モバイルdGPUの最高峰NVIDIA「GeForce RTX 2080 SUPER」とコスパに優れるAMD「Radeon RX 5500M」を試す
AI.
ノートPCで最新ゲームを快適にプレイしたい場合、あるいは何らかのクリエイティブ作業に欠かせない存在が、外付けGPUなどとも呼ばれるdGPU(discrete GPU、ディスクリートGPU)だ。
今回は、モバイル向けのdGPUとしては最高峰に位置するNVIDIA「GeForce RTX 2080 SUPER」を搭載するハイエンドゲーミングノートPCと、AMDエントリーdGPUの「Radeon RX 5500M」を搭載したエントリー向けゲーミングノートPCを借り受けて、話題のゲームにおけるパフォーマンスをdGPUの独自機能とともに紹介していこう。
モバイル向けの最高峰dGPU、NVIDIA「GeForce RTX 2080 SUPER」
まずはハイエンドノートPCから見ていこう。使用したのは、MSI製15.6型ノート「GS66 Stealth(GS66-10SGS-020JP)」で、GeForce RTX 2080 SUPER Max Q Designに加え、8コア/16スレッドCPUのIntel「Core i9-10980HK」や、リフレッシュレート300Hz駆動に対応するフルHD液晶などを備えたeスポーツにベストな1台になっている。
モバイル向けの最高峰dGPUだけあって、「DEATH STRANDING」や「モンスターハンター:ワールド」といった重量級のゲームをフルHD解像度、最高描画品質でプレイ可能。「DEATH STRANDING」では平均フレームレート112fps、「モンスターハンター:ワールド」では平均85.7fpsと快適なゲーミングの指標となる60fpsを余裕でクリアーしている。
なおGS66 Stealthの場合、リフレッシュレート300Hz駆動の15.6インチ液晶ディスプレイを搭載している点にも注目したい。
リフレッシュレート60Hz以上で駆動し滑らかな表示を実現する、いわゆる「ゲーミング液晶ディスプレイ」は、今やプロゲーマーの多くが愛用しeスポーツ大会にも採用されている。最近は10万円台のエントリーゲーミングノートPCの数多くにも採用されつつある。
GeForce RTX 2080 SUPERなら、リフレッシュレート300Hz駆動という、非常に高い性能を備える液晶ディスプレイを活かしやすいのだ。例えば、今最も話題となっている軽量級FPS系ゲーム「VALORANR」の最高品質設定で平均229.1fpsとなった。さらにGPU負荷の高めな「FORTNITE」でも、高品質設定で163.1fpsという平均フレームレートとなり、滑らかな動きでのプレイが可能だ。
NVIDIA DLSSでフレームレート向上
光の表現のリアリティを向上させるレイトレーシングとともに注目されているのが、「DLSS」(Deep Learning Super Sampling)だ。
これは、GeForce RTXシリーズで利用できるAI(Tensor Core)を利用することで、画質のクオリティをなるべく維持したままフレームレートの向上を可能にするというものだ。従来は縦の解像度が1440ピクセル以上、例えば2560×1440ピクセルより上の解像度でないと使えなかったが、最新バージョンの「DLSS 2.0」ではフルHD(1920×1080ピクセル)でも利用可能になった。
実際に、DLSS 2.0対応の「DEATH STRANDING」を利用しDLSS有効時と無効時を切り替えてみると、有効時はフレームレートが20fps程度アップした。背景の滝の表現や、水面の表現がシンプルになっているものの、キャラはジャギーの減ったシャープな画になっている。
DLSS 2.0対応ゲームとGeForce RTX 2×00シリーズなら、クオリティを保ちつつ、快適なフレームレートでプレイすることを狙える。
コストパフォーマンス良好なAMD「Radeon RX 5500M」
続いては、実売価格14万円前後の17.3型ノートPC、MSI製「Bravo-17(Bravo-17-A4DDR-010JP)」のパフォーマンスを見ていこう。エントリー向けながら、CPUに8コア/16スレッドのAMD「Ryzen Mobile 4800H」、dGPUにAMD「Radeon RX 5500M」を搭載しており、パフォーマンスの高さを期待できる。
実際に試してみたところ、Radeon RX 5500Mはエントリークラスという位置付けながら、重量級の「DEATH STRANDING」でも「フルHD解像度・最高品質」で70.6fpsと、快適なゲーミングの指標となる60fpsを超えた。
また、人気MMORPG「ファイナルファンタジーXIV」の公式ベンチマークでは、「非常に快適」を示す数値(7000)を超えるスコア10764(フルHD解像度、最高品質)を記録し、平均フレームレートも73.73fpsだった。これだけの数値であれば、不満を持つ方は少ないはずだ。
最高品質では最重量級ゲームとなる「モンスターハンター:ワールド」では、平均53.3fpsと60fpsを切ったものの、人気FPS系ゲーム「Rainbow Six Siege」は中品質で平均66.5fpsとなった。「FORTNITE」では中品質で151.3fpsというフレームレートだ。リフレッシュレート144Hzの高駆動プレイを実現しようとすると、ゲームや描画品質を選ぶことになるはずだが、多くのゲームを快適にプレイできるだろう。
AMDのフレームレート向上のキーワードは「FidelityFX」
NVIDIA DLSSと同様、画質のクオリティをなるべく落とさずにフレームレートを向上させる機能としてAMDが推しているものが「FidelityFX」だ。
ゲーム開発者向けライブラリーとして公開されているFidelityFXは、GPU選ばず、DLSS非対応のGeForce GTX 1×00シリーズなどでも使える。ゲーム側での対応は必要になるがミドルクラスやエントリークラスのdGPUで快適なゲームプレイを実現できるので注目といえる。
実際、「DEATH STRANDING」と「モンスターハンター:ワールド」でFidelityFXを有効にしてみると、フレームレートはそれぞれ20fps程度向上した。エントリークラスやミドルクラスのdGPUを搭載したゲーミングノートPCでは、FidelityFXへ対応しているかどうかが、快適なゲームがキーワードになるだろう。
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