一般的な写真データの100分の1程度のメモリー容量で動かせる超小型のエッジAIアルゴリズム
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一般的な写真データの100分の1程度のメモリー容量で動かせる超小型のエッジAIアルゴリズム
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エイシング代表取締役CEO出澤純一氏

エッジAIスタートアップの株式会社エイシングは12月15日、指先に乗せられるほど超小型のエッジAIアルゴリズム「メモリー・セービング・ツリー(Memory Saving Tree、MST)」を開発したと発表。提供開始は2021年1月から。

MST搭載マイコンイメージ

「MST」は、一般的な写真データの100分の1程度とごくわずかなメモリー容量で動かせるため、現在市場に出回っている大半の半導体チップに実装できるという。一般に流通する家電製品やスマートウォッチ、自動車などにすでに組み込まれている既存マイコンへ実装可能になり、高精度なエッジAIの多種多様な領域における活用を実現するとうたう。

Armベースマイコン出荷台数の約92%、市場の大半をカバー

エイシングは、大規模な計算環境が必要なディープラーニング(深層学習)とは異なり、導入機器単体がクラウド接続を必要とせず、リアルタイムにエッジ側で学習・予測することが可能な独自のエッジAIアルゴリズム「AiiR(AI in Real-time)」シリーズを開発・提供している。

同社は2020年から、エッジAIのアルゴリズムに特化した研究・開発専門チーム「Algorithm Development Group(アルゴリズム ディベロップメント グループ、ADG)」を設立。IoTや工場の自動化(ファクトリーオートメーション:FA)といった注目分野で、とくに需要が高まっているエッジAIにおいて、アルゴリズムの開発を進めてきたという。

従来の同社アルゴリズムが動作可能なSTM32MP1シリーズの ボードと、MSTが実装可能なSTM32G0マイコン(左から順に)

エッジAIの導入ニーズが高まるなか、これまで家電製品などに使用されている制御用マイコンではメーカー側の需要が強いにもかかわらず、処理性能やメモリ容量が低く、エッジAIアルゴリズムの搭載が困難だったとのこと。このような業界の課題を受け、同社が開発した「MST」は、一般的な家電製品やスマートウォッチ、自動車にも組み込まれる指先大マイコンへの搭載を実現したとしている。

1円玉硬貨と、MSTが実装可能なSTM32G0マイコン(左から順に)

省メモリ化を実現した「MST」を開発したことで、市場の大半の32bitマイコンに対し、高い学習・予測精度を持つエッジAIの導入が可能になる。第4次産業革命の推進で重要とされる産業機械への実装、および生活家電といった幅広い機械や端末に対して広げられるとのこと。

可能実装範囲の一例としては、年間平均220億個ものマイコンを世界に出荷している業界シェア34%のArm社が提供するマイコンにおいて、エイシングの従来アルゴリズムでは「Cortex-A」シリーズが推奨実装範囲だったのに対し、「Cortex-R」「Cortex-M」シリーズも推奨実装範囲になった。これにより、Armベースマイコン出荷台数の約92%をカバーでき、それに相当するスペックのマイコンにも実装可能になるため、市場の大半をカバーするとうたう。

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エッジAIの活用シーンや参入企業は?

なお、Ledge.ai編集部では、エッジAIとは何か、クラウドAIとの違い、活用シーンや参入企業などを詳しく解説している。気になる人は以下の記事をチェックしてほしい。

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