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約2.8億円の新規投資でSoraはバーチャルハイスクールの普通校化を目指す
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新型コロナウイルスが流行するずっと以前から、アトランタの起業家団体が運営するSora(ソラ)は、ライブ配信によるバーチャルハイスクールの構想を練っていた。生徒の自主性を重視し、例えば世界の気候変動による被害を減らす方法など、生徒が取り組みたい研究テーマを中心にカリキュラムを組むというプログラムだ。生徒と教師はZoom(ズーム)とSlack(スラック)を使用して互いにコミュニケートし、毎日実際に教師が教壇に立ち、生徒との細かいやり取り(スタンドアップ)から習熟度を把握する。

パンデミックによってSoraの目標はくじかれたかたちになっているが、同時にその目標を明確にした。数百万人もの生徒が自宅に篭ることになり、バーチャル環境で効果的に親密に授業を行うことの難しさが露呈した一方で、パンデミックは当分収まりそうになく、保護者も生徒たちも、より良い選択肢を熱望している。

Soraの共同創設者であるGarrett Smiley(ギャレット・スマイリー)氏は、両親にバーチャルハイスクールへの参加を説得できると、そしてこれには子どもたちも家計も納得すると楽観的に考えている。すべては緑藻類農場から始まった。

スマイリー氏は、彼らの教育方式なら「歩くよりも先に走れるようになる」ため、生徒たちはSoraに集まると話す。このプログラムの最初の生徒たちが、SpaceX(スペースエックス)のエンジニアと一緒に自宅の庭に藻類農園を作り、入学早々に大学レベルの数学の授業を受けたという事例を彼は挙げている。

Indra Sofian(インドラ・ソフィアン)氏、Wesley Samples(ウェスリー・サンプルズ)氏とともにこの企業を共同創設したスマイリー氏は、Soraは伝統的な教育機関に息苦しさを感じていたり、「物足りない」と感じている生徒にとても人気があると語る。そのためSoraが提供する教育は、特別な支援を必要とする生徒ではなくむしろ、教育上の才能に恵まれた生徒にとって最適な場所となっている。

Soraの中心的な考え方は、私立学校に置き換わるプロジェクト型学習を中核とした代替教育だ。実際に参加するとなると、少々話が難しくなる。まず、入学希望者は2週間にわたり、例えば「外来種をどう再現するか」といった幅広い質問の答えを探し回らなければならない。時間が経過すると、1日2回の確認コールで自身の研究課題を考えるよう指示される。下の動画は、実際の「スタンドアップ」の様子だ。

自主的な研究の他に、Soraではソクラテス式セミナーとワークショップも開講する。

科学の授業にはソクラテス式セミナーはないが、「サメの物理学」のようなワークショップがある。下の図はSoraの時間割の例だ。

月曜日:スタンドアップ、ワークショップ「米合衆国憲法修正第13条」、ハンナとの惑星形成に関する1対1のディスカッション、アートクラブ、チェックポイント
火曜日:スタンドアップ、ソクラテス式ディスカッション「アイアンマンスーツは作れるか」、ワークショップ「サメの物理学」、映画クラブ、チェックポイント
水曜日:スタンドアップ、大学進学に関する1対1のカウンセリング、メンターの談話「プロテニス選手ジェームズ・ブレイク」、チェックポイント(画像クレジット:Sora)

構成も型破りだ。生徒たちは重要な課題を修了し、数学、科学、英語、歴史を含む標準的な高校教育の成績表と卒業資格を取得できる事実をスマイリー氏は強調する。また生徒たちはSAT(大学進学適正試験)とACT(大学進学用学力試験)を必ず受けることになっているが、受験準備のための学習教材は学校が提供する。

Soraにはオプションとして対面活動もある。クラスは地域ごとに編成され、生徒たちは学校以外で会ったり、スポーツチームを結成したり、Soraが主催する会合に参加することが奨励される。

学習の他にも、Soraには専門家50人からなるメンターのネットワークがあり、SATの受験準備や大学推薦手続きに関する相談など、さまざまなサービスが受けられる。

スマイリー氏によれば、まだ卒業生を出していないので最も多い卒業後の進路に関するデータはないものの、同社としては大学進学を唯一の進路として生徒に勧めることはしないという。

Soraは「次世代のカレッジや大学の代替施設」と共同の取り組みを行っていると彼は話す。ブートキャンプやインターンシップなどがそれにあたる。

Soraの目標は、自主的な学習意欲のある生徒たちのコミュニティを作ることだ。

「学校はもはやコンテンツを作り出す事業ではないと、私たちは考えています。Google(グーグル)の検索エンジンに言葉を入力するだけで、世界最大級の資料から目当ての情報を引き出せます」とスマイリー氏。「そのため、大成功を目指す学校として私たちは、超ハイクオリティーのコミュニティを作ることが自分たちの役割だと自覚しています」。

同社は、2019年に第一期生として7人の生徒を迎え入れた。現在、Sora Schoolでは39人以上の生徒とフルタイムの職員3人が在籍している。学費は生徒1人が月300〜800ドル(約3万1300〜8万3400円)だ。

学費は保護者の収入に応じたスライド制となっており、それはSoraがインクルーシブで多様性を重んじる学校であろうとする戦略に基づくものだとスマイリー氏はいう。

Soraの多様性の内訳は、白人67%、ヒスパニック15%、アフリカ系13%、アジアおよび中東系5%となっている。男子と女子のジェンダーの割合は、それぞれ54%と44%。ノンバイナリーに分類される生徒が2%だ。

メンタルの多様性に関して、Soraは特別な支援を要する生徒に応えるリソースが不足している。製品としてのバーチャルハイスクールは、誰もが入れる形には作られておらず、むしろ、自主的に独立して学習ができる生徒に最大の支援を行う場になっている。パンデミックポッド(パンデミックで増えている小規模学校)と同じく、これには裕福な生徒と低所得者層の生徒との格差を広げる懸念もある。

門戸の広さについては「もちろん考慮」していて、現在取り組んでいるところだとスマイリー氏はいう。それでもSoraは「登校型の学校のような特別な構造を必要としない生徒」のために作られた学校だとスマイリー氏は話す。そうした生徒は、世界の学習者の95%に上ると彼は見ている。

Soraが規模を拡大するにつれ、実践学習と座学とのバランスをうまくとれるかが成功の鍵を握ることになる。同スタートアップは、今週、Union Square Ventures主導による270万ドル(約2億8000万円)の投資ラウンド調達に成功したことを発表した。この資金で職員、バックエンドサポートのためのソフトウェアエンジニア、カリキュラム開発を行うマネージャーの数を増やす計画だ。このラウンドには、Village Global、ReThink Education、Firebolt Ventures、Peak State Ventures、Contrary Capital、そしてエンジェル投資家のTaylor Greene(テイラー・グリーン)氏も参加している。

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カテゴリー:EdTech
タグ:Sora

画像クレジット:valentinrussanov / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

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