LiDARスタートアップのLuminarが約3600億円のSPAC合併で株式公開へ
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何年にもわたってステルスで活動してきたあと、2017年4月に自動運転車の市場に華々しくデビュー(未訳記事)したLiDAR(ライダー、光を用いたリモートセンシング技術)スタートアップのLuminar(ルミナー)が、SPAC(特別目的買収企業)のGores Metropoulos(ゴアズ・メトロポウロス)と合併した。買収後の時価評価額は34億ドル(約3600億円)になると発表された。
NASDAQ取引所に上場しているGores Metropoulosは、1980年代後半にAlec Gores(アレック・ゴアーズ)氏が設立した世界的な投資会社であるThe Gores Grou(ザ・ゴアーズ・グループ)の関連会社が支援するSPACだ。
SPACを利用した合併は、Luminarが重要な節目を迎え、ボルボが2022年にLuminarとパーセプション・スタック(知覚システム)を搭載した自動車の生産を開始すると発表してからわずか3カ月後のことだ。Luminarの技術は、高速道路用の自動運転システムを展開するために使用される。
Luminarの創業者でCEOのAustin Russell(オースティン・ラッセル)氏はTechCrunchに対して「いつかは株式公開をしたい」と語っていた。「しかし、ボルボとの取引の勢いと公開市場での関心が同社をSPACルートに導いた」とラッセル氏は語った。
Luminarは今夏、従来のIPOプロセスの代わりにSPACを利用した最新のスタートアップ企業であり、2社目のLiDAR企業でもある。LiDAR企業としては、6月にVelodyne LiDARが市場価値18億ドル(約1900億円)でSPACであるGraf Industrial(グラフ・インダストリアル)と合併するための取引を行った。Canoo(カヌー)、Fisker (フィスカー) 、Lordstown Motors(ローズタウン・モータース)、Nikola(ニコラ)の電気自動車のスタートアップ4社も、ここ数カ月で従来のIPOの道を避け、代わりにSPACとの合併契約を通じて株式を公開することを選択している。
LuminarはAlec Gores、Van Tuyl Companies、Peter Thiel、Volvo Cars Tech Fund、Crescent Cove、Moore Strategic Ventures、GoPro創業者のNick Woodman(ニック・ウッドマン)氏、VectoIQなどの機関投資家と、既存の主要な投資家の大半が参加することで、1億7000万ドル(約180億円)の株式公開投資(PIPE)を調達(Velodyne Lidarプレスリリース)できたと述べている。また、今回の取引には、Gores Metropoulosが保有していた約4億ドル(約423億円)の現金残高も含まれる。
買収が完了した後もLuminarは社名を維持し、Nasdaqにティッカーシンボル「LAZR」で上場する。この取引は2020年の第4四半期に完了する予定とのこと。ラッセル氏は引き続きCEOを務め、Tom Fennimore(トム・フェニモア)氏は引き続きCFOを務める。ゴアーズ氏は取引終了後、Luminarの取締役会に参加する。
ラッセル氏は声明で「この節目は、当社にとってだけでなく、より大きな自動車業界にとっても極めて重要なことです。8年前、私たちは技術的にも商業的にも実現可能な解決策はないと考えられていた問題に取り組みました。私たちは、この問題を解決するためにゼロから技術を構築し、世界の主要な自動車メーカーと直接提携して、その可能性を世界に示してきました。現在Luminarは、テクノロジーと自動車の分野で豊富な経験を持ち、Luminarを原動力とした安全な自律型の未来というビジョンを共有しているGores Metropoulosとの長期的なパートナーシップを通じて、次の飛躍を目指しています」と述べている。
Luminarは2012年にラッセル氏によって設立されたが、2017年春にPeter Thiel(ピーター・ティール)氏らの支援を受けてステルスから姿を現すまで、数年間は秘密裏に運営されていた。現在25歳のラッセル氏は、大学を中退してアイデアを追求する若者に2年間で10万ドル(約1060万円)を与えるThielフェローとしてLuminarの技術に取り組んだ。
LuminarはSPAC合併の発表前に2億5000万ドル(約265億円)を調達。同社は現在、シリコンバレーに350人の従業員を抱え、フロリダ州オーランドの工場のほか、シリコンバレーでも事業を展開している。今後はミシガン州デトロイトにもオフィスを開設する予定だという。
LiDARは、レーザー光を使って距離を測定し、車の周りの世界の高精度な3Dマップを生成する。このセンサーは、自動運転車の商用展開に不可欠と広く考えられている技術だ。自動車メーカーはまた、消費者が利用可能な新しい車のトラックやSUVの高度な運転支援システムの機能と安全性を強化するために使用される重要なセンサーとしてLiDARを認識し始めている。
ボルボは、LiDARを重要と考える自動車メーカーの1社だ。LuminarのIris Lidarセンサーは、TechCrunchが以前「本当に厚いサンドイッチくらいの大きさで、以前のバージョンよりも3分の1ほど小さい」と説明したコンパクトサイズで、2022年からボルボの生産車のルーフに搭載される予定だ。
またLuminarは、米国時間8月24日、現在は解散してしまったサムスンのDRVLINEチームで働いていた16人を雇用したことを発表した。サムスンはかつてDRVLINEプラットフォームを、自動運転車市場向けの「オープンでモジュール化されたスケーラブルなハードウェアおよびソフトウェアベースのプラットフォーム」と表現していた。今年初めにTechCrunchは、サムスンがDRVLINE/Smart Machinesチームを閉鎖したと報じた(未訳記事)。
元DRVLINEチームの採用は、Luminarの戦略にも直結している。ラッセル氏は、ロボタクシーにではなく、近い将来に生産車へLiDARを応用することを考えている。同社はロボタクシーの商業化を目指す企業との協力関係を続けていくが、ラッセル氏はロボタクシーとの提携について「長期的な視点」だと考えている。
「ロボタクシーには長期的に大きな期待が寄せられていると思いますが、市場は2020年代ではなく2030年代に大きく成長すると考えています」とラッセル氏。アクティブ・ドライバー・セーフティ・システムをサポートするために使用されるLiDARは、このビジネスを牽引するボリュームと規模の経済性を提供することになるだろう」とラッセル氏は付け加えた。
カテゴリー:モビリティ
画像クレジット:Luminar
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(翻訳:TechCrunch Japan)
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