AppleのOBが運営するインドの雇用支援スタートアップが約8.5億円を調達
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中年男性のJaved(ジャベド)は運転手として働いていたが、2020年前半にインドで新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が広がって政府が全土で外出禁止の措置をとり一時的に経済活動が規制されたことから、職を失った。
ジャベドと同様にここ数カ月で暮らしの支えを失った人がインドには何百万人もいる。こうした人々は高いスキルを持たない労働者で、次の仕事を得るのに苦戦している。
Apple(アップル)のOBであるNirmit Parikh(ニルミット・パリク)氏はこうした状況の助けになれると考えている。同氏のスタートアップのApnaは、インドの労働者が新しいスキルを習得し、お互いにつながり、職を見つける支援をしている。
同氏のアプリはすでに人々の生活を変えている。ジャベドはもともと英語をほとんど話せなかったが、最近では新しい仕事であるレーズンの生産について英語で語るビデオをApnaアプリに投稿した。
Androidで動作するApnaアプリは登場から1年経っていないが、すでに120万人以上のユーザーを獲得した。
米国時間9月1日にApnaはシリーズAで800万ドル(約8億5000万円)を調達したと発表した。このラウンドはLightspeed IndiaとSequoia Capital Indiaが主導し、Greenoaks CapitalとRocketship VCも参加した。
8月最終週のTechCrunchのインタビューでパリク氏は、前述のような労働者にはきちんとしたコミュニティがないと述べた。「日雇い労働者は職探しを友人に頼っている。このため、職を見つけられる可能性は極めて低い」と同氏は語った。
Lightspeed IndiaのパートナーであるVaibhav Agrawal(バイバブ・アグラワル)氏は発表の中で「私がApnaについて最も効果的だと考えるのは、そのコミュニティだ。私は、人々がお互いに助け合ってビジネスを始め、新しい言語を学び、仕事に就くのを見てきた。コミュニティが信頼を得て、このモデルを限りなくスケーラブルなものにしている」と述べている。
労働者が苦労しているもう1つの問題は、自分のスキルセットだ。パリク氏は「電気技術者は何十年も同じ仕事を続けるだろう。彼らがスキルを高めるコースを利用することができて、それがどれほど自分にとってメリットがあるかを理解しさえすれば、仕事の範囲を広げ収入を大幅に増やせるだろう」と述べている。
Apnaはこうした隔たりをさまざまな方法で解決している。コミュニティを形成し、スキルを向上させるコースを公開しているほか、ユーザー(その大半は初めてインターネットを使う人々だ)が簡単に仮想の名刺を作れるようにしている。名刺の作成後、ユーザーのプロフィールは雇用の見込みのある企業に共有される。ここ数週間でApnaアプリから採用をした企業にはAmazon(アマゾン)、Big Basket、HDFC Bankなどがある。
直近の1カ月でApnaから100万回以上の採用面接につながったとパリク氏はいう。これは前月比の3倍以上だ。同じ期間にこのプラットフォーム上で仕事に関する会話は300万回以上交わされた。
パリク氏は、今回調達した資金でApnaのサービスを拡張し、ユーザーの起業をサポートする計画だと語る。また現在はインドの5つの都市で利用できるApnaを、将来的にはインド国外に広げる計画も立てている。
Sequoia Capital India代表のHarshjit Sethi(ハルシジット・セティ)氏は発表の中で、インドには2億5000万人を超えるブルーカラーとグレーカラーの労働者がいて、この人々に有意義な雇用の機会を提供することはインドの最も大きな課題の1つだと述べた。
さらに同氏は「こうした人々の間でインターネットの利用が急速に高まり、通信大手のReliance JioがもたらしたJio効果によってさらに加速して、Apnaのようなアプリは、多くの人が雇用とスキルアップにアクセスできるようにする上で重要な役割を果たす。Apnaはユーザーがすぐに専門職のコミュニティに参加できるというこれまで実現されていなかったニーズを満たす、他に類を見ないプロダクトを構築している」と補足した。
Apna以外の企業も支援する方法を探っている。8月にGoogle(グーグル)はインドでの検索機能でユーザーが仮想の名刺を作れるようにした。同社はインドで求職アプリのKormoもリリースしている。
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(翻訳:Kaori Koyama)
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