AIによる契約レビューで取引を加速させるThoughtRiverが10.6億円を調達
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ロンドンを拠点とするリーガルテックのスタートアップのThoughtRiver(ソウトリバー)が、Octopus Venturesが主導するシリーズAラウンドで1000万ドル(約10億6000万円)を調達したことを発表した。同社のサービスはAIを適用して契約の事前審査を迅速化する。既存のシード投資家であるCrane、Local Globe、Entrée Capital、Syndicate Room、そしてエンジェル投資家のDuncan Painter(ダンカン・ペインター)氏もラウンドに参加した。
この英国のスタートアップは、業務効率を高めることを目的として、通常は法務専門家によって行われる作業を自動化するためにAIを適用しようとする数ある企業の1つだ。この分野で活躍しているスタートアップを他にもいくつか挙げるなら、Kira Systems(キラ・システムズ)、LawGeex(ロウギークス)、Luminance(ルミナンス)などがある。
ThoughtRiverは、契約締結の迅速化を目的として署名前の契約に重点を置いているために、他の契約書レビュー会社とは異なる場所に焦点を当てていると主張している。「他のほとんどすべての製品は、既存の契約からデータを引き出すために利用されていますが、ThoughtRiverの製品は法務チームと同様に、営業チームからも需要があるのです」と広報担当者は語った。
今回のシリーズAラウンドは、2015年に設立された同スタートアップが、12カ月間にわたる著しい成長をみせたタイミングで行われた。同社はその自動契約レビューソフトウェアが現在G4S(英国の民間軍事・警備会社)、Singtel(シンガポール・テレコム)、DB Schenker(ドイツ鉄道傘下の物流会社)などで利用されていると述べている。同社のサービスは2017年末に開始され、広報担当者によれば、現在世界中に25を超える顧客を擁しているという。
またプレスリリースによれば、同社はプロフェッショナルサービス企業PwCとの戦略的パートナーシップも高らかに謳っている。PwCはThoughtRiverのソフトウェアを利用してその顧客向けのサービスを開発している。
ThoughtRiverは、社内弁護士を使って契約の事前レビューをするときに比べて、時間を最大95%、コストを最大80%削減できると宣伝している。そして「契約レビューの速度を上げることで契約の流れを加速する」が全体的な主張となっている。
技術面でいえば、ThoughtRiverが契約書の法的論理のオントロジー(概念間の関係)を作成し、一連の詳細な質問を自然言語処理(NLP)エンジンと組み合わせることで、リスク評価を生成して、ソフトウェアが契約を事前スクリーニングすることを可能にした。また、社内弁護士が好んで利用するMicrosoft Wordのプラグインなどを通して、問題を改善するための法律用語の調整を提案したりもする。
スタートアップが売り込んでいる他の利点には、デューデリジェンスや規制変更の影響を評価をする際に、契約分析を大規模に強化するためのデータ抽出機能がある。また、契約内容の概要に簡単にアクセスさせることで、情報に基づいたビジネス関係を可能にできることも売り文句としている。
ThoughtRiverはすでにニューヨーク、シンガポール、ロンドン、ケンブリッジ、オークランドにオフィスを構えている。新しく調達した資金は、これから販売とマーケティングの取り組みを強化する、米国市場でのさらなる成長に向けられるとされている。有力な技術パートナーとの統合の拡大も、計画されている。
アーリーステージ投資ファームであるOctopus VenturesのAkriti Dokania(アクリティ・ドカニア)氏は声明の中で、このラウンドについて次のように述べている「リーガル分野は他の産業分野に比べてAIの適用に関して遅れていましたが、ThoughtRiverは弁護士たちの基礎的な課題を解決することで、成功したビジネスモデルを実現しました。高度な自然言語処理エンジンを使用して契約レビューを迅速に行い、取引フローとビジネスの成長を加速させることで、法務専門家はこれまで以上に効率的に作業を行えるようになります。確立された市場と一連のプロセスを、創造的に破壊するThoughtRiverの計画を支援できることがとても楽しみです」。
カテゴリー:リーガルテック
タグ:ThoughtRiver
画像クレジット:peepo / Getty Images
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(翻訳:sako)
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