ニホンザルを最大80%認識するAI、年間270万円の被害削減を目指す
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ニホンザルを最大80%認識するAI、年間270万円の被害削減を目指す
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国際高等専門学校は2020年12月23日、同校の2年生3名が授業の一環で取り組んでいる、AIを使ったサル認識システムの開発において、2020年12月6日(日)、石川県森林公園内にある森林動物園で実施した実証実験でニホンザルの画像認識率が最大80%にまで到達したことを発表した。

本実証実験は、国際高専の地域の問題発見と解決策の創出を、プロトタイプを作りながら考えていく「エンジニアリングデザイン」という授業を中心に実施されている。

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国際高専、AIを活用したサル認識システムを開発 山間部における被害対策として

従来、害獣被害において全国的にはAIでツキノワグマを検出し、獣害対策に活かす研究は報告されているが、ニホンザルに関する研究は実施されていないという。一方で、ニホンザルについては、過疎化にともなう休耕田の増加で野生動物の生育域が人家近くまで拡大しており、国際高専白山麓キャンパスが立地する石川県白山市でも山間部で被害が見られ、年々行動域が北(平野部)へと拡大し、2017年度の被害額は270万円に上っている状況だ。

また、キャンパスがある白山市瀬戸地域ではサルによる被害が多数確認され、電気柵などの獣害対策がされてきたが、電気柵に触れずに農地に侵入してしまう器用なサルも現れている。そのため、常に農地の監視をする必要があり、高齢者が多い地域では電気柵の設置自体に多大な労力がかかるため、改善が求められていた。

電気柵をよじ登るサル

これまで、国際高専の学生たちはコロナ禍でフィールドワークが制限されていた最初はインターネット上にあるサルの画像をAIに学習させていたが、これではさまざまな姿勢、角度からの学習が不十分となっていた。そこで、2020年11月7日(日)にニホンザル園がある森林動物園を訪れることでAI学習用のサル画像をさまざまな角度から収集している。

この時点では、まだ20%から30%程度の認識率だったが、収集した画像約7,000枚をAIに新たに学習させることで、12月6日(日)の実験で65%から80%の認識率を達成した。

今後は、自然環境のなかで動き回るサルの認識率を高めるため、白山麓の畑にいるサルをビデオカメラで撮影し、学習素材をさらに増やすことで適用範囲の拡大を目指していくという。さらに、2021年度からは社会実装を進め、サルが畑に侵入した際は所有者のスマートフォンに知らせるシステムの構築に取り組む。また、2022年度以降は監視範囲の広域化を進めるとともに、ロボットやドローンなどを使った威嚇排除技術を構築し、2024年度には隣接農地での実運用を進める予定だ。

国際高専では、今後も学生による研究プロジェクトを継続的に続け、将来的には24時間無人でサルを監視し、農作物被害を未然に防ぐシステムの実現を目指していくという。

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AI研究の松尾豊さんが高専生に講義、スタートアップの起業についても言及

上記以外にも、高専生によるAIを活用した取り組みは増えてきている。

一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)は2020年9月18日、「第一回全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト2020(DCON2020)」の一環として、東京大学大学院工学系研究科 教授で、同協会の理事長も務める松尾豊さんによる、最優秀賞受賞の東京工業高等専門学校(東京高専)への表敬訪問を実施した。

以下の記事では、東京高専のプロコンゼミ展示研究会が手がけた作品の詳細と松尾豊さんによる評価はもちろん、同研究会のメンバーたちに対して、松尾豊さんが講義形式で実施したスタートアップの起業に関しての助言についてもレポートしている。詳細が気になる人はチェックしてほしい。

引用先はこちら:ニホンザルを最大80%認識するAI、年間270万円の被害削減を目指す

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