「自分のことが嫌いで、息をするのも苦しい」ということはないでしょうか?「ついつい他人と比べて落ち込んでしまう」、とか、「頑張っても頑張っても満たされない・・・」など、
自分でも身近な人の様子でも、このようなことが思い当たることがある人は、劣等感が強すぎるのかもしれません。
「劣等感」とは、自信がない、あるいは他人よりも劣っていると感じることを言います。この感情は、過去に周囲から低い評価を受け、自分もその評価を受け入れてしまうことで発生します。そして、一人でいるときは感じることはなく、学校や職場で他人と比較される環境に置かれると発生し、人より劣っていると感じるだけでなく、自分自身を否定する方向に気持ちが動きます。ひどくなると自分のすべてをマイナスに捉えてしまうので、劣等感が強くなりすぎると、生きづらさを感じてしまいます。具体的にどのような場合が当てはまるのか見てみましょう。
<1>他人との比較をして自分を下げます
「あの人は美人でいいな」とか、「あの人は大学を出ていて羨ましい」など、相手を褒めているようで、無意識に自分と比較することが習慣となっています。他人が持っていて、自分が持っていない要素に注目して、常に自分より優れた面を持っている人を見て落ち込んだり、悔しがったりします。他人のことが気になって仕方がないので、TwitterやInstagramなどSNSを常にチェックして、自分の日常生活と比較しては、投稿でアピールできるような生活をしていない自分が情けないと思っています。
<2>自分の短所ばかりに目を向けています
物事を悪い方向へと考える傾向があります。そして、状態が良くないことを自分のせいだと転換する癖があります。人とのコミュニケーションがうまくいかなかったと感じたときに、「自分が話下手だからダメなんだ」とか、「自分は華やかではなく、印象に残らない顔だから、ダメなんだ」など、自分の短所を原因だと思い込む癖があります。
この傾向の強い人は「私なんて」とか、「どうせ○○だから・・・」あるいは「だから、上手くいかないんだ」という口癖を持っていることが多く、周囲は皆優れているという思い込みがあるので苦しさから抜け出せず、自分への評価が異常に低い傾向があります。
<3>子供の頃に劣等感を植え付けられた経験が根深くある
子供の頃に親や、教師から正当な評価をされなかった経験や、劣等感を強く植え付けられた経験があり、これを根深く持っています。兄弟がいる場合は、自分以外の兄弟が親に優しくされたり、成績や、運動能力、コミュニティ能力を比較された経験から、自分はダメだと思い込み、自分は劣っていると思っています。この場合、子供の頃は受験勉強や運動会などの他人との競争で、大人になると営業成績などで競争する事の連続で、常に他人は敵であり勝ち続けなければならない存在です。そして、この競争に勝てればいいのですが、勝てなかった時の失望感から自分を責めてしまい劣等感につなげていきます。
<4>他人を叱責したりエスカレートするとDVをすることも
劣等感の強い人は、ストレスの負荷がかかり過ぎると、そのストレスを解消するために他人に投影をすることがあります。具体的には、自分の出来ないことを自分より弱い立場にある人に対して、まるでその人が出来ていないかのように発言をして責めたりする場合がこれに当たります。例えば、自分の妻が、家事や育児、近所付き合いの愚痴を言うと、「どうしてそんなこともちゃんとできないんだ!」と怒鳴りつけたり、そこで妻がしおらしくしていると、些細なことで責めたり怒鳴ったりが繰り返されて、これがエスカレートするとDVをするようになったりします。こうして、できない自分の姿を目の前にいる弱い立場の人にすり替えてストレスを発散するのです。
<5>完璧主義
劣等感の強い人は、完璧主義で理想が高い人が多いです。まじめで、「こうなりたい」という気持ちが強く、やるなら完璧に仕上げたいと思っています。その結果、ちょっとしたミスも許せなくなったり、理想と現実のギャップに気づくと、「全然できていない」と自分を責めます。現実と理想のギャップが大きければ大きいほど現実の自分に対する不満は大きくなり劣等感は増えていきます。
常に、自分にないものに対して敏感で、他人が持っていて自分が持っていない長所や、憧れながら手に入れられずにいるものを数えています。
自分が手に入れられない、「自分にないもの」にとても敏感で、反面、「自分にあるもの」に対して鈍感で、自分を認めることができません。
まとめ
劣等感は、生まれた時にはありませんが、成長の過程で親や教師から成功を正しく評価してもらえない経験を繰り返すことで自分を低く評価することから生まれます。しかし、これは、正しい評価をしてくれなかった人が悪いのであって、自分が悪いわけではありません。
また、劣等感を持つことで、理想を高く持ち、足りない部分を埋めるために努力するという思考回路ができ、これを上手く使えば、成長につなげていける感情でもあるのです。劣等感があったから頑張れた、仕事で成功を収めたというエピソードもあるくらいで、メリットもあることは事実です。ただ、劣等感を持っていると、悲壮感を漂わせて注目を集めようとしたり、平凡であることを退屈とたらえたりするため、感情の起伏の激しい状態を好んだりして現実をどんどん苦しいものへと変えていってしまいます。