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ドイツ拠点のDelivery Heroが中東での食料品販売拡大を見据え、ギリシャ創業ドバイ拠点のInstaShopを買収
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新型コロナウイルスの大流行もあり、自宅での注文に加えて、多くの人が混雑した場所に集まることに消極的になったことから、より多くの消費者がオンラインショッピングをするようになっている。現在、オンデマンドのレストランデリバリーの大手の1社はその需要を満たすために、事業多様化のために食料品の配達事業に進出することが明らかになった。

新興市場を中心に事業を展開するドイツ・ベルリンを拠点のレストランデリバリー企業のDelivery Hero(デリバリー・ヒーロー)は、5つの市場で約50万人のユーザーを抱えるドバイを拠点とする食料品宅配プラットフォームであるInstaShop(インスタショップ)を買収し、食料品をはじめとする家庭用品や薬局の商品、花などを注文できるようにした。

Delivery Heroは、今回の買収で同社の価値を3億6000万ドル(約380億円)と評価している(Delivery Heroリリース)。内訳は前金の2億7000万ドル(約285億円)に加え、InstaShopが一定の成長目標を達成したことに基づく追加の9000万ドル(約95億円)であると述べている。同社は現在、アラブ首長国連邦、レバノン、エジプト、バーレーン、ギリシャの5つの市場で事業を展開している。ちなみにギリシャは、InstaShopの創業者であるIoanna Angelidaki(イオアンナ・アンジェリダキ)氏とJohn Tsioris(ジョン・ツィオリス)氏の出身国だ。5年前に創業したInstaShopは、買収される前に700万ドル(約7億3700万円)を調達していたのみだったので、投資家にとっては大きなリターンとなった。

Delivery HeroとinstaShopの両方がすでに利益を上げている。半期決算で、売上高が前年同期比で93.7%増の11億2268万ユーロ(約1400億円)になったことが明らかになっている。売上総利益はロックダウンや門限の影響を与えてわずかに減少し、1年前の1億6830万ユーロ(約211億円)に対して1億6720万ユーロ(約209億円)の売上総利益だった。

計画では、InstaShopは現在のリーダーシップチームの下で独立したブランドとして残り、MENA(中東・北アフリカ地域)での拡大だけでなく、そのモデルを他の市場に適用する方法を検討している。

これは、Instacartのような米国企業よりも一歩先に行く戦略だ。Instacartは米国での食料品オンデマンドモデルの先駆者であり、最も人気ある業者だが、いまのところ北米以外の事業は展開していない。

InstaShopの基本的なビジネスモデルはInstacartに似ている。ポイントは、消費者だけでなく、独自の配送サービスを持っていない小売業者、またその小売業者が扱える配達数を拡大するためにInstaShopを使用したいというニーズを満たすこと。または異なる顧客とつながるために、二面的なマーケットプレイスを提供することにある。

DeliveryHeroは現在ドイツで上場しており、時価総額は約190億ユーロ(約2兆3800億円)に達している(Yahoo! Financeデータ)が、創業者でCEOのNiklas Ostberg(ニクラス・オストバーグ)氏がTechCrunchに語ったところによると「すでにヨーロッパ、ラテンアメリカ、アジア、中東、アフリカのほとんどの地域で食料品の配達サービスを展開している」という。

「最大の部分はラテンアメリカとMENAですが、アジアも急速に追いついてきています。現在では、当社のクイックコマース領域で2万2000のベンダーをカバーしています」と同氏。「InstaShopは顧客体験の面でユニークです。昨年に100以上の食料品店を調査しましたが、InstaShopは今まで見てきたどの店よりもはるかに優れていました。これが、彼らが収益性を維持しながら、信じられないほどのスピードで成長できる理由の1つです。DeliveryHeroと一緒に、彼らはより速い配達とより多くの店を提供することで、顧客体験をさらに向上させることができます」と続けた。

InstaShopの創業者はギリシャ出身であり、今回の取引はギリシャで設立された企業としては最大のイグジットの1つになった。

「DeliveryHeroとのパートナーシップは、InstaShopのビジネスを成長させ、グループの専門知識を生かすための素晴らしい機会になります」とInstaShopのCEOのツィオリス氏は語る。「今回の取引でDelivery Heroと一緒に仕事ができて本当に楽しかったですし、InstaShopでのサービスのリーチと品質をさらに拡大していくことにワクワクしています。Delivery Heroは、私たちと同じような野心的な創業者や起業家によって運営されているネットワークであり、私たちはこの家族の一員になれたことを誇りに思っています」と付け加えた。

この取引は、ギリシャのスタートアップとしては記録的な額になると考えられている。前述したように、MENA地域では最大のイグジットになるだろう。これまでのギリシャ企業の最大の取引は、同国でRPAプラットフォームを開発していたSoftomotiveをマイクロソフトが約1億5000万ドル(約158億円)で買収したときだった。そのほかに注目すべきギリシャ企業の動向としては、サムスンによる音声認識技術開発企業のInnoeticsの買収(未訳記事)、ダイムラーによるタクシー配車サービスのTaxiBeatの買収(未訳記事)などがあるが、いずれも金額は5000万ドル(約52億円)以下だった。

InstaShopは当初、2015年にギリシャ拠点で欧州のアーリーステージ投資会社であるVentureFriendsとMENA地域の投資会社であるJabbarによって支援(未訳記事)されていた。特筆すべきは、VentureFriendsの創業パートナーであるApostolos Apostolakis(アポストロス・アポストラキス)氏が、同じくDelivery Heroに買収されたフードデリバリーマーケットプレイスのe-foodを2015年に共同創業していた点だ。
画像クレジット:Instashop

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(翻訳:TechCrunch Japan)

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