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eコーマス業者が顧客とのより良い関係を構築することを支援するYotpoが約79億円を調達
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「マーケティングクラウド」は、マーケティングテクノロジーの世界でますます人気の高いコンセプトになった。これはSalesforce(セールスフォース)、Adobe(アドビ)、Oracle(オラクル)といった企業たちが、顧客を特定し関係を保つ機能を提供する自社のデジタルツールセットを表現するために使っているコンセプトだ。現在、特にeコマース企業を対象とした独自のツールを開発しているとあるスタートアップが、ここ数カ月のビジネスの急増に続き、資金調達の動きをみせている。

そんなスタートアップであるYotpo(ヨットポ)が提供するツールセットは、D2Cをはじめとする様々なeコーマス業者が顧客とのより良い関係を構築することを支援する。同社は米国時間8月4日、7500万ドル(約79億円)の資金調達を発表した。調達した資金はプロダクトの強化に用いられることはもちろん、新規顧客の獲得や、より多くのインテグレーションパートナーを得るために使われる予定だ。

今回のシリーズEには、Yotpoの既存の投資家の多くが名を連ねている。具体的にはBessemer Venture Partners(BVP)、Access industries(Warner Music Groupのオーナー)、Vertex Ventures(Temasekの子会社)、新しい投資家であるHanaco(イスラエルのスタートアップに集中している企業だが、Yotpoはテルアビブとニューヨークにそれぞれ本社を置いている)そしてその他の名もなき投資家たちである。

スタートアップがこれまでに調達した資金は合計で1億7600万ドル(約186億円)に上る。評価額は開示されていないものの、CEOのTomer Tagrin(トマー・タグリン)氏はそれを「ほぼユニコーン」(評価額10億ドル=約1060億円以上)と表現している。タグリン氏は同社をCOOのOmri Cohen(オムリ・コーエン)氏と共同創業した。

「私たちは自分たちが開発しているものをフラミンゴと呼びたいですね。珍しく美しい動物でありながら、実在の動物であることは間違いありません。私たちはきちんとしたビジネスを展開しています」と彼はインタビューに答え、そしてYotpoは来年年間1億ドル(約106億円)の年間経常収益(ARR)を目指していると続けた。

同社は、Shopify(ショッピファイ)のApp Storeアプリとしてスタートして、Shopifyの顧客に対してユーザー生成コンテンツによって顧客エンゲージメントを支援するためのツールを提供してきた。今ではそうした単一の機能には収まらず、Salesforce、Adobe、BigCommerce(ビッグコマース)をはじめとする500以上の戦略パートナーを得ているが、YotpoのCEOは今でも自身の会社をShopify風の言葉で説明するのが好きだ。

「Shopifyがあなたのビジネスを管理してくれるのと同じように、私たちはみなさんのお客様をエンドツーエンドで管理します」とタグリン氏は語る。彼はマーケティングクラウドにおける統合の大きな流れは素晴らしいことだが、それは万能薬ではないという。彼はYotpoのeコマースに特化したアプローチは、他のものとは一線を画すものだと信じている。なぜなら彼らのアプローチは、D2Cやその他のeコマース企業に特有の問題に対応しているからだ。

現在Yotpoのサービスには、SMSとビジュアルマーケティング、ロイヤルティーと紹介サービス、レビューと評価などが含まれていて、これらはThird LoveやAwayなどの新しいD2C業者から、パタゴニアや1-800-Flowersのような既存業者にも利用されている。こうしてサービスの中には、社内で開発されたものもあれば、買収によって開発されたものもある。最も新しいのは2020年1月に買収されたSMSBump(Cisionリリース)である。調達資金の一部を使って買収戦略を継続する予定だ。

「3年以上前に行った最初の投資以来、トマーとオムリの経営は問題なく行われ、製品ラインは拡大し幅広い顧客にサービスが提供され、組織全体で強力な人材を継続的に採用しています」と声明で語るのは、BVPのパートナーであるAdam Fisher(アダム・フィッシャー)氏だ。「Yotpoは消費者を魅了し、収益を増やすというeコマースブランドの二重の課題を解決することを支援することに特に重点を置いています。彼らのマルチ製品戦略と革新的な優位性によって、今後数年間は、eコマース業界で優位な地位を占めることができるでしょう」。

Yotpoはフリーミアムプラットフォームとして構築されていて、現在約9000の顧客が、有償でサービスを利用しており、無償のサービス枠は28万の顧客に利用されている。タグリン氏によれば、2019年の顧客増加は250%だという。

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが、インターネットの利用特にeコーマスの利用に影響を与えたことは詳細に報じられている。これは人びとが、自宅避難命令に従ったりウイルスの拡散を遅らせるために、対人距離を広くとうろうとしたりしながら物事を動かそうとしてデジタルチャンネルに殺到したためだ。

eコマースは何年も成長し続けていたが、2020年2月以降この傾向の加速が顕著なものになった。デジタルマーケティングエージェンシーのCommon Thread Collectiveの調査によれば、ここ数カヶ月にわたって収益と支出の双方の数字が一貫して基準値を上回っている(Common Thread Collectiveブログ)。

これは結果として、より直接的かつ個人的な方法で営業を行うeコマースを支援する企業に、大きな影響を与えることとなった。Yotpoはその恩恵を直接受けた企業の1つだ。同社によれば新規顧客の登録が急増し、多くが有償サービスを利用し、ARRが前年比170%となり、顧客離脱率が低下したという。

もちろん全体として見たときには完全に良い話ばかりというわけでもなく、技術サービスの世界全体では何千人ものレイオフが行われ、膨大な数の実店舗が閉鎖されている。こうした経済指標が示すのは、単により多くのビジネスがオンラインなるということだけではなく、全体的な支出の減少を引き起こす連鎖反応につながる可能性があるということだ。

それは必然的に、Yotpoのようなスタートアップにも影響を及ぼす。現在はもちろん成長しているものの、これからも長期的な影響とより幅広いユースケースにフィットさせるためにその製品を多様化させる方法を考えていくことだろう。

例えば現在、同社はZendesk(ゼンデスク)などの企業とのインテグレーションを通してカスタマーケアのニーズに対応しているものの、長期的にはこのようなサービスを自ら導入して、D2Cブランドとその顧客との間の接触ポイントの構築を継続する可能性がある。特にYotpoのプラットフォーム上でプロファイリングされた顧客全体に対してそれを提供するのだ。

「これがミーティングなどで行われる製品に関する議論の大部分を占めています」とタグリン氏は製品の拡張について語る。

「私は、成長と資金調達のお祝いは、何か別のことでもたらされると考えています。私たちは何が起こっているのかをもっと内面化する必要があるのです」と彼はいう。「世界は正常に戻っていませんし、私たちは正常であることを前提に振る舞うべきでもありません」。

画像クレジット:skaman306 / Getty Images

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(翻訳:sako)

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