに対して、最初の改造と飛行を行ったという。他にも複数の輸送会社が航空輸送にキャラバンを使用している。

「運用のためには、通信コンポーネント、地上ネットワーク、そしてコントロールセンターが必要です。完全に垂直統合型の企業になるのです」とローズ氏は語った。「フライトシステムを制御し、テレメトリとデータを取得できる統合ハードウェアが、それらを処理して航空機を飛行させることのできるカスタムコンピュータに統合され、そして地上ネットワークに統合されるため、コントロールセンターにいるパイロットが、飛行機の運行を監督することができるのです」。

ローズ氏は、顧客への売り込みのポイントはパイロットの稼働率の向上だという。「もし(パイロットが)自分のフライトを終えた後、その飛行機からテレポートすることができたら、経済はどう変わるでしょうか?」とローズ氏はいう。「当社のシステムを使うことで、パイロットをより効率的に稼働させ、航空機をより効率的に利用することができるようになるのです」。

Reliable Roboticsのコントロールシステムのクローズアップ

画像クレジット:Reliable Robotics

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(翻訳:sako)

引用先はこちら:小さな貨物飛行機を遠隔操作で飛ばすReliable Robotics、テスラやSpaceXのエンジニアが創業

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