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NASAの有人月探査船ミッションのメンバーに選ばれたアン・マクレーン宇宙飛行士が次世代宇宙船の設計と操縦について語る
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NASAは有人月探査プロジェクトであるアルテミス計画に参加する宇宙飛行士を発表した。ISS国際宇宙ステーションで203日間過ごし、船外活動を2回行ったAnne McClain(アン・マクレーン)氏もそのメンバーに選ばれた。宇宙ビジネスは10年前とは様変わりし、宇宙船のテクノロジーは一新されている。マクレーン氏は本人や他の飛行士の宇宙に関するビジョンを語ってくれた。

マクレーン陸軍中佐がISSに搭乗していたのは2018年12月から2019年6月までだ。スペースシャトルの退役後の時代だったため、軌道への打ち上げも降下もロシアのソユーズが利用された。しかしアルテミス計画では、米国製の新しいロケットと宇宙船が使用される。マクレーン氏はCrew Dragon宇宙船を操縦はしていないが、カプセルがISSにドッキングしたときに内部を実際にチェックしている。同氏は次のように述べた。

ソユーズに搭乗できたことはうれしい経験でした。ソユーズは簡素ですが非常に信頼性が高い宇宙船であり、歴史の一部を飛ばしているように感じました。もちろん将来は新しい宇宙船に搭乗できるはずだと知っていました。DM-1(Dragonカプセル)がISSにドッキングしたとき、私はISSにいたので実際に体験する機会がありました。(Drogaonの)船内を遊泳してタッチスクリーンのモニターなどのコントロールをチェックする機会がありました。テクノロジーが民間旅客機の機内なみに進歩したことに驚きました。

Dragonカプセルを軌道上で最初に操縦したのはDoug Hurley(ダグ・ハーリー)とBob Behnken(ボブ・ベンケン)の両宇宙飛行士だった。後に両氏は「(コントロール類が)まるきり違っている」と感想を述べている。実際、Dragonの主要なインターフェースはタッチスクリーンだった。マクレーン氏はソフトウェアがインターフェイスとなるにつれて、命を預けられる信頼性を確保するのが大事業となっていることを次のように強調した。

現在の宇宙船は大部分がソフトウェアでコントロールされており、インターフェイスはタッチスクリーンです。物理的なスイッチはあまりありません。リレーはほとんどソフト化されています。しかし、読者もよく知っていると思いますがソフトウェアの信頼性確保は難しく、非常に複雑なタスクとなります。システムを深く理解し、デザイナーが想定していない分野でさえシステムを使いこなせるようになりたいと考えています。

システムを深く理解し、デザイナーが想定していない分野でさえシステムを使いこなせるようになりたい

どんな場合に人間がシステムに介入する必要があり、どんな場合に自動化すべきなのか我々は常に注目しています。また自動化の場合、そのソフトウェアが有人宇宙飛行に十分な信頼性を備えていることをどのように知ることができるかという問題も重要です。ある時点で、「これこれの事態が発生したら人間がシステムに介入する」ということを決めておかねばなりません。ソフトウェアの信頼性テストの結果が出るのを10年間も漫然と待っているわけにはいきません。

マクレーン氏はパイロットとして当然意見を持っており、ハーリー、ベンケン両宇宙飛行士とともに早い段階からSpaceXと協力してきた。マクレーン氏は、宇宙船Orion宇宙船と宇宙船Starlinerが彼女のような専門家から同様の注目を受けたことを指摘している。

ボブ(・ベンケン)、ダグ(・ハーリー)と仕事をすることができて幸運でした。私はCrew Dragon宇宙船コックピットのコントロールについて非常に早い段階からSpaceXにアドバイスしてきました。

SpaceXのCrew Dragon宇宙船の歴史的成功を祝って拳を打ち合わせるボブ・ベンケン氏とダグ・ハーリー氏

会社の名前が宇宙船を作るわけではない。スペースシャトルやISS宇宙ステーションを作った人々は現在、宇宙ビジネス全体に広がっている

中でもシステムの柔軟性は最も重要だった。プログラムがわずかでも予期と違う動作をする場合、ツールが柔軟であり、人間の介入に対する制限とならないことが絶対に必要だ。

我々パイロットは 常に柔軟なオプションが欲しいと考えます。何か起きたときは対処のオプションが必要です。我々は地上でできるかぎりあらゆる状況を想定してシナリオを練り上げます。しかし現場では必ず予測されていない事態がおきる可能性があることを常に強く意識しています。そうなったら、オプションが必要です。システムを十分に理解し、設計者が直接想定していないような方法でもシステムを操作できるしたいと考えています。ソフトウェアが人間の選択肢を制限しないことが何より重要です。これが宇宙船のハードとソフトをまったく予想されていなかった方法で使用した(奇跡的に地球生還を果たした)アポロ13号のケースをNASAが重視している理由の1つです。

Jeffrey Bezos(ジェフ・ベゾス)氏のBlue Originのような新しい宇宙企業と仕事をするのはこれまでと違うのかと私が尋ねたところ、マクレーン氏は「違うのは名前だけです」と答えた。

Blue Originとロッキードによる月着陸船の予想画像(CG)

こうした企業と協力した経験は十分にあります。会社の名前が宇宙船を作るわけではありません。こうした会社にはこれまでに宇宙船を建造した人々が大勢います。スペースシャトルやISS宇宙ステーションを作った人々は現在、宇宙ビジネス全体に広がっています。これはまさにNASAが望んだことなのです。これが宇宙事業の核心となる人的資本です。もう1つ自信を持っていえるのは、NASAがこうした新しい宇宙企業と協力する方法です。NASAはテストと設計レビューを徹底的に行います。ですからロケットが発射台に乗ったときにはシステムが徹底的にチェックされていることに私は確信を持てます。

コミュニケーション・テクノロジーは乗員の精神の健全性を保つために不可欠。こうしたテクノロジーはいわば地球をまるごと宇宙船に持ち込む

つまりマクレーン氏によれば、新しい宇宙船には地上のノウハウと能力がすっかり搭載されており宇宙飛行士とともに宇宙に出るのだという。私は最後に、たとえばビデオチャットのような消費者向けテクノロジーの発達によって、宇宙で長期間過ごすことが楽になったかどうか尋ねた。マクレーン氏によれば答えはイエスだ。

まさにそのとおりです。ビデオチャットがなかったら、我々が陥っているパンデミックははるかに耐えがたいものになっていたでしょう。現在、大切な人と自由に会えずにいます。相手が地上にいても宇宙にいてもつ会えないのは同じです。たとえばビデオチャットで両親の顔を見て会話ができるのは本当にすばらしいこどです。これは士気高めるだけではありません。ミッションは6カ月、いや1年も続くかもしれません。その間コミュニケーションテクノロジーは乗員の精神の健全性を保つために不可欠です。こうしたテクノロジーはいわば地球をまるごと宇宙船に持ち込むのです。

マクレーン氏は アルテミス有人月面着陸ミッションに参加する18人の宇宙飛行士の1人に選ばれた。他の宇宙飛行士についてはこちらで知ることができる

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カテゴリー:宇宙
タグ:NASAアルテミス計画Crew DragonSpaceX

画像クレジット:NASA / Bill Ingalls

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

引用先はこちら:NASAの有人月探査船ミッションのメンバーに選ばれたアン・マクレーン宇宙飛行士が次世代宇宙船の設計と操縦について語る

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