Rocket Labが次に打ち上げるのは小型衛星30基とゲーム業界のレジェンドが搭乗料金を支払ったノーム人形
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Rocket Lab(ロケット・ラボ)の次のミッションは、同社のKick Stage(キック・ステージ)スーペスタグを使って数十基の衛星を軌道に乗せ、同時に、Value Software(バリュー・ソフトウエア)のGabe Newell(ゲイブ・ニューウェル)氏が持ち込んだ3Dプリントによるガーデンノーム人形も宇宙に運ぶ。これは新しい製造技術のテスト用なのだが、ゲーム業界のレジェンド、ニューウェル氏による慈善活動でもある。
打ち上げは、ニュージーランドの打ち上げ場の現地時間で16日以降に設定されている。いまだ無名のこのミッション(Rocket Labはこれまですべてのミッションに小粋な名称を与えてきた)だが、同社にとって「最も多様性に富む」もとになると広報資料には書かれていた。
合計で30基の衛星を、Rocket Lab独自のKick Stage放出プラットフォームから放出する。Kick Stageは他社のスペースタグと同じく、特定の予備軌道に到達した際に第2段ロケットから切り離され、ペイロードをそれぞれ固有の軌道に送り込むというものだ。Rocket Labが一度に打ち上げる衛星の数としては、今回が最大となる。
そのうち24基は、Swarm Technologies(スウォーム・テクノロジーズ)の超小型衛星SpaceBEE(スペースビー)だ。サンドウィッチ程度の大きさの通信衛星で、IoTのためのローコストで低帯域幅のグローバルなネットワーク構築に使われる。
だが最も奇抜なペイロードは、なんといっても「ノーム・チョンプスキー」だろう。こいつの搭乗料金はValue Softwareの社長であるニューウェル氏が支払った。3Dプリントで作られたこの人形は、大気圏再突入で燃え尽きるまでKick Stageに固定される。これは、人気PCゲーム「Haif-Life」シリーズに登場するアイテムのレプリカだ。「ロード・オブ・ザ・リング」など数多くの映画制作に関わったエフェクトスタジオWeta Workshop(ウェタ・ワークショップ)が制作した。便利に使える可能性のある新しいコンポーネントの印刷技術のテストであると同時に、「世界のゲーマーの革新性と創造性へのオマージュ」でもある。
しかしもっと大切なこととしてニューウェル氏は、打ち上げを視聴した人から1ドルずつStarship Children’s Hospital(スターシップ子ども病院)への寄付を募ることにしている。なので、みなさんもぜひ今回の打ち上げを見て欲しい(現在、ニューウェル氏に詳しい話を聞かせて欲しいと打診中)。
この他に、TriSept(トライセプト)、Unseenlabs(アンシーンラボズ)、Auckland Space Institute(オークランド宇宙研究所)の衛星も搭載される。オークランド宇宙研究所のものは、ニュージーランドで初となる学生が製作した宇宙船だ。
Rocket Labでは、見込み客がサービスやコンポーネントをあちこち探し回らずに済むよう、すべてが1つに収まった打ち上げプラットフォームの開発に力を入れてきた。同社CEOのPeter Beck(ピーター・ベック)氏によれば、理想は基本的な骨組みだけ持ち込めば、後はすべて同社が面倒を見るというかたちだという。
「小型衛星の運用者は、相乗りミッションで打ち上げる際に、軌道で妥協する必要はありません。今回のミッションでは、30基の衛星それぞれにオーダーメイドの宇宙への道を提供できることに対して私たちは胸を躍らせています。私たちがKick Stageを開発したのはそのためです。どのミッションでも注文どおりの軌道に乗せることができるよう、また、宇宙船の推進装置を開発したり、サードパーティーのスペースタグを使うといった余計な手間、時間、コストを排除できるようにです」とベック氏は広報資料で述べている。
Rocket Labでは、先日、自前の衛星First Light(ファースト・ライト)も打ち上げた。ベック氏の言葉を借りれば「ウザイこと」なく軌道に載せられることを証明するためだ。
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カテゴリー:宇宙
タグ:Rocket Lab、ロケット、人工衛星
画像クレジット:Rocket Lab
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(翻訳:金井哲夫)
引用先はこちら:Rocket Labが次に打ち上げるのは小型衛星30基とゲーム業界のレジェンドが搭乗料金を支払ったノーム人形