新型コロナ感染を98.1%の精度でAIが判定、松尾豊さんがAIと医療の可能性に言及
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東京大学特任教授 日下部守昭氏、テラ株式会社代表取締役 平智之氏、CENEGENICS JAPAN 株式会社 代表取締役社長 藤森徹也氏、一般社団法人医療AI画像診断プログラム研究開発機構 青木保一氏(左から順に)
テラ株式会社とCENEGENICS JAPAN株式会社は11月9日、共同で記者会見を開き、新型コロナウイルス(COVID-19)患者のCT画像から、その患者が重症化するか否かを判断できる、画像解析AIプログラムソフトウェアを開発すると発表した。
もととなるCOVID-19肺炎画像解析AIプログラムは、新型コロナウイルス感染の有無を98.1%の精度で判定できるというもの。すでに厚生労働省所管の独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)で承認を得ているという。
重傷な新型コロナを改善する治療法が開発
また、テラとCENEGENICS JAPANは、新型コロナウイルス感染症に有効な「幹細胞(かんさいぼう)」を用いた国内初とうたう、新たな治療法の開発に成功したことも正式に発表。治療薬は「プロメテウス」と名付け、メキシコ時間9月2日に薬事承認を取得したとのこと。
プロメテウスは、子宮内膜由来幹細胞とエクソソームによる、重症新型コロナウイルス肺炎治療薬。両社によると、新型コロナウイルス肺炎のうち、重症化するのは全体のわずか2割以下という。プロメテウスは重症化の原因であるサイトカインストームを治療・改善できるため、プロメテウスがあれば前の生活を取り戻せるとしている。
なお、画像解析AIプログラムソフトウェアの開発にあたっては、中国武漢での新型コロナ患者2500名分のCTデータを読み込んだ。プロメテウスはコロナ重症患者に対し、効果がある治療薬であることから、患者に対してプロメテウスを処方すべきかどうか、この画像解析AIプログラムで事前に判断できる。また、医療費の節減にも効果が期待されるとのこと。開発後は本ソフトの販売独占権をテラが取得する。
松尾豊さん「『医療とAI』は大きな可能性を秘めている」
記者会見のなかでは、株式会社CESデカルト AI技術顧問を務める東京大学教授 松尾豊さんのビデオメッセージが流された。
松尾豊さんはビデオメッセージのなかで、まずは今回の一連の発表について「この度は、医療AI画像診断プログラム研究開発機構という形で、さまざまなAIのシステムが開発され、また承認にも至っているということで、大変素晴らしいと思っています」と語った。
また、松尾豊さんの自身の専門分野であるAIのディープラーニング(深層学習)に言及し、「『医療とAI』は非常に大きな可能性を秘めていると思います。AIのなかでもディープラーニングという技術はここ数年、飛躍的に技術が向上しています。画像の認識などなどで、従来できなかったようなことを次々と実現しています。当然、技術の飛躍は医療にも大きな影響を与えると思っています」と話している。
続けて、「とくに医療画像を使った診断に関しては、お医者さんの人手が不足していることもあり、社会的にも意義が大きいと思っています。世界的にも医療画像の診断は急速に実用化が進んでおり、日本としても積極的にやっていくべきだと私は常々思っています」と考えを明らかにした。
最後には、松尾豊さんは「こういった一連の動き、私自身も大変楽しみにしています。ぜひ、日本のなかで、大きなインパクトにつながっていくといいなと思っています」とメッセージを送った。
>>ニュースリリース
松尾豊さん「AIのチャンスを掴めるのは若者だけ」
なお、Ledge.ai編集部では、日本ディープラーニング協会(JDLA)が8月22日に、「第1回全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト2020(DCON2020)」本選を開催した際、今回ELYZAの技術顧問に就任する松尾豊さんにインタビュー取材を実施した。
同取材では「今後のAI社会を踏まえて、若者に期待することは何か?」「このイベントもオンラインで開催されたが、コロナ禍をどう見ているのか?」など、質問をぶつけてみた。松尾豊さんの回答が気になる人は、以下の記事をチェックしてほしい。
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