自動運転車のスタートアップのAutoXが上海でロボタクシーサービスを開始
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自動運転車のスタートアップのAutoX(オートX)は中国時間8月17日、上海地区における自動運転タクシーサービスの一般営業開始を発表した。シンプルにRoboTaxi(ロボタクシー)と名付けられたサービスで、すでにDidi(ディーディー)との競争に直面している。中国最大の配車サービスプラットフォームを提供するDidiは、6月末に上海で自身のロボタクシーパイロットプログラムを開始(South China Morning Post記事)していた。
AutoXのRoboTaxisはまず、100台の車両が嘉定地区で利用可能になる予定だ。配車は、地図ならびに移動予約アプリであるAutoNavi(オートナビ)を通して予約する。このアプリは、AutoXへ投資する企業の1つであるAlibaba(アリババ)が所有するものだ。深圳に本社を置くAutoXは、昨年中国最大の自動車メーカーの1つであるDongfeng Motor(東風汽車)、Alibaba、Plug and Play(プラグ・アンド・プレイ)の中国ファンドといった支援者から1億ドル(約107億円)のシリーズA資金を調達した(KrASIA記事)。
AutoXのサービスは、Didiの自動運転タクシーパイロットプログラムと競合することになるだろう。Didiのパイロットプログラムも、上海の中心部にかなり近いものの混雑度が低い、広大な郊外地区の嘉定地区で運行されている。Didiのサービスは、新しい自動運転子会社のためにソフトバンクを含む投資家から5億ドル(約533億円)を調達(CNBC記事)したことが発表されてから、数週間後に開始された。Didiの野心的な目標は、2030年までに100万台を超える自動運転車を展開することだ。
AutoXとDidiはどちらも、Pony.ai(ポニーAI)、Baidu(バイドゥ)、WeRide(ウィーライド)といった中国のライバル企業が手掛ける自動運転タクシーサービスと競合している。どの企業もすでに、他の都市でロボタクシープログラムを展開している。一方Momenta(モメンタ)のように、自動運転タクシー用のソフトウェアを開発してパートナーに販売することに注力(未訳記事)している企業も、複数存在している。このことはさらに多くのロボタクシー群を生み出すことになるだろう。Momentaの進捗の一部は中国政府からの支援によるものである。なぜなら中国政府は、新型コロナウィルの経済的影響を相殺しようと(新華網記事)、自動運転、5G、人工知能などの産業に、大規模な資金を投入しているのだ。
TechCrunchに対してAutoXの最高執行責任者(COO)であるJewel Li(ジュエル・リー)氏は、競争の状況について「同社の強みはOEM業者とAlibabaを含む投資家リストだ」と語った。これが意味するのは、AutoXの支援者たちは単なる資金提供者というだけではなく「自動運転に対してモビリティとロジスティクスの両方でユースケースを提供できるということです。この投資家ポートフォリオは、中国市場だけでなく、世界的にも類を見ないものです」とリー氏は語る。
同社はまた「深圳の南山区にもロボットタクシーを保有しており、人口密度の高い都市部での自動運転の経験を会社に提供できている」と同氏は付け加えた。
AutoXは現在、カリフォルニア州では3番目の、そして中国だけに焦点を当てた企業としては唯一の、完全無人ロボタクシー許可を得ている。この許可をリー氏は「自動運転業界で最高の標準」だと呼んでいる 。なおカリフォルニア州でほかの2社は、Waymo(ウェイモ)とNuro(ニューロ)だ。
AutoXのRoboTaxisは、上海を拠点とするタクシー業者Letzgo(レッツゴー)のアプリからも予約できるようになる予定だ。両社は中国時間8月17日、4月にオープンしたAutoXの上海オペレーションセンターでLetzgoのスタッフに、RoboTaxiを運営してもらう戦略的パートナーシップを発表した。AutoXには、ヨーロッパでロボタクシーサービスを展開する計画もある。
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(翻訳:sako)
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