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食品や栄養補助食品に使用される植物栄養素の識別技術を開発するBrightseedが約28億円調達
AI.

米国の植物性食品メーカーのHampton Creek(ハンプトンクリーク、現在Eat JUST)の元研究開発責任者であるJim Flatt(ジム・フラット)氏が立ち上げたBrightseed(ブライトシード)は、人間の健康を高めると考えられる植物に含まれる特定の栄養素の存在を特定するために、最新の資金調達ラウンドで2700万ドル(約28億円)を調達したと発表した。

同社は調達した資金の一部を利用して、植物栄養素の効果を証明するための臨床研究を完了させ、同社とそのパートナーが求めている主張を実現する計画だ。最初の製品は、メタボリックヘルスに有益と考えられている植物栄養素化合物であり、脂肪肝疾患の管理と治療に役立つと考えている。

同社は、「Forager」と呼ばれる機械学習プラットフォームを使って、植物の種に含まれる植物栄養素の存在を識別できる。そして、それらの植物を栽培し、その化合物を製造して、消費者向け食品の原料を製造する。

これはHampton Creekでフラット氏が研究した論文(未訳記事)が基になっている。論文でのアイデアは、動物由来の食品のタンパク質代替製品を作るための、植物タンパク質の組み合わせを識別するために機械学習を利用することだった。

フラット氏は、タンパク質の代替品を広く検討するのではなく、Brightseedの焦点をヒトの健康と機能成分、主にこれらの植物性栄養素に合わせている。同氏はインタビューで「栄養学の強みと力は、健康に重要な効果をもたらすようなささやかな変化を長期間にわたって行うことにあります」と語る。

同氏は、糖尿病前の患者を対象にした米国ニュージャージー南部への地域医療機関であるGeisinger(ガイジンガー)の研究を紹介し、代謝の健康に集中することで、どのように状態をコントロールし、改善することができるかを示した。

「米国のオーガニックや自然食品を扱うスーパーマーケートであるWhole Foods Marketに200ドルを費やした患者は、HbA1c(血糖)値が40%も低下していました。これは既成薬が達成できることの2倍以上の効果です。経済的な観点から見ると、彼らは入院やインスリンの使用量が減り、医療費が80%削減されました」とフラット氏は述べる。

同氏によると、Brightseedは独自の成分を発見して市場に投入する計画だが、Foragerシステムを使用しているパートナー企業とも協力して、生産者と共有できる新しい成分の発見にも協力していく予定だという。

市場への二重の道筋は、BrightseedがLewis & Clark AgriFoodや、Seed 2 Growth Ventures、Horizons Ventures、CGC Ventures、Fifty Years、Germin8、AgFunderなどの既存投資家から新たな資金調達を行うことができた理由の1つであると思われる。

「今回の資金調達は、栄養学の暗黒物質の探求を本当に加速させることができそうです。私たちが構築したForagerのAIプラットフォームは、私たちが知っている植物栄養素はすべて把握しています。私たちが開発した独自のライブラリは、世界で知られているものの約5倍の情報量があります。Foragerの力の1つは、既知の化合物や新しい化合物を見つけることで、健康に関する有用性を予測できることです」と説明する。

同社は今年初めに世界的食品メーカーであるDANONE(ダノン)の北米支社(Danone North America)との主要な提携関係を発表済み(Danone North Americaリリース)だ。

北米ダノンの研究開発部門でSVP(上級副社長)を務めるTakoua Debeche(タクア・デベチェ)氏は発表時の声明で、「北米ダノンは、植物由来の食品と飲料のリーダー企業として、製品の味、食感、栄養面の改善と最適化を支援し、生物多様性のビジョンに貢献する外部パートナーシップを重視しています」と述べていた。

「Foragerが擁する栄養成分識別技術は、成分科学をはるかに超えた意味合いを持っている」とフラット氏は主張する。そして「Foragerができることは、より生物多様性に富んだフードサプライチェーンの採用を促し、より再生可能な農法への移行を促す好循環を生み出すことです」と続けた。

例えばBrightseedは、すでにある企業と提携してあまり人気のないスーパーフルーツを評価し、栽培の改善と向上に取り組んでいるとのこと。

「限られたデータではありますが、従来の農法がこれらの植物栄養素の含有量に影響を与える可能性があることを示しています。Foragerは、これらの植物性栄養素を評価し、消費者がより再生可能な農法で作物を生産でき、作物により多くの栄養素をもたらし、より多くの回復力のある製品の需要を喚起するストーリーを作り上げることです」と同氏。

現在同社の収益は1000万ドル(約10億5000万円)以下で推移しているが、フラット氏と投資家はこの状況が急速に変化することを期待している。

農業系のスタートアップへの投資を展開しているLewis & Clark AgriFood(ルイス&クラーク・アグリフード)の運営パートナーであるDr. David Russell(デビッド・ラッセル博士)氏は声明で「Brightseedのテクノロジーの応用は、私たちの健康と幸福のために自然界に存在する資源を理解する方法を変えつつります。これらの発見は、すでに成分の選択や、私たちが毎日消費するものをどのように調合しているかに大きな影響を与えています。これは、植物と人間の間の生物学的なつながりをより深く理解するための新しいアプローチです。私たちは、これらのブレークスルーをリードする同社をサポートすることを楽しみにしています」と述べている。

画像クレジット:Rachen Buosa/EyeEm  / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

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