iPhoneの耐水性表記が誤解を招くと伊公取委がアップルに罰金12.5億円通達
AI.
Apple(アップル)はiPhoneを「耐水」として販売しているが、その限界については公表せず、保証も液体による損傷は対象外としていることから、イタリアでは煮え湯を飲まされている。
イタリアの公正取引委員会(AGCM)は、2017年10月からのiPhoneの多くの機種(iPhone 8からiPhone 11まで)の販売と保証方法に関する商慣行に、1000万ユーロ(約12億5000万円)の罰金を科する意図があると発表した。これはアップルの耐水性に関する宣伝と、それにも関わらず水による損傷の修理代金の補償を拒否しているという消費者の苦情を調査した結果だ。
米国時間11月30日、Reutersを通じて公開された、2020年10月末にAGCMが下した決断を示す書類では、アップルの商慣行が「誤解を招く」ものであり「攻撃的」であることから、同委員会はアップルがイタリアの消費者法に二重に違反していると判断している。
AGCMの調査で明らかになったのは、iPhoneのマーケティングにおいて、アップルは消費者を騙してiPhoneが単なる耐水仕様であるにも関わらず、防水仕様であるかのように思わせており、この仕様上の制限は、広告では十分に目立つ形で示されていない点だ。また、液体による損傷を免責事項に含めたアップルの保証は、耐水性を謳った大々的な宣伝とは裏腹に、消費者の権利義務を回避するための積極的な試みだとしている。
アップルは液体との接触状態を表示するインジケーターをiPhoneに内蔵している。液体に接したときに白からシルバー、赤へと変化するこの表示の確認は、アップルの修理担当者が標準的に行うべき手順となっている。
AGCMの報告書には、消費者からの苦情の実例が盛り込まれている。1つは潮水に「少し沈めた」iPhoneの保証適用が拒否されたというもの。2つめとなる別の苦情には、蛇口の水道水でiPhoneを洗ったというものもある。アップルはそれを不適切な使用法と見なした。
3つめの苦情は、購入してから1カ月のiPhone XRが、水に触れた後に動かなくなったというものだ。アップルからは新品に買い換えろといわれた(補助金付きではあるが)。
購入してから1年目のあるiPhone XSユーザーは、一度も水に濡らしたことがないにも関わらず、アップルサポートから濡らしたことがあるといわれ、保証を拒否された事例を報告している。耐水仕様を説明した小さな紙に書かれている時間と水深を超えて水に浸した経歴がないことを証明する手段が消費者にはないと、その人は同委員会に訴えている。
我々は、AGCMの調査結果に関してアップルに意見を求めている。
この巨大テック企業には、AGCMが罰金を科する意向を通知されてから控訴するまでに、60日間の猶予が与えられる。
この金額は、2018年9月から2019年9月までのアップルのイタリアにおける事業による収益の半分にも満たないと同委員会は話している。この時期同社は、製品の販売とサービスで5865万2628ユーロ(約73億700万円)、営業利益で2691万8658ユーロ(約33億5000万円)を記録している。
2年前も(未訳記事)、イタリアの公正取引委員会はアップルとSamsung(サムスン)に対して、諸費者にデバイスを破損させたり速度低下を招く恐れのあるソフトウェアのアップデートを強引に勧めたとして、およそ1500万ドル(15億6000万円)の罰金を科した。2020年の2月、古いバッテリーを搭載したiPhoneでのOSの性能を制限したとして、フランスはアップルに2700万ドル(約28億1600万円)の罰金を科した。
アップルは、ヨーロッパの他の地域の公正取引委員会からも、ずっときなペナルティの危機に直面している。フランスの公正取引委員会は、今年の3月(未訳記事)に、12億ドル(約1250億円)の罰金を通達した。Ingram Micro(イングラム・マイクロ)とTech Data(テック・データ)という2つの卸売りパートナーと組んで、小売り業者のカルテルを操っていたとの訴えだ。
さらにアップルは、2019年にランス当局から言い渡された5億ユーロ(約623億円)の追徴課税を支払わなければならない。
アップルが欧州本社で得た収益のうち150億ドル(約1兆5700億円)は、エスクロー口座に置かれている。これは、2003年から2014年にかけて、同社はアイルランドの法人税の課税方式を利用して不当に利益を得ていたとして2016年に欧州委員会が科したState Aid(国家援助)違反の罰金(未訳記事)の支払い用だ。
7月(未訳記事)、アップルとアイルランドは、この訴えに対する最初の控訴に勝利した。しかし、欧州委員会が9月に控訴したことで、この訴訟は欧州連合司法裁判所に持ち込まれることになり、法的論争がさらに数年間長引くことが予想される。
EUの議員たちは、EU全域に適用されるデジタル税(未訳記事)の改革を推し進めているが、その一方では、独自のデジタル税を打ち立てようとする加盟国もある。
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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Apple、iPhone、EU、イタリア
画像クレジット:TechCrunch
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(翻訳:金井哲夫)
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