マニュアル検索組織化のZoominが21.8億円調達に成功、Salseforceなどと提携
AI.
ソフトウェアその他のテクノロジープロダクトを作ろうとするときマニュアルなどの製作ドキュメンテーションが最頭に浮かぶことは少ない。しかしバグが見つかったり何かの理由でがプロダクトが正しく機能しなくなるとドキュメンテーションがどれほど重要か嫌というほど思い知らされる。求める項目が見つからない場合の焦燥はひどいものになる。
ドキュメンテーションのスタートアップであるZoominは、AI利用を利用して自然言語による質問で答えをすばやく効率的に発見できるプラットフォーム構築を目指している。同社はこれまでステルスモードで運営されていたが、戦略的投資家を獲得し2100万ドル(約21億8000万円)を調達したことを米国時間12月27日に発表した。共同ファウンダーでCEOのGal Oron(ガル・オロン)氏は私に取材に対し「Zoominは、マニュアルや利用ガイドなど企業活動の中で最も退屈な部分に焦点を当てています」とジョークを飛ばした。しかしこうした情報資産は、ユーザーが探し始めれば黄金なみの価値を持つようになるという。
Bessemer Venture Partners、戦略的支援者でもあるSalesforce Ventures、Viola Growthの3社が資金調達ラウンドをリードした。Zoominはガル・オロン氏、Gelb Saltzman(ゲルブ・サルツマン)氏、Hannan Saltzman(ハナン・サルツマン)氏によってイスラエルで設立され、ステルスで活動した後、事業をニューヨークに展開した(CEOのオロン氏もニューヨーク在住)ためラウンドは2つの部分に分かれていた。オロン氏はこう述べた。
我々は創立4年になりますが一切PRを行ってきませんでした。これはプロダクト開発と最初のユーザー獲得に全力を挙げていたためです。その結果、数十社の大企業と契約できました。また評価も急上昇しているため、表舞台に登場すべき時期だと考えたわけです。
現在、ZoominはDell、McAfee、Imperva、Automation Anywhereなどをユーザーとしている。ユーザーはZoominプラットフォームを利用することによってコンテンツを効果的に整理し、社内だけでなく製品顧客のサポート窓口のスタッフの作業を効率化している。またユーザー企業はDIYオプションを起動すると自分自身でウェブサイト、カスタマーフォーラム、メール、チャット、ソフトウェアやアプリ自体のヘルプなど関連情報が表示されるあらゆる場所でZoominの機能を利用できる。
Zoominが追求しているのはこういった点だ。つまりマニュアルなどの技術文書はコンテンツとしては極めて魅力に乏しいが、ソフトであれハードであれ製品を利用するために必須の要素となる。特にユーザーが何らかの問題に直面した場合は特にそうだ。
問題はこうした文章の多くがその場の思いつきで書かれており、他のユーザーがアクセスしたり解読したりするのが困難であるという点だ。ドキュメントから特定のトピックを簡単かつすばやくの見つけ出す方法がない。しかも関連文書は様々な場所に散らばっている。コンテンツに紐づけられたエントリポイント自体も、コンテンツそのものと同様に断片化されている可能性が高い。
オロン氏は「Dell自身、ユーザーがどこから情報を見つけようとするのか管理できていません」という。つまり情報はDellが運営するサイトだけでなくソフトウェア製品のヘルプ、サードパティーのフォーラムやソーシャルメディア上に散在している。
ユーザーがどこから検索しても、オロン氏が「ユーザーごとにカスタマイズされた体験」と呼ぶものを提供することがZoominの目的だ。つまりZoominはユーザーが通常どんなエントリポイントを使っているか、また通常何を探そうとするかを学習しユーザーにすばやく正しい回答を与える。アプリ内でヘルプウィジェットとして表示されることもあるし、フォーラムの場合ならそこに参加しているカスタマーサポートスタッフがZoominのエンジンを使用してエンドユーザーの質問への回答を探すことになる。
これまでZoominは主としてB2B分野のカスタマーサービスの世界で利用されてきた。つまりZoominのユーザーはビジネス / エンタープライズ顧客に提供する知識を総合し、整理するために利用されてきた。しかしオロン氏は「今後はビジネス以外の消費者にもまったく同じように適用可能です。時間とともに人気が高まっていくはずです」と期待している。
「我々はZoominを消費者向けプロダクトにしていきたいと考えています。Amazon(アマゾン)でショッピングしたり、Netflixでビデオを見たりするのと同じくらい簡単にZoominを利用できるようにしたいわけです」という。
「ナレッジベース管理」「ナレッジ・オーケストレーション」などと呼ばれる領域は、さらに広範なカスタマーサービスの一部だ。当然そうした分野にはZendeskやHubspotなど多数の大企業が存在する。またナレッジベース整理のためのソリューションを構築しているテクノロジー企業にはProProfs、Helpjuice、Instrktivなどがある。
Salesforceが戦略的投資家なのは興味深い。同社はコミュニティやサービスクラウドでこうしたサービスを構築していないためZoominが緊密なパートナーとなってオプションを提供している(ZoominはSalesforce以外にはOracleのサービスクラウド、Zendesk、Jira、SharePointなどの他の多くのプラットフォームでも採用されている)。
Salesforce Ventures Internationalの責任者でパートナーのAlex Kayyal(アレックス・ケイバル)氏ははこう述べている。
Salesforce Venturesは、エンタープライズクラウド企業からの野心的なアイデアを後援していいます。プロダクト関連ドキュメントの利用エクスペリエンスを向上させるためのZoominの取り組みをサポートできることをうれしく思っています。Zoominの革新的なチームと「コンテンツのアクセシビリティを向上させる」そのビジョンに強い期待を寄せています。
投資家は、Zoominなどが最近努力している分野に強い関心を示している。リモートワークで進展するにつれてカスタマーサービスへの問い合わせが爆発的に増え、質問の緊急性を判断し、すばやく回答していくためにシステムに大きな負荷がかかっている。これはZoominにとってチャンスを意味する。
Bessemer Venture Partners のパートナーであるAmit Karp(アミット・カープ)声明で「デジタル化の波はプロダクトのドキュメントに到達していることは明らかです。プロダクト関連の技術的コンテンツが指数関数的に拡大し続ける現在、企業はZoominを使用することによってコンテンツを戦略的資産として活用できるのです」と述べている。
Zoominは今回の資金調達ラウンドにおける会社評価額を明らかにしていない。
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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Zoomin、資金調達
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(翻訳:滑川海彦@Facebook)
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