東京大学とソフトバンクなどが「Beyond AI 研究推進機構」設立、10年間で最大200億円を拠出
AI.
東京大学、ソフトバンク、ソフトバンクグループ、ヤフーは8月6日、世界最高レベルのAI(人工知能)研究機関として「Beyond AI 研究推進機構」(旧:(仮称)「Beyond AI 研究所」)を設立し、2020年7月30日に共同研究を開始したと発表した。
ソフトバンク、ソフトバンクグループおよびヤフーから10年間で最大200億円を拠出。日本が世界をリードするための研究・事業活動を大胆に推進することで、AIを超える学術分野の開拓を目指す。
Beyond AI 研究推進機構は、共同研究開始にあたり、AI自体の進化や他分野との融合など、最先端AIを追究する中長期の研究テーマ10件および研究リーダーとして、東京大学が誇る各学術領域のトップクラスの研究リーダー10人が参加する。
また研究成果を基に、10年間で10件の事業化、3件の新学術分野の創造を目指すなど具体的な数値目標を設定するとともに、ソフトバンクが組成する50人規模の事業化推進チームとの連携により、初期段階から、データ分析やAI開発、戦略策定などの観点で中長期研究をサポートし、事業化を見据えた研究を効率的に推進する。
また、AIで共通利用される基盤技術に着目し、下記4領域で既存のAIを超える研究を推進する。
- デバイス領域(物理とAIの融合):集積回路の物理的限界を突破し、微細化・高速化・省エネルギー化のブレイクスルーを図る
- インテリジェンス領域(脳科学とAIの融合): 特定課題のみに対応する従来のAIから、人間の脳のように複合的・想像的活動を実現するAIを目指す
- データ領域(AI自体の進化):データクレンジングや教師データ作成などのコスト問題の解決に向けて、限られた教師データによるモデル構築など機械学習システム自体の変革を目指す
- サービス領域(AIと社会): AIなどのデジタル技術がもたらす倫理や差別などの社会課題を横断的に研究
同研究推進機構は、東京大学の学内および海外の有力大学の研究者による最先端のAI研究を行う中長期研究と、研究成果を基に事業化を目指すハイサイクル研究という2方向で研究を行い、事業によって得たリターン(事業化益)をさらなる研究活動、次世代AI人材育成のための教育活動に充てることでエコシステムの構築を目指すことが特徴となっている。
また、今年度中にハイサイクル研究拠点を設置し研究を開始する予定で、中長期研究によって生まれた成果や知財を生かし、医療・ヘルスケアやスマートシティー、MaaSなどの分野において、CIP制度を活用した迅速な事業化に取り組むとしている。CIP制度とは、経済産業省が制定した研究促進制度で、大学・企業などが共同で素早く研究開発組織を立ち上げ、研究成果を基に設立したジョイントベンチャーを株式会社として事業化できる制度。
着実にリターンを創出する拠点としての役割を担うことで、エコシステム構築を加速し、AIが社会や人々の幸せに貢献することを目指していく。
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