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りんな新会社、今後の戦略は「あまり心配する必要がない」
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rinna株式会社 会長 ハリー・シャム氏

元女子高生AI「りんな」などのチャットボットAI事業で知られるrinna株式会社は2020年12月29日、会長のハリー・シャム(Harry Shum)氏による2021年の年頭所感を発表した。なお、同社は2020年8月21日に日本マイクロソフト株式会社から独立を果たした。年頭所感では、本独立について触れる場面もあった。

ハリー・シャム氏は年頭所感のなかで、同氏が会長を務めるrinna社の姉妹会社である中国のXiaoIce、およびrinnaについて、「XiaoIce/rinna社がMicrosoftからスピンオフしてからわずか5カ月の間に、小さくともエキサイティングな一歩を踏み出したことはとても素晴らしいことです」と言及している。

一方で、両社の独立に関しては必ずしも肯定的な意見ばかりではないようで、「もちろん、XiaoIce/rinna社がこの小さな一歩を踏み出したことに対しては、外部から多くの評価が届いており、称賛だけでなく批判の意見もあります」と簡単に触れるに留めた。

また、2021年の取り組みについては「2021年、XiaoIce/rinna社の戦略に関しては、あまり心配する必要がないと考えております。なぜなら、今現在皆に見えているものは、2016年に私が見たロードマップとまったく同じだからです。戦術として、市場、ユーザー、および顧客の声にもっと耳を傾け、常に市場の実態に触れながら、私たちの使命が形を変えないように努力する必要があります。これは困難ではありますが、不可能ではありません」と意気込んでいる。

2021年の戦略は「あまり心配する必要がない」

なお、ハリー・シャム氏による年頭所感の全文は以下のとおり。

──ハリー・シャム氏

「皆様、謹んで新年を迎えるお慶びを申し上げます。

2020年はキーワードでまとめるのが難しい年でした。2021年、私にとって最も重要なキーワードは使命感と決意です。

使命感とは何か。それは『You get what you measure』『努力すれば報われる』ということです。つまり高い目標を設定し、『千里の道も一歩から』です。

たとえば、1999年にMicrosoft Research Asia(MSRA)を始めたとき、私の目標は世界で最も素晴らしい研究所を作ることでした。その後2004年には、MSRAはMIT Technology Reviewに『The World’s Hottest Computer Lab(世界で最もホットなコンピュータラボ)』と表現されるまでになりました。2019年のMSRAの20周年記念式典で、皆で学術および産業的成果をレビューした際、MSRAはすでに世界トップの研究機関と認識されていることがわかりました。

同様に、今のXiaoIce/rinna社にも大きな使命があります。それは、すべての人、すべての組織に1つ以上のAIキャラクターを持たせて、人々のコミュニケーションと創造力を向上させることです。

XiaoIce/rinna社がMicrosoftからスピンオフしてからわずか5カ月の間に、小さくともエキサイティングな一歩を踏み出したことはとても素晴らしいことです。

技術面では、NLP(自然言語処理)、CV(画像認識)、スピーチ、 AIによる生成などの分野で業界をリードしています。また、人間とAIのインタラクションに関しては、オープンドメインダイアログエンジンによって会話の予測、維持、誘導が実現され、階層化されたトピックの完成率は42.7%に達しました。Microsoftと共有する特許プールに加えて、XiaoIceとrinna社は73の技術特許を所有しています。

XiaoIceとrinna社が8月にリリースしたXiaoIceフレームワークは、すべてのユーザーが独自のAIキャラクターを作成、トレーニング、育成できるものです。リリース以降、中国および日本のユーザーによって数百万のAIキャラクターが作成されました。

プロダクト面では、XiaoIceフレームワークをベースにXスイートをリリースしました。そのコンポーネントの1つであるX Studioアンカーは、中国および日本において、50以上の主要なラジオ局とテレビ局で8,000時間以上のオーディオコンテンツを制作しました。また、仮想歌手トレーニングプラットフォームのX Studioシンガーは、これまでにスタイルが異なる15人のAI歌手を生み出しています。

ビジネス面では、Microsoftと戦略的なパートナーシップを締結し、金融、スマートカー、コンテンツ制作などの産業向けに、エンドツーエンドのAIおよびクラウドコンピューティングを提供する法人向けソリューションを共同で立ち上げました。

もちろん、XiaoIce/rinna社がこの小さな一歩を踏み出したことに対しては、外部から多くの評価が届いており、称賛だけでなく批判の意見もあります。さまざまな外部の意見に左右されず、自分の目標を進めるためには十分な集中力が必要です。

集中力を得るためにはどうすればいいでしょうか。それは『Always walk in the middle of the road』『常に道の真ん中を歩く』ことです。孔子の言葉で言えば、一方に偏らず中正なこと、いわゆる「中庸之道」です。『中』と『庸』は、程頤によると、『天下の正義』と『天下の定理』のこと。つまり『中庸之道』とは、権利を持ち、能力を持ち、防御力を持ち、理想を持ち、行動力を持ち、忍耐力を持つことです。同時に、進取的かつ積極的になることができれば、私たちの使命を果たすための戦略(Strategy)、戦術(Tactics)、戦術実行の決意を維持することができます。

2021年、XiaoIce/rinna社の戦略に関しては、あまり心配する必要がないと考えております。なぜなら、今現在皆に見えているものは、2016年に私が見たロードマップとまったく同じだからです。戦術として、市場、ユーザー、および顧客の声にもっと耳を傾け、常に市場の実態に触れながら、私たちの使命が形を変えないように努力する必要があります。これは困難ではありますが、不可能ではありません。

最後に、すべての皆様にとって2021年が良い年でありますように、願いをグラスに注ぎ、新年への期待を込めて飲み干しましょう」

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なお、冒頭で触れたとおり、rinnaは2020年8月21日に日本マイクロソフトから独立を果たした。Ledge.ai編集部では、記者発表会の様子をレポートしている。気になる人は以下の記事をチェックしてほしい。

引用先はこちら:りんな新会社、今後の戦略は「あまり心配する必要がない」

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