ビデオによる採用面接サービスのWilloが需要増を受け3400万円調達
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スコットランドはグラスゴーに拠点を置くビデオインタビューのスタートアップWillo(ウィロー)がシードラウンドで25万ポンド(約3400万円)を調達した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるロックダウン中にQ&Aスタイルの非同期性ビデオプラットフォームに対する需要の増大を受けてのものだ。
本ラウンドでは、ガーンジー島拠点のVCファームである1818 Venture Capitalが投資するともに、Willo役員メンバーのSteve Perry(スティーブ・ペリー)氏、Stefan Ciecierski(ステファン・チェセールスキー)氏、Peter Preston(ピーター・プレストン)氏も小規模の資本を投じた。
Willoは2018年に設立された。英国が新型コロナの感染拡大を抑えようと全国的なロックダウン措置を取った4月以降、同社のSaaSプラットフォームの使用は毎月80%増加していると話す。
顧客はまた、パンデミックでリモートワークが加速するにつれ、レビューやトレーニング、L&Dなどビデオインタビュー以外でもWilloを活用するようになった。
「当社は60カ国超にユーザー1000人を抱える。今月はこれまでの倍のスピードで成長している」とCEOで創業者のEuan Cameron(ユーアン・キャメロン)氏は話す。「ターゲットとしているのは主に人材採用、顧客リサーチ、L&D、ボランティアを抱える非営利団体などだ」
シードラウンドで得た資金は国際展開の加速にあてられる。また社員を24人増やす計画やさらなるプロダクト開発にも資金を注ぐ。
キャメロン氏は同社がプラットフォームへのリアルタイムビデオ追加に取り組んでいることを認めた。つまり、Zoomの顧客を取りに行くことを狙っている。
「当社のコアプロダクトが提供するものはシンプルで、リーズナブル価格の非同期性ビデオコミュニケーションだ。だが当社はいま、組織が非同期のビデオをシームレスにリアルタイムのものに変えられるよう、リアルタイム(ライブ)のインタビュー機能を開発中だ」と同氏は言う。
目下、雇用主が候補者に質問を提示し、候補者は質問への答えを録画できるインターフェースを提供している。簡単なレビューや共有ができるよう、同プラットフォームでは全てのビデオをダッシュボードに保存する。
人材採用での使用のために、Willoは質問集も提供している。雇用主が採用プロセスの手間を少しでも減らせるよう「何百もの」事前に用意された質問から選ぶことができるというものだ。
パンデミックの間に顧客によって始まった同プラットフォームの使用方法の拡大について、キャメロン氏はTechCrunchに次のように語った。「当社は仕事やキャリアパスで成功している世界中の人に質問するのにWilloを使っているWorktreeで教育チャリティを展開している。Worktreeはこうしたビデオを子供たちが進路の選択に生かせるよう提供している」
「欧州のとある事業会社は、可能性を秘めたニッチなインフルエンサーを見つけてトレーニングや開発のプログラムに参加してもらうのにWilloを使っている」
また同氏が示す別の使用例はインドの大学だ。学位課程を目指すソフトウェアエンジニアの募集と登録にWilloを活用している。客の声を拾い、そして顧客研究をするのにWilloを使っている企業もある。もちろん、WilloのVC投資家もユーザーであり、検討対象の会社のプレゼンにWilloのプラットフォームを導入している。
「全ての新規企業は『10分間のプレゼン』と名付けられたものの一環として、Willoを経験しなければならない。そうした企業はクールなこのワークフローを自動化するためにWilloを日程調整アプリのCalendyにつなげる」とキャメロン氏は指摘した。そして「さらに興味深いことに、これらの例は全て以前はフェース・トゥー・フェースの会議やビデオ電話に頼っていたが、新たなツールを受け入れなければならなかった」と付け加えた。
Willoはまたユースケース導入でAIを暫定的に使っている。しかしパンデミックによるロックダウン効果の結果、ロードマップは成長追求に重点を置くことにシフトした、と同氏は話す。
同社のウェブサイトは、候補者の話し方に基づいて性格や行動の特徴を特定するという目的でキーワード分析を行う「AIで動く」ベータ機能を宣伝している。
この機能について尋ねると、キャメロン氏は次のように話した。「現在ベータ展開している当社のAIは純粋にオーディオの書き換えにフォーカスしている。正確に書き換えるだけでなく、キーワード傾向をとらえられるよう鋭意取り組んでいる。例えば、あなたが分析的な人間であれば、この機能ではそうした事実を特定でき、インタビュー中の共通する言葉やテーマを分析することでインタビューをする組織にそう報告できる」
「この機能はまだごく初期段階だ。というのも、新型コロナではこれまで取り組んできたサービスの提供、追加のユースケースにフォーカスすることを余儀なくされたからだ」と付け加えた。
採用プロセスの要素を自動化するためのアルゴリズムの適用に取り組むスタートアップの数は近年増えている。そうしたツールの使用にあたっては、それぞれの場所で適用される法律が異なり、また往々にして複雑であることを考えると、偏見や差別をめぐる法的リスクも伴う(たとえば英国では平等、雇用、データ保護の法律を考慮する必要があるだろう)。
WilloがどのようにAIによるキーワード分析がインタビューを受ける候補者にとって不公正・不平等なものにつながるリスクを回避しているのか尋ねたところ、キャメロン氏は次のように答えた。「英国の平等法に関しては、当社は、お役立ちツールとして組織がWilloを使うことを確かなものにするためにスタッフのトレーニングや発達についてマンツーマンベースで組織に対応している。偏見や差別はフェース・トゥー・フェースでもライブのビデオインタビューでも起こり得るものであり、トレーニングを通じて根こそぎにする類のものだと確信している。リクエストに応じてトレーニングを提供できるようにするために人事のコンサルと提携している」
「当社はAIを効果的に、そして合法的に導入するために、そしてインタビューする側とされる側の双方にとって恩恵があるようにするために、驚くほど経験豊富なデータとコンプライアンスの専門家と協業している」とも付け加えた。
「当社のコアバリューは常に透明であり、全てのユーザーに付加価値をもたらすものだ。WilloでAIを活用することの課題の1つは、当社がやりとりの展開継続を保証することだ。ユーザーからのフィードバックで最も多いのは、ユーザーは人々と会って話をするのが好き、ということだ。なのでそれを自動化したいとは決して考えていない」
競争に関しては、キャメロン氏は主な競合相手としてSparkhire、Vidcruiter、Recrightを挙げ、フリーミアム商品を提供しているWilloはより幅広いユーザーが利用できるもの、との考えを示した。
「他社は全て主に採用にフォーカスしていて、大半の中小企業やスタートアップにとっては手が出せないほど高価だ。ビデオインタビューは、大規模の多国籍企業だけでなく、皆に恩恵をもたらすものであるべきだ」とも述べた。
画像クレジット: Willo
[原文へ](翻訳:Mizoguchi)
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