Armが自動運転・自律制御システム向けの新チップを発表、安全性を高めるダブルチェック機能を搭載
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チップ設計メーカーのArmは米国時間9月29日、車載および産業向けの自律システム向けソリューションの新しいチップ群を発表した。このチップには、CPUにArm Cortex-A78AE、GPUにMali-G78AE、画像信号プロセッサにArm Mali-C71AEを採用する。
これら3つのチップを際立たせているのは安全機能を内蔵している点だ。ここでいう「安全性」とは、すべての計算が本質的にダブルチェックされていることを保証する追加機能を備えていることを意味する。
従来、ArmはCPUに2つのモードを提供してきた。「スプリットモード」では、すべてのコアが独立して動作し、オフラインになったときに素早く安全性をチェックする。これは、コアが最大性能に近い状態で動作するため、安全性の要求が低い、あるいはまったく必要ないアプリケーションに適している。
一方の「ロックモード」は、コアはペアで動作し、その動作は相互に照合される。これにより、これらのチップは自動車の安全性に関するさまざまな要件を満たせるが、コア数が半分しか使用できないため、パフォーマンスは明らかに低下してしまう。
そこで同社は本日、新たにハイブリッドモードを発表した。これは両方の長所を組み合わせたモードで、中程度の障害検出しか必要としないが高パフォーマンスが要求される用途に向いている。コアは引き続きスプリットモードで動作するが、コアを統合する共有クラスタロジックはロックモードで動作する。これにより、ロックモードの安全メカニズムが、別のレイヤーでスプリットモードのパフォーマンスとともに提供される。
新しいMali GPUのAEバージョンは、同社が「フレキシブル・パーティショニング」と呼ぶ仕組みを導入しており、必要に応じてさまざまなGPUコアをワークロード間で簡単に分割できるようになる。つまり、マップのような機能をドライバーの監視や計器クラスタの実行などの安全機能とは別に、1つのパーティションで実行できるというわけだ。
従来同社は、これらのAEブランドのデザインを自動車産業向けに開発していた。AEは実際には「Automative Enhanced」の略だ。しかし、現在では、より広範な自律型システムの市場をターゲットにしている。
Armで自動車事業担当副社長を務めるChet Babla(チェット・バブラ氏)は「私たちは本日、知的財産としてのAEを発表しました。もともとは『Automative Enhanced』という意味だったので、自動車市場向けの特定の機能、性能、安全性が備わっています」と説明した。「しかし、産業用OEMメーカーとの話し合いの中で、彼らの持つ安全性要件が『実際には自動車業界で行っていることは、我々が直面している安全性とコンピューティングの課題に非常に適用可能だ』ということがわかったのです」と続けた。
同社はNVIDIA(エヌビディア)による400億ドル(約4兆2200億円)買収については比較的沈黙を保っているが、NVIDIAは独自のGPUに加えてARMのCPUを使用するJetson AGXなどを使用して、自律型ロボット用の独自プラットフォームを提供している、両社が自律型システムの市場に目を向けていることは注目に値するだろう。その方針がすぐに変わることはなさそうだ。
NVIDIAのハードウェア開発担当上級副社長であるGary Hicok(ゲイリー・ヒコック)氏は「将来の自動運転車や自律動作する機械を実現するには、強力な新しい処理能力が必要です。新しいArm Cortex-A78AEのリードパートナーとして、NVIDIAは高度な性能と安全性を提供します」と述べている。
画像クレジット:SAM YEH / Contributor / Getty Images
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(翻訳:TechCrunch Japan)
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