九州大学発の宇宙領域スタートアップ「QPS研究所」が総額8.65億円の追加調達
AI.
「宇宙の可能性を広げ、人類の発展に貢献すること」を使命に2005年に創業したQPS研究所は11月5日、既存株主からの追加調達および日本政策金融公庫からの融資をあわせて、総額8.65億円の資金調達を発表した。同追加調達・同融資により累計調達額は約33億円となった。
追加調達した資金は、同社が目指す小型SAR衛星36機体制の実現に向け、2022年打ち上げ予定の3号機~6号機の先行開発および足長部材の先行手配などの資金として使用する予定。
QPS研究所は自社開発した小型衛星用の大型軽量アンテナにより、従来のSAR(合成開口レーダー) 衛星の1/20の質量、1/100分のコストを実現し、100kg級高精細小型SAR衛星の打ち上げに日本で初めて成功。
現在は2025年を目標に36機の小型SAR衛星を打ち上げてコンステレーションを構築し、約10分ごとの準リアルタイム地上観測データサービスの提供を目指している。
このプロジェクトの実現に向け、2017年10月に総勢9社を引受先とする総額23.5億円の資金調達を実施。技術実証機の役割を担う衛星「イザナギ」「イザナミ」の2機の開発・製造・打ち上げへと取り組んだ。2019年12月に1号機「イザナギ」の打ち上げを実現し、2020年12月以降には2号機「イザナミ」の打ち上げを予定している。
QPS研究所は九州の地に宇宙産業を根差すことを目指し、九州大学の名誉教授の八坂哲雄氏と桜井晃氏、三菱重工業のロケット開発者であった舩越国弘氏が2005年に創業。QPSとは「Q-shu Pioneers of Space」の頭文字を取っており、九州宇宙産業の開拓者となること、さらには九州の地より日本ならびに世界の宇宙産業の発展に貢献するとの思いが込められているという。
またその名の通り、九州大学での小型人工衛星開発の20年以上の技術をベースに、国内外で衛星開発やスペースデブリの取り組みに携わってきたパイオニア的存在である名誉教授陣と若手技術者・実業家が一緒になって、幅広い経験と斬新なアイデアを基に、宇宙技術開発を行っている。同時に同社事業は、創業者たちが宇宙技術を伝承し育成してきた約20社の九州の地場企業に力強く支えられている。
2020年2月にはQPS研究所の準リアルタイムデータ提供サービスの実現加速に向けて、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙関連事業のさらなる創出を目指す「JAXA 宇宙イノベーションパートナーシップ」(J-SPARC。ジェイ・スパーク)の下、両者が共創して事業コンセプトを検討する活動を開始。また、2020年5月に衛星の観測データを活用した新たな事業の検討を開始するため九州電力との事業連携を発表した。
関連記事
・水を推進剤とする衛星用超小型推進機の実用化を手がけるPale Blueが7000万円を調達
・スペースデブリ問題に取り組むアストロスケールがシリーズEで累計210億円を調達
・ポーラとANAが宇宙でも使える化粧品を共同開発、2023年の商品化を目指す
・GOCCO.が上空3万mの成層圏への往復便サービス「shuttleD」の募集を開始
・JAXAが国際宇宙ステーションで使う生活用品アイデアを募集開始
カテゴリー: 宇宙
タグ: QPS研究所、資金調達(用語)、日本
引用先はこちら:九州大学発の宇宙領域スタートアップ「QPS研究所」が総額8.65億円の追加調達