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アマゾンが低帯域近隣ネットワークSidewalkの詳細を公開、EchoとTileが対応デバイスに
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Amazon(アマゾン)は昨年、家の中や外(おそらくこちらの方が重要)のスマートデバイスの接続に使用される、独自に開発した低帯域幅の新しい長距離無線プロトコルSidewalkネットワークを発表した。そのSidewalkサービスの提供開始が近づいてきた。Sidewalkは、メッシュネットワークに似ているが、十分な数のアクセスポイントがあれば、近隣全体を簡単にカバーできる。

米国時間9月21日のアマゾンの発表によると、年内にはEcho互換デバイスがSidewalkネットワークのBluetoothブリッジとなり、Ringの防犯カメラFloodlightとSpotlightも同ネットワークの一部になるという。アマゾンは、こうした低帯域幅接続によって、帯域幅のごく一部を隣人と共有することになってもユーザーは気にしないだろうと考えている。

また、Tileが近日中にリリース予定のSidewalk互換トラッカーがサードパーティー製の最初のSidewalkネットワーク対応デバイスになることも発表した。

アマゾンが最初にSidewalkを発表した際、Sidewalkネットワークの仕組みについての詳しい説明はなかった。今回の発表では、この共有型ネットワークでプライバシーとセキュリティがどのように確保されるのかに関するホワイトペーパーも公開された。以上すべての点に加え、アマゾンが描いているSidewalkに関するビジョンについて、SidewalkのジェネラルマネージャーであるManolo Arana(マノロ・アラナ)氏に話を聞いた。

Image Credits: Amazon

同氏は、SidewalkをThreadやその他のメッシュネットワークプロトコルの競合サービスととらえるのは間違いであることを強調する。「まずはっきりさせておきたいのは、SidewalkはThreadなどのメッシュネットワークとは競合しないという点だ」と同氏は述べた。「ZigBeeやZ-Waveなどのアプリケーションを思い浮かべて欲しい。Sidewalkにも同じようにして接続できる」同氏によると、開発チームは既存のプロトコルを置き換えるのではなく、別の新たな転送メカニズム、およびデバイスを接続する無線の管理方法を作成したいという。

Sidewalkネットワークを開始し、例えば、各家庭で敷地の端に設置されたスマート照明が接続されるようになるくらいその認知度を上げるには、Echoファミリーのデバイスを利用してもらうことがアマゾンにとって最善の策であることは間違いない。

「Echoデバイスは、ブリッジとして機能するようになる。これは我々にとって大きなことである」とアラナ氏はいう。「この機能のメリットを享受する顧客が多数いることは容易に想像できる。我々には、この種のサービスを実現できるようになることが何よりも重要だ。Tileは最初のSidewalk対応エッジデバイスとなり、貴重品、財布など、大切なものを何でも追跡できるようになる」。

多くの意味で、これこそがSidewalkの将来性を示している。隣人と帯域幅を少し共有するだけで、例えば、本来であれば自宅ネットワークの外側になる庭のスマート照明などに接続できるようになる。また、自宅のWi-Fiがオフになっている場合でもモーションセンサーのアラートを鳴らすことや、スマートペットファインダーを付けている迷子になった犬を探し出すことができる(これはアマゾンがSidewalkを最初に発表したときに紹介した使用例だ)。

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今回公開されたホワイトペーパーでは、共有帯域幅に制限があることを明確に示したうえで、ユーザーがネットワークへの参加/不参加を選択できるように互換デバイスのシンプルなオン/オフの制御スイッチを用意することが明記されている。デバイスが利用できる帯域幅は最大500MBで、クラウド内のSidewalkサーバーとブリッジの間の帯域幅は80Kbps以下に制限されている。

Sidewalkサービス全体のアーキテクチャは実にシンプルだ。エンドポイント、例えば、接続された庭の照明がブリッジ(アマゾンのドキュメントではゲートウェイと呼ばれている)にパケットを送信する。ゲートウェイは、Bluetooth Low Energy(BLE)、Frequency Shift Keying(FSK)、および900MHz帯域のLoRaを利用して、ネットワークの一方の端にデバイスを接続し、もう一方の端でクラウド上のSidewalkネットワークサーバーにパケットを送信する。

ネットワークサーバー(アマゾンが運用)は着信したパケットが、認証済みのデバイスおよびサービスから送信されたものであることを確認する。サーバーは、アマゾンまたはサードパーティーベンダーが管理するアプリケーションサーバーとやり取りする。

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この通信はすべて複数回にわたって暗号化されるため、アマゾンでさえ、ネットワークを通過するコマンドやメッセージの内容を知ることはできないという。暗号化は3つのレイヤーで実現される。まず、アプリケーションサーバーとエンドポイントの間の通信を可能にするアプリケーションレイヤー。次に、無線パケットを保護するSidewalkのネットワークレイヤー。そして、ゲートウェイによって追加されるいわゆるFlexレイヤーだ。これは、ネットワークサーバーに「信頼できるメッセージ受信時刻の参照を提供し、パケットの機密性を実現するレイヤーを追加する」ものだという。

さらに、アマゾンが受信するルーティング情報はすべて24時間ごとに削除され、デバイスIDは定期的に更新されてデータが特定の顧客に関連付けられないようになっている。また、一方向のハッシュキーやその他の暗号化技術も使用されている。

アラナ氏によると、開発チームは、広範な侵入テストを終え、強制停止スイッチや高度なセキュリティ機能の追加が完了するまではこのプロジェクトを公開しないことにしたという。またチームは、ネットワーク内にデバイスを安全にプロビジョニングする新しい技術も開発した。

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同氏はまた、自社製品をSidewalk対応にするチップベンダーも広範なテスト手順にパスする必要があると語った。

「Sidewalkに参加するチップベンダーに求められるセキュリティレベルを見ればわかるが、多くのベンダーは要件を満たしていない。まったく新しいチップにする必要があり、セキュアなブート機能などを組み込む必要があるからだ。このように、IoTが確実に進化しており、きわめて高いレベルに到達しようとしていることを知って、皆驚いている。しかし、まだやるべきことは山積みになっており、これはそのごく一部に過ぎない。我々は最高レベルのセキュリティが必要になることを受け入れ真正面から取り組んでいる。ベンダー側もきわめて積極的に協力してくれている」。

現在アマゾンと協力して開発を進めているチップベンダーは、Silicon Labs(シリコン・ラボラトリーズ)、Texas Instruments(テキサス・インスツルメンツ)、Semtech(セムテック)、Nordic Semiconductor(ノルディック・セミコンダクタ-)の各社だ。

アマゾンは、Sidewalkをテストするため、赤十字社と協力して、配送センターと献血所の間で血液採取と供給を追跡する概念実証を実施した。

「我々が行っているのはきわめて単純な追跡だ」とアラナ氏はいう。「赤十字社が必要としているのは、輸血用の血液が発送されたか、発送先のビルに到着したかといったことだ。Sidewalkを利用すれば、ロジスティクスが大幅に簡素化され、輸血用血液の配送効率が向上する」。

これは明らかに消費者の使用事例ではないが、Sidewalkの潜在性を示すには十分であり、これによって産業界での使用事例が増えていくことになるだろう。アマゾンは、現時点では、使用事例を増やすことに主眼を置いてはいないが、広帯域を必要としないセンサーやその他の小型エッジデバイスをSidewalkネットワークでIoT接続することにより工場などの通信ネットワークを置き換えることができる使用事例は多数存在するとアラナ氏はいう。同氏はまた、通信接続機能を組み込むとデバイスの製造コストが高くなるという点も指摘する。

アマゾンはEchoデバイスやRingのデバイスを取り込んでSidewalkネットワークの普及を一気に進めようとしている。おそらく近い将来、Sidewalkの話題をよく耳にするようになるだろう。

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カテゴリー:IoT

タグ:アマゾン WiFi

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(翻訳:Dragonfly)

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