フェイクニュースとソーシャルメディアの「共鳴室」問題をスマートなニュースアプリで解決するGawq
AI.
Gawqと呼ばれる新しいスタートアップがフェイクニュースの問題とソーシャルメディアが作り出す「エコーチェンバー(共鳴室)」問題に取り組みたいと考えている。ソーシャルメディアでは、巧みに操られたアルゴリズムとパーソナライズされたフィードによって我々の世界観が形成される。Gawqが新しくリリースしたモバイルニュースアプリでは、さまざまなソースからのニュースを提示しつつ、ユーザーによるニュース、意見、有料コンテンツなどのフィルタリング、ソースの比較、事実かどうかの確認、さらにGawq上のコンテンツの正確性の確認を可能にすることを目指す。
GawqのアイデアはJoshua Dziabiak(ジョシュア・ディジビアク)氏が出した。同氏は今や利益を計上しているインシュアテックスタートアップのThe Zebraの共同創業者で、現在取締役も務める。2020年3月に常勤から退き、その直後にGawqを創業した。
「それは情熱のプロジェクトとして始まり、その後ビジネスに変わりました」とディジビアク氏は説明する。「私はより大きな社会的影響を与える何かをしたかったのです。そして、このアイデア、この問題は、特にこの1年間で非常に大きく表面化し、拡がりました」と同氏はいう。
ニュースがソーシャルメディアチャネルから流れると、人々は自分だけのバージョンの現実を見せられる。アルゴリズムは人々が関心を持たないニュースを取り除き始め、関心を持つニュースをどんどん見せ始めるからだ。時が経つにつれ、このシステムにより一部の配信元は突飛でセンセーショナルな見出しによりクリックや怒りを引き付けるようになった。だが、右寄りまたは左寄りの聴衆に訴えるニュースに傾き、また偏る配信ネットワークも生み出した。
その結果、メディア環境は全体として、必ずしもニュースの質ではなく読み手を意識し始めたとディジビアク氏はいう。質の高いジャーナリズムはまだ生み出されているが、あらゆるノイズをかき分けて見つけるのが難しいこともある。
「ジャーナリストとコンテンツクリエーターは成功のために新しい手段を必要としています。クリックやシェアの数ではなく、ジャーナリズムの核心をなす倫理に基づくものです」とディジビアク氏は語った。
Gawqの名前は、近頃の見出しが我々の注意を引くためによく叫んでいる様子を思い起こさせる意図がある。だがそれは、このアプリがニュースの正確性を念頭に置いたアプリであるという点では的外れだ。根本的にGawqというニュースアグリゲーターは、読者が見出しを「gawk(驚きの目で見る)」ことではなく、実際にはより批判的な目でニュースを読み、検討することを目指している。
アプリは当初、いずれの方向に偏っているものを含め、あらゆる種類と大きさの150を超える多様なトップメディアソースから構成される。配信元が網羅するトピックは米国や世界のニュース、政治、スポーツ、ビジネス、技術、エンターテインメント、科学、ライフスタイルニュースなどに及ぶ。
またGawqは、アルゴリズムやパーソナライズエンジンを使わずにトピックごとにその日のニュースを整理する。読みながらクリックすると、ある話題に関する報道を他の情報源と比較し、異なるメディアが同じトピックについてどうに書いているのかを深く理解できる。画面上部の巧妙な赤と青のスライダーバーを指で赤い方に引っ張り右寄りのソースからの報道を確認したり、青側に引っ張り左寄りのソースの報道を表示したりできる。
同社によれば、メディアを監査する3つの異なる非営利団体(AllSides、Media Bias Fact Check、Ad Fontes Media)のデータを使用して、ソースが「右」か「左」かを判断する。
スライダーバーのすぐ下には、目下のトピックに関するファクトチェックが簡単に参照できるようになっている。
ユーザーはアプリの設定で一部のニュースソースのオンとオフを切り替えられる。だが、Gawqは「多様なメディアの品揃え」がある場合にアプリが最適に機能することをユーザーに喚起するためにオンオフの切り替えを思いとどまらせる表現を使っている。
さらにGawqは「スマートラベル」機能を導入して、論説、スポンサーコンテンツ、セレブのゴシップなどのニュース以外のコンテンツを自動的に識別してタグ付けする。かっちりしたニュース以外を非表示にしたいなら、オンとオフを切り替えることもできる。
もう1つの優れた点は、もし配信元にとってではないなら少なくともニュースの利用者にとってということだが、Gawqがデフォルトで記事を「リーダーモード」に流し、最近ニュースサイトのページを埋めつつある広告や余計なものを取り除く機能だ。必要に応じて、クリックによりウェブサイトの記事を表示することもできる。
上記の多くは読者へのニュースの表示方法に関するものだが、Gawqのより大きな賭けはニュースレビューアーからなるウィキペディアのようなコミュニティを作れることだ。レビューアーはジャーナリズムの慣例を守っているかどうかに基づき記事を評価する。これは、より野心的で、おそらく過度に楽観的な取り組みだ。
すべての記事で、ユーザーはレビューボタンをクリックすると短いクイズに誘導され、記事のバランス、提供された詳細、見出しがクリックベイトであったかどうかを評価できる。次にユーザーはコメントを追加してレポートを送信する。このレビュープロセスは、プロフェッショナルジャーナリズム協会が定めるジャーナリズムの倫理規約に基づいて構築されたとディジビアク氏はいう。
おそらく、Gawqユーザーのうち記事を評価するのは少数にとどまる。だが時が経ち規模が大きくなるにつれ、レビューはニュースの消費者の目から見たニュースの正確性とセンセーショナルな傾向について、正確な評価を配信元に提示できるかもしれない。そのようなデータは会社外部で価値を持つかもしれないが、今のところGawqのビジネスモデルは「未定」だとディジビアク氏は認めた。
Gawqが取り組もうとしている問題は難しいものだ。そして間違いなく、世界観を広げる必要がある人がそのために新しいアプリをダウンロードする可能性は極めて低いと思われる。彼らは多くの場合、パーソナライズされたソーシャルメディアのフィードからニュース(そして多くの場合、怒りや嘘)を取り込む、ニュースの受動的な消費者だ。それから彼らは、誰でも見ることができるニューステレビチャンネルからお気に入りを1つ選んでクリックする。だが、より中立的なメディアを求める人は増えている。Gawqは情報源を比較する際、ニュースを右、左、または真ん中に配置して中立的なメディアを見つけるのに役立つ。
Gawqは現在自己資金で経営しており、エンジニアの小さなチームを抱え、ほとんどが契約ベースで働いている。ただし、Gawqは将来の資金調達を否定していない。
このアプリはiOSとAndroidで無料でダウンロードできる。
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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Gawq、アプリ、フェイクニュース、ソーシャルメディア
画像クレジット:Gawq
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(翻訳:Mizoguchi)
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