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振動、音、温度から機械の故障を予測する技術を擁するAuguryが約58億円調達
AI.

Amazon(アマゾン)に続き、機械の調子を外から感知した音と振動と温度の物理的な変化で判定する新しい業務用サービス(Business Insider記事)提供し、その分野ですでに大きなビジネスを展開しているスタートアップが、大規模な成長ラウンドの獲得を発表した。

Colgate(コルゲート)やHeineken(ハイネケン)といった大手企業と提携し、製造ラインや配送ラインの機械の管理を行うAugury(オーギュリー)は、 5500万ドル(約58億円)の資金を調達した。共同創設者でCEOのSaar Yoskovitz(サー・ヨスコビッツ)氏はインタビューに応えて、この資金は
顧客向けサービスの拡大と、グローバルな顧客ベース、および小企業やスケールアップ企業を含むターゲット顧客層の多様化につながる提携企業のエコシステム構築に向けられると話していた。

今回のシリーズD投資は、イスラエルを拠点とするレイトステージ向け投資を中心とするベンチャーキャピタルのQumra Capitalの主導によるもので、Insight Venture Partners、Eclipse Ventures、Munich Re Venture Capital、Qualcomm Ventures、Lerer Hippeau Venturesが参加している。どれも、以前からこのスタートアップを支援している投資会社だ。なお、Auguryはイスラエルのハイファで設立され、現在はニューヨークに第2の本社を構えている。

2011年に創設され、2014年までステルスモードで活動していたAuguryは、現在までに1億600万ドル(約111億6000万円)を調達している。同社に近い情報筋の話から、評価額は2億〜3億ドル(約210億〜316億円)と推定される。

同社は、拡大により大きな工業用テクノロジーの世界で、そして競争の激しいランドスケープにおいて、注目すべき地点に到達した。

Business Insiderは9月の記事で、アマゾンが規制当局と組んで、AWS Thor(ソー)と同社が呼ぶ新サービスに取り組んでいることを示す資料を公表した。機械のさまざまな物理特性をモニターし、いつ故障するか、または少なくともメンテナンスの必要があるか否かを診断する企業向けサービスにおいて、Amazon Auguryの直接のライバルになるものと思われる。情報筋によれば、Thorは今月中にもローンチされる。そのことがより多様な顧客にサービスを拡大し、初期診断に加えより多くの分析情報を提供できるようAuguryを支援する資本投入の理由になったという。なんとも絶妙なタイミングだ。

より大きな工業市場という面では、今回の投資とAuguryの成長は、重要な局面に差し掛かった。第一に、こうしたサービスは、おそらく、以前から期待されつつも今日まで大きな利益を上げられずにいるIoTを取り巻く世界での、実行可能なビジネスモデルの最初の足掛かりになる。

それ以上に、おそらくより直近の課題として、今の世界の状況がある。具体的に言えば、新型コロナウイルスと世界的に拡大した健康被害による緊急性の高まりと、ビジネス界に及ぼした影響だ。それは、さらなるリモートワークを可能にするための、システムのデジタル化を急ぐよう促している。

それが「ナレッジワーカー」(1日中コンピューターやデスクに向かって仕事をしている人を指す造語)の働き方に与える影響については多く語られてきたが、実は前線で働く人たち、つまり組み立てラインの作業員や製造ラインのメンテナンスをする人たちにも同じことが起きている。

機械が最適な性能を発揮できなくなる時期を判定するツールを提供しているのはAuguryだけではないが、同社は、取り返しが付かなくなる事態に至る前に、いち早く修理ができるようメンテナンス担当者に診断情報を提供している。さらに、パートナーの広範なエコシステムを構築し、機械の修理に必要な部品の注文や配送も行ってきた。

「店の棚は空っぽなので、突然すべての製造業者が、よりよい協力関係とリスク管理のためのツールを求めるようになりました」とヨスコビッツ氏は話す。とくにフル稼働中に機械が故障すれば、深刻な供給停止のドミノ現象が引き起こされるという。

Auguryのパートナーには、ドイツのProPac(プロパック)、フィンランドのCaverion(キャベリオン)、イタリアのluriservice(ルーリサービス)、中南米のFuse IoT(フューズ・アイオーティー)、来た米国の42 North(フォーティートゥー・ノース)などがある。そして、保険の大手企業Munich Re(ミュンヘン再保険)のような投資家も加わっている。その他のOEMやサービスプロバイダーとして、Grundfos(グランドフォス)、Carrier(キャリアー)、Trane(トレーン)、DSVなども参加している。

「コロナ禍によって、グローバルなサプライチェーンの欠陥が露呈しました」とQumra Capital(キュミュラ・キャピタル)の業務執行社員Sivan Shamri Dahan(シバン・シャムリ・ダハン)氏は声明の中で述べている。「需要の増大による基本的な製品の不足は、供給要件に満たす能力のない製造業者と相まって、製造業界のデジタル化が喫緊の課題であることを世に示しました。Auguryは、そうしたデジタル革命において極めて重要な役割を果たし、大幅な成長を遂げています。この記録的な拡大と実務能力によりAuguryは、製造業向けIoT市場の世界的リーダーとなるでしょう。私たちはAuguryを支援し、その心ときめく旅に同行できることを喜びを感じています」。

カテゴリー:IoT
タグ:Augury、資金調達

画像クレジット:ipopba / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

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