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トランプ大統領の突然の留学ビザ制限は米国社会に広く影響する
AI.

フィリピンで育ったAndreia Carrillo(アンドリア・カリージョ)はいつも星が好きだった。そのため彼女は天文学を勉強しようと米国にやって来た。そうしたことから彼女は他の人にも自分と同じ道をたどって天文を研究してほしいと考えている。
「ただ、今はそれができるかどうかはわからない」とカリージョは話した。

カリージョは、米移民・関税執行局(ICE)がこのほど発表した、大学での授業が完全にオンラインに移行した場合、留学生の滞在を認めないとする規則変更で影響を受ける数十万もの学生の1人だ。

7月6日に発表された規則変更は、新型コロナウイルスパンデミックの脅威が全米に広がり、一部の大学が秋からオンライン授業に完全移行することを余儀なくされた中でのものだ。

規則変更のニュースは移民弁護士にとって不意を突くものだった。トランプ政権は、「SCHOOLS MUST OPEN IN THE FALL!!!(学校は秋に再開しなければならない!!!)」との大統領のツイート以外に、この政策について説明しなかった。この決定は政府がほとんど権限を持たないものであり、3月の政権の方針から急な反転となる。米国で新型コロナ感染が深刻だった3月、政権は対面式の授業が一時中止になっても学生は合法的に米国に滞在できるとしていた。

急な規則変更は大学を難しい状況に陥れている。大学は、留学生を米国にとどまらせるためにキャンパスを開けることもできるがウイルス拡散のリスクを負う。もしくはキャンパスを閉ざし、ソーシャル・ディスタンシングを維持して留学生を追い出すかだ。

しかしこの影響は、学生だけに及ぶものではなく米国中に連鎖する。大学の収入は主に留学生が払う高額な授業料に頼っていて、大学を擁する街の経済は学校が門戸を開いていることで回っている。規則変更はまたこうした学生が追究している主にエンジニアリング、数学、コンピューターサイエンスといった分野、そして米国のイノベーションの進度にも影響を及ぼす。イノベーションは往々にして目につかない人材によって支えられる。留学生にとって最も人気のある留学先の1つはシリコンバレーの中心地、カリフォルニア州だ。

Contrary Capitalの創業者Eric Tarczynski(エリック・タルチュンスキ)氏は「『大学に入るのが米国での企業設立の玄関口になるために、海外から大学にやってくる多くの起業家』を目にしてきた」と話した。

「ある意味では、米国は彼らのエリス島であり、我々はこのようにして会社を設立してきた」と同氏は述べた。そして、才能のある学生がオンラインにシフトするのをサポートするLambda Schoolのような代替のプログラムの存在を指摘した。

ニューヨーク大学(NYU)学長の Andrew Hamilton(アンドリュー・ハミルトン)氏は米政府の規則変更を受けて「健康問題、そしてを政府が命令したニューヨーク市のシャットダウンを無視して、留学生に対面式授業を続けるか、米国から出ていくかを求めることは、純粋に間違っているし、不必要に厳しいものだ」と述べた。「教育の提供で今求められているのはフレキシビリティだ」と同氏は書いた。

NYUは他の学校と共に政府に規則変更を撤回するよう求めることにしている。ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学は規則変更の実施を阻止しようと、さらに踏み込んでICEを提訴した。

「新型コロナは政権が反移民政策をさらに進めるための手段として活用されている」と移民専門弁護士のTahmina Watson(タミナ・ワトソン)氏はTechCrunchに述べた。「数カ月後に選挙を控え、政権は移民を阻止するあらゆる手段を探している」。「見えない壁は本物で、壁は日々高くなっている」とワトソン氏は述べた。

学校にとって1つの選択肢は、一部の授業を対面で行い、他の授業をオンラインで行うというハイブリッド方式だ。たとえば、ハーバード大学は今秋、学生の40%のみをキャンパスに入れると明らかにしている。オンラインで授業を行う大学は、従来かなりの額になる授業料を正当化するのに苦労するかもしれない。

規則変更は、パンデミック中に議論となっていた痛い所を突いている。リモート教育が学べるものであるということをいかに形成するか、さらに重要なことには、誰が学ぶ機会を持つことができるか、だ。一部の人は、リモート教育へのシフトは他国と関係のある留学生に特に大きく影響するかもしれないと指摘した。また別の人は、米国において高学歴を持つ魅力は主にそれに伴うネットワークだと言う。

カリージョの場合、フィリピンでは天文学を学ぶ機会がなかった。理想のキャリアを追求するには彼女は米国に来なければならなかった。規則変更は訴訟をおこされる可能性がある。ワトソン氏は、6日に発表されたポリシーが合法かどうか疑わしいと述べた。トランプ政権は「一時的な最終規定」と言及した。ワトソン氏が言うには、この規定は通常あるパブリックコメント期間を設けることを避けている。

「中でも学校はこのポリシーについてたくさん言いたいことがあるはずだ」とワトソン氏は話した。「トランプ政権が長年のポリシーを変えたければ、各ステップで連邦行政手続法を経なければならない」。

このようにルールについては政権からの方向性と説明を待たなければならない。それまでは、この抜本的な変化をどう処理するかは大学や学生次第ということになる。

ビザのステータスを恐れて匿名を条件に語ったワシントン大学に通っているとある留学生は、規則変更で母国に戻ることを余儀なくされた場合、留学生の研究や奨学金を危うくすることになると話した。そしてもし留学生が通っている大学がハイブリッドモデルを取れば、留学生は健康について心配することになる。

「米国でこんなにも無礼を感じたことはない」と留学生は語った。「留学生が対面式の授業に戻ることを求められればウイルスを拾う可能性があり、新型コロナに感染するリスクを負う」と話した。

カリージョが規則変更を聞いたとき、彼女はパニックに陥り、所属する学部に電子メールを送った、と話した。幸いにも、彼女が通うオースティンにあるテキサス大学は今秋からハイブリッドモデルを取るとのことだった。当面、彼女は米国に滞在できる。

しかし安心することはできない。カリージョのような留学生はトランプ政権下では偽りの安心感に慣れている。「ハイブリッドになってほしいと願うのは不愉快だ。道徳的には、私は安全に過ごしたいし、オンラインで済ませたい。しかしそうすると米国滞在が危ぶまれる」。

画像クレジット: Alex Wong / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

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