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eスポーツが大学を救う
AI.

著者紹介:Brandon Byrne(ブランドン・バーン)氏はコンテンツクリエイター、チーム、スポンサーをプログラム上で結び、拡張するテクノロジープラットフォーム、Opera Event(オペラ・イベント)のCEO兼共同設立者である。Team Liquid(チーム・リキッド)のCFOと、Curse(カース)の財務担当VPを歴任している。

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数か月前、私はあるパネルディスカッションに参加し、eスポーツとオリンピックについての記事を書いた。そのパネルディスカッションでは、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、eスポーツが国際オリンピック委員会と連携する機会を得たかどうかを議論した。慎重に検討し調査した結果、私は基本的に「オリンピックは、eスポーツがオリンピックを必要とする以上に、eスポーツを必要とする」という結論に達した。

オリンピックについて調べる過程で明らかになったいくつかのデータには驚いた。特に、国際的なスポーツ、プロスポーツ、大学スポーツの観客についてのデータだ。eスポーツのモデルは従来のスポーツほど成熟していないが、実際には従来のスポーツと同程度の視聴者数を集めており、その数は天文学的に増加している。私は、この現象から最も恩恵を受けるであろう機関投資家がこの現象をいつまで認識しないでいるのだろう、と考えずにはいられなかった。

大学によるeスポーツへの関りについて触れると、現在、NCAA Division I(全米大学体育協会1部)には170を超える大学代表チームのゲーミングプログラムがあり、クラブの数はさらに多い。そのため、機関投資家がeスポーツへ投資する場合に、大学のeスポーツ分野における価値(さらには収益)を促進する可能性について、誤解したり見落としたりする側面がまだ数多くある。

21世紀の大学

現在の大学生活は50年前とは大きく異なっている。大学外での変化のペースはますます加速しており、多くの場合、大学はそのペースについていくのに苦労している。テクノロジー、学生の関心、経済や職場の進化、文化規範の変化などにより、大学は過去のどの時点よりもつながりが弱い場所に置き去りにされている。

同じことは大学スポーツにも当てはまる。大学の誇り、文化力、求人、同窓生との関わりだけでなく、場合によっては収益の源泉として他の追随を許さなかった大学スポーツは、外部からの力によって侵食されている。

私は、世界最大のNCAAイベントである、 Football Bowl Subdivision Bowl Championship(フットボールサブディビジョンのボールチャンピオンシップ)とNCAA Men’s Division I Basketball Tournament(NCAAの男子バスケットボールトーナメント)の観客について、少し調べてみた。

画像クレジット:Brandon Byrne

画像クレジット:Brandon Byrne

2015年にチャンピオンシップシステムが施行される前と後の、ビッグ・ボウル・ゲームの平均視聴者数を見てみよう。上の図は、各ボウル・ゲームの視聴者数の傾向線とその平均を示している。確かに時おり急増することはあるものの、視聴者数に大きな変化はないことが見て取れる。両方の傾向線を分けると、結果は次のようになる。

画像クレジット:Brandon Byrne

全体的に見ると、視聴者数はおおむね下降傾向にあるようだ。

NCAA Final Four(NCAAファイナルフォー)と呼ばれる、準決勝の1戦目、準決勝の2戦目、決勝戦の視聴者数の傾向も見てみよう。

画像クレジット:Brandon Byrne

傾向はかなり似ているようだ。大学スポーツにはまだ多くのファンがいるが、問題が2つある。1つ目は観客がまったく増えていないことだ。実際にはわずかに減少しているらしい。2つ目は観客が高齢化しており、大学スポーツと若者との関わりが弱くなっていることだ。年配の観客は同窓生の寄付や付随的収入の貴重な源泉であることに変わりないが、他の主要なターゲット層(潜在的な大学生)の代わりにはならない。

それにもかかわらず、エリート学科を持つ学校は「フルーティ効果」という現象の恩恵を受けていることを示すデータがある。「フルーティ効果」は、ボストンカレッジのクォーターバックだった Doug Flutie(ダグ・フルーティ)の名前にちなんでいる。彼のアメリカンフットボールでのエキサイティングなパフォーマンスがボストンカレッジへの入学志願者数を増やしたというエピソードから取られた呼び名だ。この現象に関するHBSの調査結果を分析したフォーブス誌の記事を読めば、ここで説明するよりもさらに詳しい理解を得られる。

確かに、データの多くは、大学スポーツの重要性が今より高かったであろう数年前のものだが、要点は大体同じである。つまり、学生が楽しむアクティビティでエリートプログラムを実施することが、出資によって大学スポーツを促進する機関投資家の利益になる、ということだ。しかし学生の間でそのようなアクティビティに対する熱意が薄れている場合、学生が現在興味を示しているものへの参画を検討するのも1つの選択肢だ。

FBSフットボール(最大視聴者数3500万人)およびNCAAファイナルフォー(最大視聴者数2800万人)と比較すると、Riot Games(ライアット・ゲームズ)が開催するLeague of Legends(リーグ・オブ・レジェンド)のMid-Season Invitational(ミッドシーズン・インビテーショナル)イベントは合計6000万人の視聴者を集めた。2番目に多い視聴者を集めたのは、Katowice(カトヴィツェ)で開催されたIntel Extreme Masters tournament(インテル・エクストリーム・マスターズ・トーナメント)であり、視聴者数は4600万人だった。正確な人工統計学的データはすぐには入手できないが、後者の2つのイベントは前者の2つのイベントに比べて若い世代が多いのは明白だ。

これらは正確には同じ条件での比較ではないため、留意すべき点がいくつかある。これらのeスポーツイベントは数日に分けて開催され、かなりの数の試合が行われる。その数はおそらくMarch Madness(マーチ・マッドネス)に匹敵するほどだ。さらに、そのコンテンツはさまざまな方法で消費される。NCAAのコンテンツの多くはテレビで放映され、その一部は有料のプレミアムチャンネルで放映される。一方、eスポーツのイベントはTwitchとYouTubeで無料でストリーム配信される。

しかし、理解しておかなければならないのは、eスポーツの観客は前年比15~16%の割合で増加しており、世界中の観客を獲得しているということ、つまり獲得可能な最大市場規模(TAM)がかなり大きいということだ。NCAAのイベントが北米以外で熱狂的な観客を集める可能性は低い。

新型コロナウイルス感染症

大学に通う主な理由の1つは学内で学生生活を体験することである。パンデミックの影響でそれが不可能になったため、大学は身動きが取れないでいる。人脈を作ること、新しい友人を作ること、新しい経験をすることはすべて大学の魅力だが、どれも、学生が実家で実行するには難しいものだ。同様に私たちが知っているような大学スポーツは、組織としての誇り、マーケティング、および収入源の役割とともに、本質的に存在しなくなった。NCAAトーナメントは2020年3月に中止され、NCAAも他のスポーツもすぐに復活する兆しはない。

一方、eスポーツはリモートで参戦または観戦できるため、パンデミック下でも盛況だ。eスポーツのトーナメントでは、観客、チーム、そして審判員でさえも隔離できるため、コンテンツの作成と消費を安全に行える。

eスポーツと大学

信じられないような話だが、eスポーツはプロスポーツよりも大学スポーツに適している。ここでは詳しくは触れないが、プロスポーツモデルがeスポーツに適していない理由については、以前に別の記事で書いたことがある。そのため、今回の記事では、知的財産について、また、eスポーツのリーグの所有者、そしてあらゆるエンティティが利益を出す方法について説明しようと思う。最大の問題は、プロスポーツではチームがリーグを所有し、すべてのチームの利益を最優先にして行動できる点だ。eスポーツでは通常、リーグはビデオゲームのパブリッシャーによって所有または規制される。つまりプロスポーツとは異なる収益機会が開かれることになる。

興味深いのは、大学の陸上競技も同じ問題を抱えており、その問題を緩和する方法を見つけたことだ。選手には奨学金が支給され、学校、大学競技リーグ、NCAAはそれぞれの収益機会、いわばパイのピースを所有する。パイはパッケージ化され、世界のESPNとFox Sports(Foxスポーツ)に配信するために販売される、という方法だ。

このモデルはeスポーツに非常に適している。プロスポーツの場合、フットボールの知的財産を「所有する」グループがDallas Cowboys(ダラス・カウボーイズ)に、チームのマーケティング方法、チームの取り分、分配の方法を教えることはまずないだろう。しかしこれは大学ではよくあることだ。実のところ、全関係者が収益を得るには、同じプロセスを実践する必要がある。そうすることで学校(チームに相当)もいくらかの収益を手にし、競技連盟(リーグに相当)とNCAA(パブリッシャーに相当)にも利益が入る。このチェーンがどこかで切れてしまうと、プロセス全体が中断し、誰も稼げなくなる。

この点については、オリンピックに関する記事の中で書いたことがある。IOCは、オリンピックの放送方法、競技種目、選手資格などについて当たり前のように完全な自主権を持っている。もしオリンピックがeスポーツを受け入れたら、完全な自主権を行使することはできなくなる。ゲームの表現、放映、審査などに関してはパブリッシャーが大きな影響力を持つことになるだろう。IOCはそういうことに慣れていない。大学では、(eスポーツは)よくある土曜日の過ごし方にすぎないのだが。

大学進学率が下がっている原因は新型コロナウイルスだけではない。パンデミックが起こる前から、大学での経験について見直す動きがあり、大学は潜在的な学生を獲得する足掛かりを見つけようとしていた。フォーブス誌は2019年に、この10年間で大学の入学者数が200万人減少したと書いている。さらに付け加えると、大学への新型コロナウイルスの影響に関する予備データから、2020年の入学者数は5~20%の範囲で減少することがわかる

画像クレジット:Brandon Byrne

今後の展望

大学は今、最悪の状況に直面している。収益は大幅にダウンし、ハーバード大学のような有名大学でさえ大赤字を出している。パンデミックの前から入学者数が減少していたため、今や、大学が生き残りをかけて適応しなければならないところまできた。

eスポーツは大学が生き残るためのきっかけになり得る、というのは朗報であり、私はそうなると信じている。大学はeスポーツに力を入れつつあり、115のさまざまなプログラムがeスポーツのための奨学金を提供している。また、クラブプログラムはさらに急速に成長している。eスポーツは確かに学生を惹きつけるのに役立つ。とはいえ、収益化は本当に難しい

最終的に大学自体を含むあらゆる関係者を補償するエコシステムを構築する方法について、大学が専門家のアドバイスを受けることは非常に重要である。またeスポーツでは、迅速に行動すること、そして今なおリアルタイムに形成されているモデルを採用することが大学に求められる。新型コロナウイルスのパンデミックはすぐに消えることはないが、消えそうな大学は数多くある。今こそ行動を起こすときだ。

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:コラム 学生
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(翻訳:Dragonfly)

引用先はこちら:eスポーツが大学を救う

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