千葉大学医学部附属病院とTISが共同開発したクラウド型地域医療連携サービス「ヘルスケアパスポート」を公開
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千葉大学医学部附属病院は9月23日、TISと共同開発したクラウド型地域医療連携サービス「ヘルスケアパスポート」の提供を発表した。9月28日からアプリを配布し運用を開始する。2018年10月から運用停止していた健康管理&情報共有システム「SHACHI」(Social Health Assist CHIba)をリニューアルしたもの。
ヘルスケアパスポートの本格運用は令和3年(2021年)4月としており、今後電子お薬手帳システムやクラウド型電子カルテシステムなど既存システムとの連携(API連携)を順次進めていく予定。
ヘルスケアパスポートは、地域医療情報連携システムに参加する医療機関同士で生活者の医療・健康情報の共有や、それに伴う患者からの情報提供の同意や利用停止の申請などが電子的に処理できるクラウドサービス。
従来の個別システム構築型ではなくSaaS型(サービス利用型)のため、地域医療情報連携に必要な基本機能は独自に構築・運用する必要がなく、システムに関する導入・運用・保守コストを削減可能。投資負担が課題であった中小医療圏でも導入しやすいことを意図しており、地域の中核病院や、小さな自治体などでのスモールスタートが可能という。
また患者および家族側は、情報提供の同意を施設単位で電子的に行う電子オプトイン(スマホなどを利用した電子的な同意)機能が利用できるようにしており、紙の同意書への署名・提出が不要となる。承認された医療・健康情報は、医療従事者間で共有され、医療従事者は他の医療機関の検診結果・健康情報を把握し、適切な治療や健康増進のアドバイスを行いやすくなるという。同時に医療機関側では、紙の処理業務の事務負担が軽減され、要配慮個人情報を法令順守しつスピーディに情報連携できる。
さらに、厚生労働省により定められている医療機関データの蓄積・管理の標準的な交換フォーマットであるSS-MIX2標準化ストレージに準拠しており、一般的な医療システムとの接続性も確保しているという。
地域医療における情報連携は、この10年余りで取り組みが進み、全国に300件近くの地域医療情報連携システムが構築されているという。しかし、地域の生活者が利用メリットを実感できる機会は少なく、その参加率が伸び悩んでいる状況にある。また従来の個別構築型では、構築・運営にかかるコスト、地域の人材への負荷が大きく、継続性にも課題がある。
ヘルスケアパスポートを活用することで、従来の地域医療情報連携システムでは実現が難しかった「医療従事者間、医療従事者と生活者の医療・健康情報共有」「患者による情報共有の承認」を低コストで、安全なサービスとして利用でき、持続可能な地域医療情報連携の実現を目指すとしている。
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