2020年は大麻にとって決定的な年だった、今後の展開は
AI.
新型コロナウイルス(COVID-19)がこの1年を支配した、との表現は控えめだ。パンデミックは私たちのビジネス、他の人間、周りの世界との関わり方の方向性を変えた。eコマースからデジタル決済まで、ビジネスの多くのトレンドが数カ月で数年分進んだ。
大麻業界も例外ではない。大麻はすでに米国内で最も急速に成長している産業だが、2020年は次の段階へ進む年となった。現在、大麻の合法化を支持する米国人は記録的な割合に達している。
誰に聞いても、大麻は大統領選挙の日の最大の勝者の1つだった。アリゾナ州、モンタナ州、ミズーリ州、ニュージャージー州、サウスダコタ州で合法化されたのだ。現在、米国の3分の1以上(1億1100万人以上)が娯楽用の大麻が合法化された州に住む。合法的なこの業界の規模は2021年までに245億ドル(約2兆5000億円)になると見込まれている。
今や大麻が米国のメインストリームの定番となったことはかつてないほど明白だ。この上昇軌道は2021年に向け、業界だけでなく経済全体にも新たな扉を開く。イノベーション、投資、雇用の機会がこの分野に流れ込む。
「グリーン」エコノミー
3月以来、5700万人以上の米国人が失業保険を申請した。大麻に関連する経済的機会や雇用の機会は特効薬ではないが、無視すべきではないことは確かだ。
合法大麻の売上高は2019年に200億ドル(約2兆800億円)近くに達し、今後4年以内に年間400億ドル(約4兆1600億円)を超えると予想されている。業界の成長に合わせ、企業は採用を進めている。合法的な大麻の市場はフルタイム換算で24万3700人の米国人の仕事を支えている。その数は2018~2028年に250%の増加となる見込みだ。大麻業界は米国で最大の新規雇用を生み出す源となる。
大麻はまた、州の経済を強くする。特に州と地方の予算が減少する中で、税収を増やす機会を生み出すことができる。たとえばアリゾナ州は新しい合法化措置の下、大麻の販売に16%の税金を課す。この税金はコミュニティーカレッジ、警察、消防署、公衆衛生プログラムに向けられる。
大麻eコマースの進化
2020年に強まった傾向が1つあるとすれば、それは大麻の需要が非常に高く、不可欠な消費財だということだ。
この春の外出禁止令の広がりの中で食料品店、ガソリンスタンド、薬局と並んで、多くの州で大麻を扱う小売店が「エッセンシャル(生活に不可欠)」に分類された。デパートで買い物をしたり映画館に行ったりすることはできなかったが、大麻を扱う近くの小売店で買うことはできた。政府のこの承認は、大麻業界がメインストリームに引き上げられたという市場への強いシグナルとなった。
消費者からの強い反応が記録的な大麻の売り上げにつながった。前例のない需要により、大麻の小売業者はビジネスのやり方や顧客の商品購入方法に革命を起こすことを余儀なくされた。ウイルスを広める可能性のある人と人との直接の接触を最小限に抑えるため、大麻を扱う小売店ではビジネスを最新化するため、また従業員と消費者の安全のため、eコマースとデジタル決済ソリューションにすばやく目を向けた。
こうした業界全体での変化の結果、オンライン売上高は年末までに7億9450万ドル(約830億円)に達する。これは当初の見積もりをはるかに上回る。専門家はパンデミックがeコマースへのシフトを5年早めたと推測する。この傾向はDutchieでも見られた。3月以降、オンライン注文は700%増加し、平均注文数量は32%増加した。
2021年に向けて
こうした政治やビジネス上の変革は驚異的なスピードで早送りされたマイルストーンだった。では次に来るのは何か。
合法的な業界の最前線でテクノロジーの革新が進んでいる。大麻を扱う小売店は、コンプライアンスが不可欠であり高度に規制された業界における業務をテクノロジーにより合理化できる。次に、小売店がより積極的に情報に基づく意思決定を行うにはデータをもっと理解する必要があるため、データがますます重要になる。これは、あらゆる規模の小売店で重要になるが、特にオンライン体験をより高いレベルに引き上げたい大規模小売店で重要になる。
このニーズを満たす新しい法人向けソリューションがついに市場に登場しつつある。小売店はこうしたソリューションでデータをフル活用し、オンラインでの独自性をデザインすれば、もっと多くのプレーヤーが業界に参入したとしても競争力を維持できる。
合法化が広がるにつれ業界もさらに合法的になり、大麻の販売と使用は後ろめたいものではなくなる。大麻を扱う企業はメインストリームの様々な業界の最も著名な企業から多くの優秀な人材を引きつけるようになるはずだ。以前はこの分野への参入をためらっていたソフトウェアプラットフォーム、企業、投資家が大麻関連企業と協力し、投資を始めると思われる。また、大麻の連邦レベルでの合法化は流動性を高め、より多くの投資取引へ扉を開く可能性を秘めている。
さらに、すでに見え始めた動きとして、小売業者が大規模な買収や合併を続け、業界全体で統合の傾向が高まっている。複数の州で営業する多くの企業が小さなプレイヤーを飲み込む。小さなプレイヤーは力を合わせてまとまり、業界のプレイヤーは集約されていく。
大麻の未来
大麻産業はまだ揺籃期にあるが、その可能性は非常にはっきりしている。
より多くの州で合法化され、業界が成長・成熟するにつれ、方位磁針の向きは私たちが望む方向と近くなるだろう。合法的な大麻の産業は他のメインストリームの産業と同じようにテクノロジーと資金にアクセスできる業界になる。イノベーターはもっと自由に集まり、業界を前進させる最新のテクノロジーソリューションを開発できるようになる。そして、消費者と患者は望むものをもっと容易に手に入れられるようになる。
【Japan編集部注】筆者Ross Lipson(ロス・リプソン)氏はオンライン大麻市場であるDutchie(ダッチー)の共同創業者でCEO。同氏はオンラインでの料理の注文を含むさまざまな業界向けの高度で公平なデリバリーサービスで10年以上の経験を持ち、2つの事業のイグジットに成功した。
カテゴリー:ヘルステック
タグ:大麻、アメリカ
画像クレジット:Helen H. Richardson/Media News Group The Denver Post / Getty Images
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(翻訳:Mizoguchi)
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