エクイティ報酬における本当の公正の必要性
AI.
著者紹介:Carine Schneider(キャリン・シュナイダー)氏はAST Financial(ASTファイナンシャル)事業部AST Private Company Solutions, Inc.(株式会社ASTプライベート・カンパニー・ソシューションズ)の社長を務めている。
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私のキャリアは1980年代中盤のOracle(オラクル)から始まり、おなじみの界隈、特にシリコンバレーでフォーチュン50からグローバルコンサルティング企業まで、さまざまな企業で働いたり、提携したりしながら、現在率いるSaaS企業を含む数多くのスタートアップを先導してきた。私はキャリアを通じてテクノロジー企業との連携で特定分野を開拓してきただけでなく、グローバル報酬プログラムの設計や実装にも重点を置いてきた。
つまり、テクノロジーと報酬の仕組みの2つに関しては熟知している。
私が35年以上にわたり目の当たりにしてきた報酬の進化は飛躍的だ。中でも女性の地位と報酬においては本質的にとてつもない変化、主に良い方向への変化を遂げている。だが、中には外見だけ取り繕っているというケースもあるのが現実だ。企業が、多様性を重視する強固な文化を持っていると公表するのは、良いPRになる。優れた人材を引き寄せることができるからだ。だがそれを有言実行しないと、社員の大量退職や訴訟に発展する場合がある。最近で言うと、Pinterest(ピンタレスト)やCarta(カルタ)がそうだ。
男女における報酬の平等へのコミットメントを公表しているIntel(インテル)、Salesforce(セールスフォース)、Apple(アップル)のような企業では、もう何も確認することはないのだろうか?いや、実際にはまだまだ最終ゴールには程遠い。 もちろんガラスの天井にひびは入ったが、ロングテールで多岐に及ぶ女性への報酬に関する、深刻かつ大きな未解決の溝が、特にスタートアップでは埋まっていない。企業のストックオプションといった経済的報酬の基本的な措置が、同一賃金の会話で検討さえされないことも多い。
基本的に進捗していることは明らかだが、控えめに言っても報酬の男女差は未完の計画だ。近年、米国労働統計局によって、白人女性の報酬は白人男性の83.3%、アフリカ系アメリカ人女性の報酬は同男性の93.7%、アジア人女性の報酬は77.1%、ヒスパニック系の女性の報酬は85.1%であったことが判明している。
Payscale(ペイスケール)によると、収入の中央値で比べた男性と女性の賃金差は2015年以降、たったの0.07ドル(約7円)減っただけで、2020年では、男性が1ドル(約105円)稼ぐところを女性は0.81ドル(約85円)となっている。長期的にみて、40年間のキャリアで与えられる推定昇給額を計算すると、女性は自身のキャリアを通じて90万ドル(約9500万円)ほど損失する可能性がある。
だがこれは氷山の一角にすぎない。性別による報酬格差を単に脱し、現金給与格差だけになったとしても、まだほかにも見直すべきところがある。有名な商品宣伝のセリフ「ちょっと待ってください!まだほかにもあります!」を引用するが、私はその「まだほかにも」がもっともっと問題だと思う。
シリコンバレーやニューヨークのシリコンアレーなどの革新的なスタートアップが引き続きビジネス環境を新しい形に整える中で、ほとんどのスタートアップが聡明な起業家精神あふれる人材を引き付けることができる方法は何なのか?企業には素晴らしいアイデアと、もしかしたらサンドヒルロード(シリコンバレーの心臓部)のVCへの足掛かりがあるだけなので、給料でないことは明白だ。高給も充実した手当もない。その代わりに株式/エクイティ報酬というお馴染みのニンジンをぶら下げる。
「あなたがApple(アップル)にいけば、18万ドル(約1900万円)は得られることは承知しています。でも当社は4万8000ドル(約500万円)と現在1株あたり62ドル(約6500円)の自社株式1000株を用意します。ベイエリアのエリートぞろいの当社の役員会では、株価は2年間で急騰すると予想しています。公開されるのを待つだけです」。
少なくともあなたが有望な男性だったら、これは口説き文句だ。だが女性の場合は歴史的に、さまざまな理由でこうした有利な報酬パッケージから取り残される傾向なのだ。
どうしてこうなったのか?ビジネス文化を推進させるだけでなく、株式会社の報酬と株式分配における不平等を解決するための法的措置はあるが、株式会社が株式値上がり益の分配や管理をする方法については、何も制定されていない。そして言うまでもなく、値上がり益は莫大になる可能性がある。
これは道理にかなっている。多くの企業は、さらには世間知らずの求職者でさえ、株式を役職/報酬(2つは繋がっている)や手当の先にある、報酬の「第三の柱」として考えているのだ。誤って導かれているのであるが、男女の給料格差を考える多くの人にとって、スタートアップの株式は最重要ではなく、無視または誤解されることが多い。
「Journal of Applied Psychology(ジャーナル・オブ・アプライド・サイコロジー)」で公表された最新の調査によると、男女間のエクイティベースの報酬の差は15%~30%であるという。会社での職務や勤務年数の差を含め、女性の給与が歴史的に男性よりも少ない一般的な理由の説明を超えている。こうした企業の多くが大規模な査定に取りかかる予定で、中には利益をもたらすIPOや買収に取りかかる企業もあるそうだ。
これは私が大分前に認識した問題であり、ニューヨークベースの親会社ASTを代表して、ベイエリアのスタートアップを先導することに同意した大きな理由だ。私は、共有の倫理基準によって植え付けられた純粋に公平な文化へのコミットメント、男女平等を支援する企業の方が業績もリターンも良いという信念、多様性が独自の視点をもたらし、人材の確保を促し、より強固な文化を築いて、クライアントの満足を支援するという確信を得た。
業界仲間と話す際に、CEO(男性でも女性でも)が解決のために尽くしていることが分かる。私は、報酬についての幅広い概観をつくることが、スタートアップや、グローバル複合企業、その中間のすべての企業にとって不可欠だと信じている。あなたが指導的地位にいて、これが自社で解決が必要な課題であると認識しているのであれば、次の手順を実施することをお勧めする。
- データを確認:分析する。これが自社で本当に問題になっているか確認し、もしそうであれば、均等な機会作りにコミットする。改善戦略を通じてサポートできる経験豊富なコンサルタントは大勢いる。
- 主観を取り除く:独立した裁定人を雇用しデータを分析してもらう。これにより権力闘争や感情、作業生産物の先入観を排除できる。
- バンド型報酬を作成:政府のGS制度のように、特定の役割のバンド型報酬といった給与等級制度を設ける。人材を雇用する前に、その職務が割り当てられるバンド(給与の幅)を決める。
- 優秀な人材に権限を持たせる:社内で平等を本当に推進する優秀な人材、つまり会社全体における平等性の実現に基づいて業績を評価された人材を特定し、権限を持たせる。人事部長に任命する代わりに、チーフ・ダイバーシティ・オフィサー(Chief Diversity Officer、CDO)の役職を与える。結局これは、給与や保険手当よりも大きい。これは会社の文化であり、よって基盤となる。
- 役員会を参画させる:平等性が重要な理由について役員会を教育する。役員会がこれを重視しない場合は、最終的には重要でなくなってしまう。企業に監査委員会議長や指名・推薦議長を設け、「社風担当議長」を特定する。
私たちが最初に作成したレポートの1つは「給与比較レポート」だ。マネジメント職の誰もが簡単に使えるツールで、全従業員の株式付与を確認し、異なる人種や性別間で平等性を実現できる。確認しようという気があれば容易にできる。
私が大学を卒業し、ロナルド・レーガンが大統領であった年、私たちは女性がガラスの天井を突き破る可能性について話していた。長年を経た現在、手をたたくだけでスイッチの切り替えができる照明が開発されたし、ほとんどの人はスーパーコンピューターを手に歩き回っている。報酬の3柱(現金、手当、株式)を含む、男女における平等な報酬を優先事項として要求することは、本当に無理難題なのだろうか?
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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:コラム
[原文へ](翻訳:Dragonfly)
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