初めて1800ドルを突破したテスラ株の理由なき高騰
AI.
米国時間8月17日、Tesla(テスラ)株が初めて1800ドルを突破した。同社の時価総額を3410億ドル以上(約36兆円)に押し上げる驚きの急騰だ。
いくつか数字を見てみよう。テスラは2019年に36万7500台の自動車を販売し、2020年には50万台の大台を目指している。その時価総額は米国の三大自動車メーカーであるGM(ゼネラルモーターズ)、Ford(フォード)、Fiat Chrysler(フィアット・クライスラー)を合わせたよりも大きい。それどころか、現在テスラの時価総額は3社「合計」の3.5倍を超えている。
ちなみにテスラが2020年に50万台以上(決して小さくない数字である)の車両を販売予定なのに対して、2019年にFordは米国だけで241万台を売った。同じ年にFiat Chryslerは220万台、GMは289万台を米国で販売した。それでいて、テスラは3社を束にしたより何倍も価値が高いのだ。
値上がりの理由?
米国時間8月17日、テスラ株が11.2%以上値上がりして1835.64ドルで引けた根本的理由は見当たらない。MarketWatchによると、WedbushのアナリストであるDan Ives(ダン・アイヴス)氏が8月17日にテスラに対して高評価を与えたようだが、それはそれだけのこと。数百億ドル(数兆円)の価値を上げる話ではない。
これは、有名電気自動車会社でこの春始まった値上がりが、テスラが最近発表した5対1の株式分割計画で加速しているという話だ。
小さな雪玉が雪崩へと変わるように、その変化は驚くべきものだった。2年前のテスラを思い出して欲しい。CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は「資金を確保した」とツイートし、テスラを1株420ドルで買い戻して非上場化しようと考えていた。
その後、マスク氏は発言を撤回し、テスラは上場を維持した。しかし、その後の一連のツイートや漏洩したメールが米国証券取引委員会(SEC)の目に止まり、後にマスク氏を証券詐欺で告発した。不正行為を認めないまま両者は和解に至った。その際テスラは、独立社外取締役2名を登用し、マスク氏が3年間会長職につかないことに合意した。
不安定な株らしく価格は乱高下した。2019年8月にテスラ株は52週安値の211ドルに達した。それ以来同社株は約770%値上がりした。
テスラの価値を評価する
金融界で繰り返されるジョーク。ある会社の株価に説明できないおかしなことが起きた時、その動きは「まちがいなく」将来のキャッシュフローの現在価値の変化に基づいている。8月17日にテスラ株が、重大ニュースもないのに急騰したのはその一例だ。
つまり、この動きはテスラの将来のキャッシュフローの現在価値の変化に基づいている。
ジョークはさておき、どんな財務基準で測ってもテスラ株のおかしな過剰買いは見られない。YChartsによると、株価売上高倍率で見てテスラは売上の13.7倍前後で取引されている。GMはというと0.38倍。トヨタ自動車の株価売上高倍率は0.77倍でGMの約2倍とずっと高い。
しかしそれはテスラが支配する売上マルチプルの一桁%にすぎない。トヨタ自動車の株価純資産倍率は0.98倍、テスラは34.6倍だ。これもYChartsのデータによる。
これはテスラがライバルたちを抜き去って電気自動車市場でトップの座を確保し、今後10年間EVを支配して株主には配当と買い戻しのシャワーを浴びせるということなのかもしれない。少なくとも8月17日の株価はそう振る舞った。もし、投資家の期待に届かなかったときには、どこかで反発があることを予測されたい。そしておそらくあと何日かは、また理由もなく10%高くなるかもしれない。
おわかりのように、将来のキャッシュフローの現在価値が10%上がったとしても、ニュースには出ない。
以上、なぜテスラ株が上がったのかを探ろうとしたTechCrunchのシニア・エディターKrstenと寄稿者Alexの今日の見立てだ。
カテゴリー:モビリティ
タグ:Tesla / テスラ
画像クレジット:Mason Trinca for The Washington Post / Getty Images
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )
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