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AIによるダイナミックプライシング活用の電力サービス開始、電気自動車の充電シフト実証実験も
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AIによるダイナミックプライシング活用の電力サービス開始、電気自動車の充電シフト実証実験も

デジタルイノベーションで脱炭素化社会の実現を目指すCleanTech(クリーンテック)企業のアークエルテクノロジーズは11月5日、業界初のAIによるダイナミックプライシングを活用した電力サービス「アークエルエナジー」を発表した。AIを活用し、変動する価格で電力を購入できる「DPプラン」、100%クリーンなCO2フリー電気だけを使用した基本料金無料の従量料金プラン「フラットプラン」を用意。両プランともすでに開始済みで、九州エリアより順次全国展開予定。

また、経済産業省・資源エネルギー庁の実証事業「令和2年度 ダイナミックプライシングによる電動車の充電シフト実証事業」に採択され、電力卸取引市場の動きによって価格が変動する「ダイナミックプライシング」による電気自動車(EV)の充電シフトに関する実証実験を、11月1日より開始したと明らかにした。

AIによるダイナミックプライシングを活用した電力サービス「アークエルエナジー」

アークエルエナジーは、利用者のニーズに合わせて「DPプラン」(ディーピープラン)と「フラットプラン」というふたつの料金プランからCO2フリーなクリーン電力の購入方法を選べる電力サービス。

DPプランは、AIを活用し、変動する価格で電力を購入できる業界初のダイナミックプライシングを活用したプラン。税別1000円の月額利用料を支払うことで、30分ごとに変動する電気料金を原価で購入可能となる。利用者は、事前にLINEで通知された電気料金を参考に安いタイミングで電気を利用することで、家庭の電気料金を1〜3割節約できるという。AIによるダイナミックプライシングを活用した電力サービス「アークエルエナジー」

AIによるダイナミックプライシングを活用した電力サービス「アークエルエナジー」

電力小売市場では、クリーン電力の供給量が増加する昼の時間帯に電気料金が安くなる傾向にあるため、同サービスが普及し安価な電力の利用を促進することで、クリーン電力の有効活用促進を狙う。

DPプランは、30分ごとに変動する日本電力卸売市場(JEPX)の価格によって電気料金(従量料金の部分)を決定。託送料と電気料金はアークエルテクノロジーズが原価で提供する。また、アプリからマイページを参照することで、EVの充電履歴や料金を確認できる。

料金の概要は、サービス料(月1000円固定)+託送料(kWhあたり固定)+電気料金(kWhあたり変動)の合計(再エネ賦課金は別途発生)となっている。

例えば、一般的な戸建て3人世帯の電気代(九州電力の従量電灯B 40A契約で、毎月556kWh使用の場合)では、毎月約5164円(約35%)節約可能としている。AIによるダイナミックプライシングを活用した電力サービス「アークエルエナジー」AIによるダイナミックプライシングを活用した電力サービス「アークエルエナジー」

フラットプランは、100%クリーンなCO2フリー電気だけを使用。基本料金無料で、使用量に応じて電気料金を支払う従量料金プランとなっている。一般的な電力会社とは異なり、どれだけ電力を使用しても1kWhあたりの単価が変わらないため月々の支払い料金を抑えられる(九州電力管内においては、一律1kWhあたり税込23.3円で提供)。

例えば、一般的な戸建て3人世帯の電気代(九州電力の従量電灯B 40A契約で、毎月556kWh使用の場合)では、毎月約1745円(約11%)節約可能としている。AIによるダイナミックプライシングを活用した電力サービス「アークエルエナジー」

「ダイナミックプライシング」による電気自動車(EV)の充電シフトに関する実証実験

今回の実証実験では、EVやPHV(プラグインハイブリッド自動車)がさらに普及した未来社会に向け、クリーンエネルギーを有効活用した電力供給をどのように実現していくかの検証を行う。令和2年(2020年)9月から九州電力エリアで実証実験を開始し、令和3年度(2020年度)以降は全国に拡大予定。

アークエルテクノロジーズが小売電気事業者として、日本卸電力取引所(JEPX)での取引を活用し、電力市場価格に連動した料金契約サービスを提供。30分ごとに電気料金が変化している中、同社が料金情報をLINEやウェブ上から利用者に通知することで、電気料金が安い時間帯での充電を促進できるとしている。

実証実験における利用者への情報通知は、同社が開発を進めるエッジAIとIoT機器を活用した「充電を最適化するアルゴリズム」をもとにして行う予定。現在、東京大学先端科学技術研究センターと連携し、同センターの特任助教である辻真吾氏を中心とした学術指導のもと、開発を進めている。

また実証実験にともない、同社ではモニターを募集。モニターは、同社開発のIoT機器をEV(ダッシュボード)と自宅(ブレーカー周辺)に設置する。

実証実験で使用する車載器

実証実験で使用する車載器

実証実験で使用する検定なしメーター(自宅/事務所に設置)

実証実験で使用する検定なしメーター(自宅/事務所に設置)

電気料金が安い時間帯の充電とクリーンエネルギーの有効活用

同社は、電気が安い時間帯に充電することがクリーンエネルギーの有効活用となる理由として、再生可能エネルギーの導入が拡大すると、季節・時間帯によっては電気が余る時間帯が出てくる点を指摘。すでに九州では、よく晴れた春と秋に太陽光発電の出力を制御することが多くなっており、2019年は出力制御が48日(一般家庭約年間1万世帯分に相当)発生しているという。「ダイナミックプライシング」による電気自動車(EV)の充電シフトに関する実証実験

発電量が需要量を上回る場合、まず火力発電の出力抑制、揚水発電のくみ上げ運転による需要創出、連系線を活用した他エリアへの送電を行う。それでも解消されない場合、バイオマス発電の出力制御の後、太陽光発電、風力発電の出力制御を実施する。水力・原子力・地熱は「長期固定電源」と呼ばれ、出力の小刻みな調整が技術的に難しく、最後に抑制するという。これを「優先給電ルール」と呼び、手順が法令で定められているそうだ。

電力は日本電力卸取引市場(JEPX)を通じて電力会社間で30分単位で取引されている。九州において太陽光発電の出力制御が行われている時間帯では、その取引価格が急激に下がり、通常5円~7円/kwhのところ0.01円(1銭)/kwhに貼りつく状況が見られるという。

またこの時市場では、電力供給に余裕のある時間帯は取引価格が安く、需給が逼迫している時間帯は取引価格が高いという特徴が見られるとした。これらの理由から、市場価格と連動するダイナミックプライシングによる充電シフトは、クリーンエネルギーの有効活用に寄与すると考えているという。「ダイナミックプライシング」による電気自動車(EV)の充電シフトに関する実証実験

2018年8月設立のアークエルテクノロジーズは、ソーシャルアントレプレナー精神とともに「デジタルイノベーションで脱炭素化社会を実現する」をミッションとして掲げ、福岡・東京の企業を中心に「脱炭素化プラットフォームサービス事業」「DXコンサルティング事業」などのサービスを提供。

脱炭素化社会に向けては、化石燃料から再生可能エネルギーへのシフトが重要である一方、再生可能エネルギーは変動が大きく余剰になることも多いという課題がある。この解決に向け同社はテクノロジーを活用し、クリーンエネルギーを最適に利用できる社会システムの構築を目指している。

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カテゴリー: 人工知能・AI
タグ: アークエルテクノロジーズ環境問題(用語)再生可能エネルギー(用語)電気自動車 / EV(用語)モビリティ日本

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