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カーボン排出量取引の正規化をブロックチェーンで目指すNori
AI.

暗号通貨がカーボントレーディング(排出量取引)にやってきた。それが、Noriのピッチ(売り言葉)だ。このシアトルのスタートアップはこのほど、暗号通貨にフォーカスしている投資家たちから400万ドル(約4億2200万円)を調達した。参加投資家は、PlaceholderとNorth Island Ventures、Tenacious Ventures、そして同社が名前を明かさない非上場の大手多国籍農業企業だ。

創業者のPaul Gambill(ポール・ガンビル)氏は元Deloitte Technologyの社員で、同社を2015年に去り、気候変動に挑戦する企業Noriを創業した。Noriは、カーボンオフセットの市場に存在する「重複勘定」をブロックチェーンを利用して解決する。

ガンビル氏は「1件のカーボンクレジットが国境を超えて売られるときには必ず、2回数えられます。プロジェクトが発生するときにはカーボンクレジットそのものが資産であり、それを誰かがほかの誰かに売ります。彼らはそれをブローカーに売り、ブローカーはそれを他の誰かに売ります。市場でカーボントレーディングを見れば、それは同じトン数が、ある手から別の手へと何度も何度も渡されているのです」と説明する。

例としてブラジルの雨林保存プロジェクトを見ると「プロジェクトの創始者のブラジル人と、そのクレジットの国際的な買い手の両方が、プロジェクトをそれぞれ自分の排出量軽減量に数えるだろう」とガンビル氏。

そして「それは複式簿記で容易に解決できる愚かしい問題だが、誰もそれをしていない」と指摘する。「今では多くの企業がカーボンオフセットを買って直ちに廃棄しているから、それを公開市場で再び売ることはできないが、そのような取引はオフセットの販売総量のごく一部でしかない」と同氏は主張する。

ガンビル氏は、カーボン市場は気候変動問題の正しいソリューションだと信じている。しかも同氏によるとそれは技術の問題だ。

「2015年にDeloitte Technologyを退職して、もっと大きくて重要なことに取り組みたいと思いました。そして、気候変動がまさにそれだとひらめいたのです。私はこれまでずっと、それはエンジニアリングのプロジェクトだと考えていました。CO2が間違った場所にあるので、それを移動する。その技術だと。これは、人類が取り組むべき次の大きなエンジニアリングプロジェクトです。2017年に私はチームとビジネスモデルを作り、そのレースに参加しました」と振り返る。

2017年にガンビル氏が解決に取り組もうとしたのは、オフセットの証明と決済の仕組みが分離しているために、カーボン(炭素排出量)のマーケットが正しく機能していない問題だった。購入者はNoriのトークンを使って支払い、トークンは1トンの固定排出物に対して常に有効であるが、トークンの価格は需要と供給によって変動する。

「人々が投機的に売買する商品市場を求めていますが、それを実際のカーボンそのものでやりたくありません」と同氏は説明する。

同社はEコマースのフロントエンドを運営しており、そこでは人々がNoriのトークンを購入して、購入ぶんを相殺できる。なお同社はすでにShopifyを顧客を持っている。取引所にNoriのトークンを出品し、プロジェクトの炭素排出削減と資金調達にも取り組む取引メカニズムもある。「私たちのアプリケーションでは将来オークションを行う予定です」とガンビル氏。これは、あらゆるプラットフォームやアプリケーションに統合される炭素除去のためのAPIになるという同社の新たなロードマップだ。

どこかで聞いたことがあると思ったら、それはカーボンオフセットのAPI開発を試みているのがNoriだけではないからだ。

WrenやCloverlyのような企業も同じく排出量削減を追究している(未訳記事)が、ガンビル氏によれば「彼らの問題への取り組み方は間違っている」とのこと。CloverlyやWrenは顧客の需要に基づいて既存のカーボンクレジットを売ろうとしており、一方のNoriは需要ではなく供給の問題に取り組んで農地に始まる新しいカーボン隔離プロジェクトの開発を振興しようとしている、という違いがある。

同社には、Comet Farmに心強い協力者がいる。これは米農務省が開発した温室効果ガスの計量および報告システムで、Noriの排出量削減計量フレームワークにも協力している。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

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