「データとAIへの知識は必須」東北大学がAI教育教材を新入生2400人に提供した理由
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「データとAIへの知識は必須」東北大学がAI教育教材を新入生2400人に提供した理由
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株式会社aiforce solutionsは2020年7月22日、国立大学法人東北大学データ駆動科学・AI教育研究センターと2020年6月2日に共同研究契約を締結し、東北大学の新入生2400人向けにデータ科学・AI教育の基礎教育コンテンツ「AIMD for Future」を2020年6月より提供開始したと発表した。

東北大学では、これまでもAI教育に取り組んでいる。たとえば、AI・データスキルを習得させるための数理、統計、機械学習など幅広い教育コンテンツは提供されていた。しかし、いずれも難易度の高いものが多く、文系・理系問わず新入生全員がAI・データスキルの体得が難しいことが課題だった。

そこで東北大学は、AI教育教材であるAIMD for Futureを新入生2400人に提供することで、これまで以上に多くのAI人材の育成および輩出を目指す。

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基礎知識がゼロでも専門的な講義を理解できるレベルにまで到達可能

東北大学と共同研究契約を締結したaiforce solutionsは、2019年夏から東北大学経済学部において科目「ビジネスデータ科学」を担当している。この科目では、社会やビジネス現場におけるAI活用事例に関する講義だけでなく、aiforce solutionsのマウス操作だけで機械学習を活用した予測モデルを構築できる「AMATERAS RAY」を使用した演習や、中小企業へのAIを活用した課題解決提案なども織り交ぜた実践的な講義も実施している。

aiforce solutionsが提供するAMATERAS RAYは住友商事株式会社やB-Rサーティワンアイスクリーム株式会社も活用している

東北大学の新入生に提供されるAIMD for Futureは、aiforce solutionsの実績や製品開発力と、東北大学データ駆動科学・AI教育研究センターの学術的な知見を融合させて開発された。AIMD for Futureは、文系・理系問わずデータ科学やAIについて学べる。また、新型コロナウイルス感染拡大の状況におけるオンライン授業のなかでも、e-learning コンテンツとして提供されている。

画像はプレスリリースから

AIMD for Futureでは、日本が目指すSociety5.0の社会を構築、実現するうえで必要となるAI基礎、数理・統計基礎の知識を学べる。コンテンツは大きく分けて、AIやデータを身近に感じる「導入編」、必要な基礎知識を身につける「基礎編」、演習データを活用し洞察力を鍛える「実践編」の3部構成となっている。

また、AIMD for Futureを受講することで、AIや数理・統計の基礎がまったくわからない学生でも専門的な講義を理解できるレベルにまで到達可能だ。さらに2020年後期からは、学部専門分野の「データ×課題×AI」を学べるコンテンツをAIMD for Futureに拡充する予定だ。

AIMD for Futureによる狙いは、AI・数理・統計の基礎知識を得た学生が各々の専門課程における課題をデータやAIを活用し解決できるようする人材を育成することだ。

目指すのは「AI活用の事例を実践的に学べる機会」の提供

Ledge.ai編集部では、AIMD for Futureだけでなく大学生へのAI教育プロデュースやAIを活用したビジネス課題解決のコンサルティングに関わるaiforce solutionsの取締役COO(兼 東北大学 データ駆動科学・AI教育研究センター特任准教授)髙橋蔵人氏に、なぜいまAIへの知識が求められているのかについて話を聞いた。

――髙橋氏
「東北大学や慶應義塾大学で講義をさせて頂いて感じるのは、AI教育の初心者向け、文系向けの教育が圧倒的に少ないことです。初めてAIに触れる学生がすぐにプログラミングや数理・統計の講義を受講しても、大半は興味を抱けないと思います。

私は文系の人間で、AIに必要とされる数理・統計などは苦手でした。それこそ『わからない』『ついていけない』といった人の気持ちもわかります。そのため、私の役割は、数少ない文系AI人材として、これまでAIに興味、関心を持たなかった生徒に興味を持ってもらう、自ら学んでみたいと思わせることだと考えています。

東北大学での講義では、数式やプログラミングは一切使わず、『なぜAIが必要とされているのか』『DXとは何か』『どのようにAIが実際のビジネスや社会で活用されているのか』をリアルタイムの実例を交えて紹介しています」

続けて、髙橋氏はこれから来るAI活用時代について話した。

――髙橋氏
「AIは『作る』から『使う』時代へとシフトすると思います。くわえて、これから先、企業が生き残るにはDXが必須だと考えています。

新型コロナウイルス以降、マーケットが企業を評価する視点に変化があり、DX推進しているかどうかを非常に重視しています。事実、コロナ禍においても株価を上げている企業がいくつもあります。そんなDXを成功に導くためには、『データ』と『AI』への知識は必須です。

ですので、Society5.0の社会に移り変わる節目、さらにデータが社会のインフラと言われる時代にデータやデータから価値を見出すAIのリテラシーは、すべての学生に必要と考えています。しかし、すべての学生がAIを作れるようになる必要はないでしょう。大事なことは、いわゆるプログラミングや高度な統計知識などでどのようにAIを作るのかではなく、『どのように使うのか』『どのようにデータやAIを活用してビジネスモデルを作るのか』です」

そして最後に、AIMD for FutureによるAI教育の展望を聞いた。

――髙橋氏
「AIMD for Futureは、まだまだ発展途上です。今後、学生からのフィードバックを受けながらさらにわかりやすいコンテンツへと改良を重ねていきます。それこそ、AIMD for Futureは学んで終わりではなく、継続的に学びを提供できるプラットフォームとして考えています。

AIMD for Futureでは今後、演習問題の作成に力を入れていきます。たとえば、経済学・ビジネス×AI、工学×AI、医学×AI、文学×AIなど、学部専門的な課題とデータを準備し、AIの部分は弊社(aiforce solutions)の専門知識やスキルがなくてもAIモデルが構築できるツールである『AMATERAS RAY』を使うといった演習を提供できるようにしていきます。そうすることで、多くの大学生が初めてAIについて学ぶ、そして専門課程でのAI活用の事例を実践的に学べる機会を提供したいです。また同時に、AIを学びたいと考えている社会人へ向けたリカレント教育としてもコンテンツを活用していければと考えています」

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